こんな場所にはこのハーブ-プロストレイトローズマリー

立性のローズマリーと異なり、匍匐性(這い性)ローズマリーは、あまり季節を問わず、次々と花が咲いてくれるのが嬉しい。基本的に丈夫だし、山陰の夏や冬にも全く動じない。庭づくりにもなにかと頼りがちになってしまうハーブである。花色の濃さや育ちかたでいろいろな種類はあるものの、プロストレイトローズマリーはもっとも基本になる種類だ。

さて、プロストレイト(這う)と言う名前だからといって、必ずしも真横にしか伸ばせないものではない。むしろ、斜面や崖の上のようなところから垂らすと見事になる。もう20年以上前になるだろうか、尾道のとあるお庭で、家の近くの3メートルぐらいある崖の上からそれは見事に垂れたプロストレイトローズマリーを見たことがある。幅は1メートル以上あっただろう。まさに懸崖づくり。その時の驚きはいまでも忘れられない。

話は変わり、この場所は、駐車場から一段上がった庭の縁。西向きで南側にはすぐ家があるし、背中側にはおおきなツルバラがあるため、日照は午後遅くなってからのみである。最初、ツルバラの株元と、コンクリートの壁の冷たさを隠したくてプロストレイトローズマリーを植えた。もう植えて10年以上経つが、特に問題なく育っている。

プロストレイトローズマリー

さすがに、古い枝が多くなってくると、前方へのせり出しが強くなりがちなので、今年の春、かなり強く剪定をかけた。また、奥のほうの枝は、だいぶ枯れて葉も落ちていたのでこれらも相当取り除いた。もう少し壁際によって欲しいところだが、新しい枝も順調に伸びているので多分大丈夫だろう。

別のお庭だが、現在、北向き法面の最上部にプロストレイトローズマリーを植え、法面を覆うように育てつつある場所が一つある。後々、うまく育ったらまた紹介したい。

こんな場所にはこのハーブ-モッコウバラ

病害虫の悩みが少ないことから、ハーブと組み合わせて育てられることの多いモッコウバラ、たくさん咲く花はもちろん一番の楽しみだが、しっかりと伸びるツルは使わない手は無い。

モッコウバラ
このお庭でもフェンス際に植えて、隣家との目隠しとして役立っている。向こう側にあまりツルが伸びないように気を付ける必要はあるものの、気になるほどの落葉もないのでどうやらうまく機能しているようだ。手入れする場合も刺が無いというのもメリットだし、剪定時期や剪定方法も気にする必要がないのもありがたい。気心が知れた相手ならば、「邪魔になるようでしたら気兼ねなく切って大丈夫ですから」と言っておけば良い。(別のお宅だが、その様にお隣の方にお願いしている場所もある)

また、耐陰性も相当あるため、太陽さんさんと言った場所でなくても良く育ってくれる。もちろん、大きく育てるのなら、しっかり根が張るように植える時にはできるだけ深く耕しておきたい。

援軍の到来

さて、いよいよローズのつぼみが膨らんでくるようになると、ゾウムシとともにいやでも目にすることが多くなるのがアブラムシ。もうすぐ開花を迎えそうなつぼみにびっしりとたかられるとさすがにいい気分はしない。庭の持ち主のお客様も、姿が見えにくいゾウムシと違い、見えやすいので心配されることが多い。

アブラムシ

つぼみが少なければ直接手でつぶすのが確実だし、こまめに木酢などで予防するという手もあるにはあるが、大きなツルばらなどではそういうわけにもいかない。

幸い、いくつかのお庭では今年、強力な援軍がやってくるようになった。ひとつはナミテントウ。ツルばらの葉の間をごそごそと動き回り、あまりアブラムシを食べている様子を見ることは少ないが、卵を産んでくれれば幼虫は特に強力な助っ人である。

ナミテントウ
もう一つはヒラタアブ。これも幼虫は大食漢のようで、すでにつぼみの奥のほうへ頭(?)をつっこんでいるからお食事中なのかもしれない。

ヒラタアブ

専門家がやってきたので、しばらく我々は手を出さず、アブラムシについてはあとはお任せすることにした。我々の仕事は、庭の持ち主に援軍の到着を伝え、彼らのために、薬剤などまかれずにしばらくは様子を見てほしいとお願いすることであった。

嫌われる理由

当店が手入れしているお庭にはローズが最低でも一つ二つ植わっていることが多い。気温が急上昇して新芽やつぼみが成長し始める今は特にこまめに巡回が必要だ。

ここ数日、何件かのローズを見て回ったが、被害の差はあるものの、ほぼすべての庭でゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)の被害が・・・。毎年のことなのでそれほど驚かないし、よほど毎日チェックしないと防ぎきれないのもわかっている。

クロケシツブチョッキリ
新芽が見事にやられている

友人の中にはこまめに特製唐辛子入り木酢をこまめに散布して被害を抑えている人もいるが、十日や二週間に一度しかチェックができない我々には無理な話。ただ、つぼみをやられても、次の花を咲かせるエネルギーはまだ十分あるからあきらめる必要は無い。

クロケシツブチョッキリ

それにしても、これからという新芽やつぼみをピンポイントで狙ってくるのはほんとうに悔しい。そのうえ、捕まえようとするとひょいっと逃げるすばしこさ。ついでに小さいので見つけにくいことこの上無し。嫌われるのもよくわかる。でも、たくさんの種類を育てていると、選択して狙っているのがよくわかる。どういった基準で選ぶのかはわからないけど。

まあ、ゾウムシの被害もここしばらくがピーク。収まる頃にはそれぞれの庭で花が見られるだろう。

八十五歳の薔薇

昨年のことである。定期的に庭づくりに伺っているお客様から、庭のレイアウトを変更したいので、大きなバラを移植してほしいという希望があった。

相当古い株のようだったので、躊躇したが、「万一うまく行かなくてもOK」ということで冬になるのを待って移植した。三人掛かりの作業で掘り上げ、移植。根もまずまず良いコンディションだったのであまり心配はしていなかった。

八十五歳の薔薇

春になり、株元や太い枝からもばきばきと新芽が伸び始めて一安心。

老木からの新芽

「ほっとしました」
と、お客様に伝えると、
「いやあ、実はこの薔薇はね」
と、由来を話されたのである。

それによると、先般 100歳間近でなくなられたおじいさんが子供の頃、川に(!)流れて来た株を引っ張り上げて植えたのがスタートだという。おじいさんの年齢から考えると少なくとも八十五年は経っているはずとの話。

先にそれを聞いていたら怖くてあんな大胆な移植はできなかっただろう。この頃、高齢の患者の大手術が成功!とかいう話題を時々メディア等で目にするがまさにそんな感じである。

もちろん種類は不明だが、やや中輪の花をかなり咲かせているのは一度確認している。今年、どんな風に咲かせるのか今から楽しみだ。