こんな場所にはこのハーブ-オレガノ・ハイブリッド

周囲に何も無いというのは、風通しや日当りという点から見ても申し分ない環境である。ただ、裏を返せば、真夏でも一日中容赦なく日は照りつけるし、冬は寒風が吹き付けるという過酷な環境でもあるからハーブを選ぶにもよくよく考えないといけない。

オレガノ・ハイブリッド
ましてや、この場所のように、手前は道路、奥は駐車場、つまり周囲はアスファルトばかりという環境はなおさらハードだ。建物が駐車場を挟んで東側にあるとはいえ、高さが低く、北東方向。真夏の早朝には陰を作るかも・・・という程度。風よけにもまったくならない。

そんな場所でも乾燥を好む(というか過湿を嫌う)ハーブを上手に使えば何とかなる。中央にピンクの花を咲かせているのがオレガノ・ハイブリッド。普段はせいぜい10cmぐらいで葉を広げているが、初夏から花茎をのばして一気に開花する。夏の暑さにも全くこたえないのもうれしい。

実はこれらのオレガノ類は日当りが悪いと本当にだらしなくなってしまう。
オレガノ・ハイブリッド
上の写真は当店の北西の花壇にある同じオレガノ・ハイブリッド。午後からの日差しはものすごくきついが、お昼までは建物で日陰になるのでちょっとだらっとしてしまう。いろも今ひとつ鮮やかさに欠ける。もちろん水もやっていないのだが・・・・

話は最初の花壇に戻る。
中央に看板用の支柱が立っていて、地面から30cmほどの高さ。水はけは抜群に良いが、土も深さが確保され、しっかり土作りもしているので、根にとってはそれほど過酷でもないだろう。

オレガノ・ハイブリッドの花
ちょうど今(7月)、満開だし、これぐらいでドライフラワーにするとすぐきれいに乾くのだが、残念ながらここは「見せる花壇」なので、まだしばらく前を通る人の目を楽しませてもらうことになるだろう。

花が終るころには、地際に次の新芽が見え始める。これらを伸ばすよう、ばっさり剪定すると、その後も成長は心配ない。小面積だがグラウンドカバーっぽく花壇を覆ってくれるだろう。

日当りが肝心

ハーブをうまく育てるには日当りを充分考慮するのが大切だが、庭仕事を楽しく行なうにも日当りは肝心だ。

特に夏場は、日なたと日陰では体の疲れ具合が相当違うので、
『「○○邸」は昼から日が陰るから、明日の午後伺おう。』
とか、同じお庭の中でも、快適に作業が進むようにスケジュールを組むと何かと都合が良い。

もちろん、冬でも天気の良い日なら、なるべく日が当る庭が作業をしていても楽しいものだ。今日は3軒ほど手入れに伺う庭があった。快晴だが、風が強い。日陰はけっこう厳しそうなので、まず午前中に東向きのお庭がある家、午後は西向きの花壇がある家というスケジュールにした。

午前中、やはり風が冷たかったが、日が当っていればそれでも作業は気持ちが良い。「寒いなぁ」と言いつつもスムーズに庭仕事が進んだ。日がの当っているとハーブたちもなんとなく嬉しそうに見えるので、同じ手入れをしていても丁寧になるように思う。ハーブも嬉しい、我々も嬉しい、お客様も嬉しい。と良いことずくめである。

まだ葉は冬の装いだが、どこかやわらかそうな雰囲気が出てきた。オレガノ・プルケルム。
まだ葉は冬の装いだが、どこかやわらかそうな雰囲気が出てきた。オレガノ・プルケルム。

食害

この夏の猛暑で特に小さな苗たちは大きなダメージを受けた。では大きな株はどうだったかと言うと、根がしっかり張っている分、暑さによる被害はそれほどではなかった。でも、大きな株ほど被害を受けたのがコガネムシによる根の食害。しかも今ごろになって目につくようになってきた。

