ガーデニング日和

冬を前にして、畑の手入れに時間を使う日が多くなってきた。

ガーデニングシーズンというなら、気持ちの良い天気が続く10月や、4月から5月を思い浮かべるところだが、あいにくその時期は本業が忙しくて紺屋の白袴状態。自分のところの畑などいくら手入れしたくてもできるものではない。

なので、秋の作業が一旦落ち着いたこの時期は自分にとっての貴重なガーデニングシーズンだったりする。それに、この時期だとクワやスコップを振り回すような作業をしても汗だくになることもなく、ちょうどいいエクササイズになる。今日は朝から少し冷たい風もふいているのでこの上ないコンディションだ。

昨日に続いて、今日は畑の端の開墾作業を行う。2年ぐらい前までは枝豆やサヤエンドウを植えたりしていたが、それ以降は特に何も植えることなく、植え替えをした時にでた古い土などを積んでおく場所となっていた。

畑の開墾
奥が昨日の作業。手前が今日の目標範囲

春に何か植えようと耕しかけたりもしたのだが、その後ミントが繁茂してしまって(植え替えの土に混ざっていたのだろう)、何も植えることなく2年間ほったらかし。草刈りばかりに労力をかけるもったいない場所になっていた。

そこで、この秋、再度使えるようにと再度耕し始めたのだが、2年間放っておくと耕すというよりは開墾に近い。ミントの地下茎、ギシギシ、ススキの根、スギナの地下茎など相当手強い奴らが相手だ。

秋のミント
見た目は良くても甘く見ると後で後悔する秋のミント

秋の初めに草刈りをして新たに伸びてきたミントは案外見た目もいいものだが、それに騙されていると来年の春から泣くことになる。せっかく植えたものが伸びる前にあっという間にミントに追い越されて覆われてしまう。今のうちに丁寧に地下茎ごと整理しておく必要がある。

ただ、少し前の「縦のものを横に」で書いたように、この時期はミントなどは特に横に広がろうとしているようで、根がそれほど深く張っていないし、地下茎も浅い場所にあることが多いので案外簡単に掘り上げることができる。

これが冬を越して春になったらそうはいかない。上に伸びようとするために、地下へのびる勢いも増してくるのできちんと片付けるのは一苦労だろう。

また、夏の間他の雑草にひっそりと隠れるように育っていたギシギシも冬の日差しをすこしでも浴びようと葉を広げ始めている。

ギシギシ

これも冬の間にしっかり根を張ってしまうと春に引っこ抜こうとしてもそうはいかない。今のうちなら案外すんなりと土からでてきたりする。

ギシギシ
掘り出してびっくり、このサイズの根のギシギシ。春に掘るのは大変。

昨日までは平グワで奮闘していたのだが、平グワだとミントの地下茎を細かく切ってしまいやすいし、抵抗が大きくて作業が進みにくいため、今日は自宅から三本グワを持ってきた。

三本グワ

やはり道具である。昨日の倍ぐらいの効率で作業が進む。

枯れ草を片付けていると居場所がなくなったてんとう虫が困った様子で行ったり来たり。今日は寒くてお休みしていたのかもしれない。スマンスマン。

てんとう虫

小一時間ほど奮闘したらミントの地下茎が山のように取り出せた。これが来年の春までここにあったらと思うとちょっと怖い。

ミントの地下茎

開墾作業
さて、何を植えようか

2日かけて、計2〜3時間ほどだがこれほどの場所が開墾できた。土が馴染むまでしばらく放置して、秋のうちに植えてもいいし、春まで待つのもいいかもしれない。

一応ハーブの親木を植えるつもりではいるが、早く決めなくては。植えるものが決まらなくて、「とりあえず野菜でも」となってしまう可能性も決して低くないからなぁ。

縦のものを横に

昨日から続く雨は、今朝になっても降ったりやんだり。こんな日は屋外作業は不向きだ。

挿し木など気になっている作業は幾つもあるのだが、ビニールハウスを出たり入ったりしているうちにびしょ濡れになってしまうので、むしろ集中して一つの作業を行うのが良さそうだ。