親木などの鉢を整理しながらついでに株元の草を取っていると、妙に草が少なく、土がふわふわしているものが見つかる。

元気がないオレガノ・プルケルムの鉢。コガネムシ潜伏の気配。
元気がないオレガノ・プルケルムの鉢。コガネムシ潜伏の気配。

「もしかして・・・」と鉢をひっくり返してみると、案の定コガネムシの幼虫が大抵は2〜3匹出てくる。

この鉢からは3匹。すぐに圃場にいるトノサマガエルのディナーとなった。
この鉢からは3匹。すぐに圃場にいるトノサマガエルのディナーとなった。

根は食い荒らされてしまい、大事な細い根などほとんどないことも珍しくない。

かなり根は食い荒らされているものの、まだ植え替えれば大丈夫。
かなり根は食い荒らされているものの、まだ植え替えれば大丈夫。

早期発見すればそれだけ回復する確率も高くなるが、いつまでも分からなければ枯れてしまうことも多いので夏が過ぎたからと言っても気は抜けない。

大きい鉢になればなるほどたくさんの幼虫がいることが多い。大きな株なら多くの幼虫を養えることが分かった上で産卵するのだろうか?あるスタッフは共食いすると言っているので小さな鉢では淘汰されるのかも知れない。

今年の記録?は、直径40cmの鉢から30匹ぐらい出てきたこと。さすがに呆れてしまった。

指標

5月になっても、例年のような気温が上がらず困っている。ハーブたちのコンディションは良好だが、バジルやレモングラスのように、気温が上がらないと育たないハーブたちはお手上げである。

といっても、日差しは日に日に強さを増している。苗の管理も、水切れや葉やけに注意しなければいけない。

つい先日も、少し油断していたらオレガノ・ノートンゴールドが水ぎれしてしまった。幸い、気がつくのが早く、致命傷にはならなかったものの、水切れを起こした証しの斑点が葉に出来てしまった。その後は問題なかったようで、上の方の新しい葉は順調である。

 オレガノ・ノートンゴールド

ちょうど今の時期、オレガノも一気に成長するので、この種類や、オレガノ・ハイブリッドなどは水切れを起こしやすい。他のシーズンならかなりの乾燥にも良く耐えてくれるのに、きっと吸い上げる量も多いのだろう。

そのため、普段より目をかけてやらねばならないが、裏を返すと、この種類をしっかりチェックしていれば、他の種類の乾き具合もはかりやすい。今の季節の良い指標になっている。

気まぐれキャットミント

今日は市内の幼稚園の花壇の整備。年度替わり間際はかえってお邪魔だったりするので、久しぶりの訪問だった。これからぼちぼち伸び始めるだろうと思っていた花壇のハーブたちがすでに結構育っていて驚いた。

ブルーキャットミントとオレガノプルケルム
特に、昨年秋に植え付けたブルーキャットミント、かなり成長し、すでに花が上がっていた。両脇のオレガノ・プルケルムは夏前に植えていたので、ワサワサ状態。これから可愛らしい花を見せてくれるだろう。幸い、日当り、風通しとも良好なのでそれほど心配はしていないが、ちょっと密になりぎみである。花が終ったら少し小さめに剪定する必要がありそうだ。

さて、このブルーキャットミント、ここ松江辺りでは案外成育にばらつきがある。おそらく湿度と気温の関係だと思うけれど、うまくいく場所ではとても良く育つ一方で、場所が合わないとまったくヒョロヒョロに育ったり、あっという間にダウンしてしまうことも珍しくない。なので、ちょっと気まぐれな印象を受ける。

ちなみに今までで一番うまくいったのは、とある公園内の花壇、北向きの急傾斜、日当たり良好、風強し。と言う場所だった。コンパクトな株立ちと言い、濃い花色、花の密度など言うこと無しであった。なかなかああいう場所は今後出会えないかも知れない。