そこで、今日は伸びすぎたり、形が悪くなった苗の剪定を行うことにした。

夏の間に開花して葉が小さくなった株は強めに剪定し、新しい葉を出させるようにする。また、虫食いなどで傷んだ葉も丁寧に取り除く。

根気のいる作業なので、気温の高い夏だとすぐに集中力が途切れて他の仕事に移りたくなってくるが、少し肌寒いぐらいの今朝は最適。ビニールに落ちてくる雨音も地道な作業に集中するにはぴったりのBGMだ。

「ありゃ、これもだいぶ傷んでいるなぁ」

「おや、無いと思っていたらこんなところにあったのか!」

と、作業しながら改めて気づくことも多い。

小さな苗のハーブたちもよく見ると夏の装いから秋冬モードに変わりつつある。

「縦のものを横にもしない」という言葉があるが、ミントなど季節が変わるのを敏感に察知して縦から横へと姿を変える。しかも決して面倒臭がるようなことは無い。

暑いうちは少しでも周りよりも高く伸びるよう競うように上へ上へと伸びていたものだが、この時期は横へ横へと陣地を広げようと地下茎を伸ばし始めるのだ。

ミントから伸び始めた地下系
ミントから伸び始めた地下茎

夏とは違い、寒い時期は上に伸びても北風や雪で傷んでしまってメリットは無い。むしろ低く横に、しかも地面の下で横へ勢力を広げていく。その形で冬を過ごして、春にはまた上への成長を始めるのだ。

苗も同じで、ポットからはみ出してまで横へと地下茎を伸ばす。小さいポットなのに、時には1メートルもの地下茎が伸びていてびっくりさせられる。

生育上は特に問題無いが、種類の違うポットにまで根を張られてはかなわない。そこで、こういった地下茎も剪定しておく。

地下茎の剪定
剪定後

さらに、枝が多すぎるものは減らしたり、枝が少ないものは先端を剪定して脇芽が伸びるようにしたり。今後の成長を考えながらの剪定作業はなかなか楽しい。

そんな作業に没頭し気がつくともうお昼。雨もそろそろ小降りになりつつある。今日はとりあえずここまでだ。

午後からは午前中と同じ日とおもえないような秋空が広がった。

青空

民族大移動

心配していた割には積雪が少なかった週末の寒波。それでも10センチほどの積雪があると日当たりがあまり良くないこの場所ではしばらくは外仕事ができにくい。

仕事の選択肢が少なくなってしまうが、こんなときには、しなくても大丈夫だがしておくと後で楽になる仕事を行うのには丁度良い。

そこで、冬の間ほとんど成長しない種類の苗をより寒さが厳しいビニールハウスに移動させる作業を行った。

寒さに強い種類は、冬の間は成長を諦めて落葉したり、さらにはあっさり地上部をぜんぶ無くして冬を凌ぐ。こういう種類はむしろしっかり寒さに当ててやる方が春からグンと成長するし、少し暖かいビニールハウスにおいていてもあまりメリットはない。

なので、始終開けっ放しでほぼ外気と同じ環境のビニールハウスで春まで過ごさせるのだ。

例えば、ホップや地上部がなくなる種類のミントなどがこれにあたる。

ただ、単に移動させるだけでなくて、少し手を加える。

苗には秋に枯れた葉が残り、株元には雑草の芽やコケが生えていることも多い

まず、枯れた枝や葉を剪定して、株元の草やコケも取り除く。

株元をきれいに掃除

湿り気が多い山陰の冬は放っておくとコケばかりが良く育つのが悩みの種。そこで、コケが生えにくいように表面をそば殻くん炭で薄く覆っておく。これでコケが生えるのが相当防げる。おそらく、そば殻くん炭のアルカリ性がコケを抑制しているのではないかと考えているが、実際のところはよく分からない。もちろん、春先に生えてくる雑草対策としても有効だ。

表面に薄くそば殻クン炭を敷く

表面を覆ってしまうと、乾き具合がわかりにくくなるのが難点だが、乾きにくいこの季節だし、土の表面が覆ってあることでより乾きにくくもなるようだ。

1ケース作業完了!

1ケース処理するのに5分ぐらいはかかるが、忙しい春になって雑草やコケを取る手間を考えると決して無駄ではない。

株元にすでに小さな芽が

処理を終えたケースは極寒のビニールハウスへ大移動。

ずらりと並んで春を待つ苗たち。春には元気に芽を出してくれるだろう。

これからしばらくこの作業が続きそうだ。

夕方の天気予報

ビニールハウスの横には、ビニールを開閉するための装置がある。これを回して、側面のビニールを開けたり閉めたりして換気する。
ビニールハウスの開閉
閉めっぱなしだと冬でもそこそこ内部の気温が上がって、苗は成長するのだが、その代わり、病気や害虫の悩みは増える。

なので、冬でもできる限り開けるようにしている。

とはいっても、それは昼間だけで、さすがに夜は閉める。朝開けて、帰る時に閉めるという、わかりやすいパターンだ。

ところがこの冬はちょっと状況が違ってきた。

昨秋から、例年になく気温が高めの日が続いている。圃場にあるアップルミントの親木、例年ならばもっと葉が硬く、黄色味がかって、地面に張り付くように冬を耐えている。
アブラムシとアップルミント
ところが今年は青々とした葉がどんどん上に伸びている。まあ、それはいいのだが、先日、この時期にはあまり見なかったアブラムシが結構見つかってびっくりした。暖かさで、普段の年なら葉の隙間で目立たずにじっと冬を耐えているはずのアブラムシが、春先のような様子を見せている。

そんなこんなで、冬なのに育苗ハウスの開閉も気温次第でということになった。こんなことは初めてである。

夜でも気温が高めの時は開けっ放しにし、気温が極端に下がりそうな時だけ閉める。そのため、夕方の天気予報のチェックが欠かせないようになった。

明日から1週間ほどは最低気温が零度前後になりそうな感じ。久しぶりに天気予報のチェックをしなくて済むかもしれない。

アブラムシたちも少しおとなしくしてもらえるといいのだが。

こんな場所にはこのハーブ-コルシカンミント

お客様から、「◯◯をこういう場所に植えようと思うのですが、大丈夫でしょうか」
との質問をときどきいただく。

大抵の場合はそれなりの確信を持って答えることができるのだが、いくつかの種類は、即答できないこともある。

その一つがコルシカンミントである。「雑草のようにどこでも育つ」とか、「ミントを枯らすほど園芸が下手」などの例に使われるほど丈夫なミントなのだが中には例外もあるようで、コルシカンミントは結構思ったようには育ってくれない。

ミントの中でもかなり個性的な部類で、葉がとにかく小さい。見た感じにはコケのようである。でも触ると明らかにミントの香り。順調に葉が育てば、小さな葉が密生してとても綺麗だし、花も小さいながら濃いめのピンクでなかなか面白い。

姿も個性的だが、育ちかたにも個性があり、実際、我々がポット苗を育てるときにも、「え、どうして・・・」という感じで急に調子が悪くなることがある。

お客様からも、このミントについては、「急に枯れてしまった」とか、「何度試してもうまく育たない」という話をいただく。環境を尋ねても、申し分ない場所であることが多い。

タイトルにはそぐわないのだが、「こんな場所に」とは薦めにくいのだ。なのでとりあえずうまくいった例を紹介したい。

市内のお客さまのお庭では、種子が飛んで所々に増えているという報告をいただいている。建物の北側にある通路部分で、建物と塀の間が1メートル程度の薄暗い場所のようだ。横に広がるのではなく、島のように所々で群落を作っているとか。それはそれで面白いと思う。

また、当店の、店の前にあるレンガの部分でも、ゆっくりではあるが徐々に増えつつある。
コルシカンミント
この場所は、午前中は建物が影になって日が当たらない。午後からは西日が差し込んでくるというかなり過酷な環境。夏はレンガが熱を持って相当高温になると思うのだが、何食わぬ顔で元気である。

コルシカンミント

もちろん、肥料などは一切与えていない。おそらく移植したり、手を加えると調子が悪くなりそうで、どのように育っていくか様子見状態である。案外来年には急に機嫌が悪くなり、他の場所で育っているかもしれない。

コルシカンミント
こんなレンガの隙間に進出

また、建物を挟んで反対側の花壇にもやはり種子で飛んだらしいコルシカンミントが見つかっている。

コルシカンミント
北側花壇。少しお気に召さないのか、まばらに成長

この場所も結構乾燥しそうな場所なのに、増えることもないが衰えもしないという感じで育っている。

このように、なかなか我々の思うようには育ってくれない。自分が好んだところを見つけて居つくような風来坊、または手をかければかけるほど意地になる思春期の子供のようなミント、それがコルシカンミントである。

 

コルシカンミント