想像力・推察力の欠如と観察不足

例年よりはずいぶん気温が高めに推移しているとはいえ、着実に秋は深まり、冬ももうすぐそこまで来ている気配。

コリアンダー実生

零れ種のコリアンダーも勢い良く伸びている。あまりに密集していたので、少し前にきちんと畝を作ったところに何株か移植したのだが、そちらはあまり伸びが良くない。時期的には問題ないはずなのだが、やはり移植を嫌うというのがこういう時に良くわかる。

ブルーキャットミントとホトケノザ

ブルーキャットミントも秋の最後の花を咲かせている。その後ろでなぜかホトケノザが季節を間違えて咲き始めている。写真だけ見るといつの季節のものかわからないぐらいだ。

前回、

「植物を育ててみると発見が多く、観察力・想像力・推察力がついてくる」

なんて偉そうなことを書いていたのだが、そういう自分が想像力や推察力が欠如していたのでは開いた口がふさがらない。

この夏、井戸から水を引いてくるポンプが不調となった。蛇口を閉じてもポンプが止まらないのだ。原因はポンプのフィルターの掃除を怠ったために圧力スイッチに泥が詰まったことだった。大分解掃除が必要で暑い中本当に手こずった。

そして、先日。どうやらまた井戸ポンプの調子がおかしい。水圧は上がらないし、井戸から引いて分枝させた手洗い場の水を止めてもポンプは動いたまま。夏に分解したばかりなので、フィルターやパイプが詰まったかもしれないと、まずこれらを掃除した。汚れはそれほどでもなかったので、これで修理完了と思いきや、栓をひらいてもやはり水圧が弱いし、閉じてもポンプは動き続けている。

分解したのにまた分解か・・・と気分は重くなる。とてもすぐに取りかかる気にはなれず「明日にしよう」と先延ばしを決める。もうこの時点で、ポンプの圧力スイッチばかり疑っていた。

ところが、午後、井戸からの水を一度貯めておくタンクのところに行ってみると、水浸し!調べてみるとタンクへ通じるホースの途中でホーズバンドが緩んで水がだだ漏れになっているではないか。これではいくらポンプを直したところでポンプが止まるわけはない。

ホースバンド補修

早速修理に取り掛かり、ホースバンドもずいぶん錆びていたので新品と交換。修理は5分もかからず終わる。水栓を閉じたら、問題なくポンプも止まった。

圧力スイッチのことばかり考えていて、先で水漏れしていることに考えが及ばなかったとは・・・。我ながら呆れてしまったのである。想像力・推察力の欠如と観察不足だ。

ただ、ポンプを分解してからでなかったのが不幸中の幸い。これから少し時間に余裕もできる時期なので、本格的に寒くなる前に配管関係を見直すにも良いタイミングかもしれない。

物事は良い方に考えねばならないと気を取り直した一件だった。

バケツと剪定作業

猛烈な夏の暑さもさすがに今年は終わり、ビニールハウスの中の作業もずいぶん楽になってきた。連日雨が続いたここしばらくだったが、今日は太陽がまぶしい。すぐには秋にならないぞと、残暑も最後の粘りといったところだろうか。

夏のあいだ、ついつい後回しにしていた作業も今日ぐらいの気温だと気持ちよく向かうことができる。

夏でも、ポット苗も暑さに強い種類はどんどん伸びる。一方、蒸れに耐えるため、株の下の方の葉を落としていく種類もある。

伸びた枝や葉を剪定したり、傷んだり枯れたりした葉を取り除いていく作業。それなりに手間がかかる。

とはいえ、ハサミと、剪定した枝や葉を集めておくバケツでもあればできる作業なので、とりかかりはすぐだ。

圃場ではバケツの出番は多い。水を汲むことや土を入れたり、今回のように枝や葉を集めたり。ツールを入れたり・・・といくつあっても重宝する。この頃は主に柔らかなプラスチックのバケツを使うことが多い。数えたことはないが、小さいのも含めると10以上あるのではないだろうか。

今日はショッキングピンクのバケツが近くにあったのでこれを使うことに。スタッフが家で使おうと買ったのだが、結局使わなくなったものを「ハウス用に」と持ってきたものである。

バケツ

ところが、作業を始めてしばらくすると、妙な違和感が。目がクラクラしてくるのだ。もちろん熱中症を心配するような気温ではない。

葉を剪定して落とすため、バケツの上に苗を持ってきての剪定作業、葉のグリーンのバックにあるのがショッキングピンクのバケツ。コントラストが強すぎて目に負担をかけているのだろうか。久しぶりの強い太陽の光がなおさらそう感じさせているのかもしれない。

作業に大きな影響があるほどではないのでそのまま続行したのだが、目の不快感は続いた。

気持ちよく作業するにはどんな色のバケツがいいのか・・・。グリーン?白?思い切って黒?やはりアースカラーの茶色系?そうなると、バケツよりも竹の笊などの方がいいのか?そんなことをぼんやりと考えながら手を動かす単純作業。これはこれで悪くない時間だったりする。

台風の後始末

台風21号。ここ数年では最も勢力が強いとのことで接近前から心配も大きかった。先日の台風20号と似たような進路で近づいてくる模様。

おそらく風の強さは違えども、吹き方は似ているのではないかと考えていたが、やはりそのようになった。

雨こそしっかり降ったが、風は暴風域から外れていたこともあって最接近時も怖さを覚えるほどには至らず。前日にしっかり締め切ったビニールハウスだったが例によってしっかり対策した時は案外拍子抜けするような結果になるものだ。もちろん、災害にあわなかったことを喜ばなければならないのだが。

全閉のビニールハウス
台風対策で締め切ったビニールハウス

台風が通り過ぎた翌朝、早朝からとにかく締め切ったビニールハウスを開ける作業に追われる。真夏ほどではないにせよ、朝日が差してくると一気にハウス内の気温は上がる。

特に今年は暑さ対策で妻部分を解放仕様に改造してしまったので、今までのように入り口を開放し、サイドをくるくると巻き上げ、天窓をカラカラと上げるだけでなく、妻部分のビニールもたたんで開かねばならないから一仕事だ。ただ、まだ昨夜の雨でしっとりと濡れているから、たたむ部分はしばらくこのままで干してから作業に取り掛かる。

雨で濡れたビニール

ハウスの中は、まだ日が差していないのに、じっとりと重い空気でむわっとした感じだ。急いで開けられるところから開けていく。

それでも今年の猛暑もビニールハウスをこのスーパー夏仕様にしたおかげか、暑さに弱い種類もそれほど被害を受けた感が少ない。ラベンダーなど、むしろ昨年辺りよりもいい感じで育っているようにも思える。これが例年程度の暑さだったらもっと良かったかも・・・と思うのは欲張りすぎだろうか。

全開のビニールハウス
再び全開。夏仕様のビニールハウス

10時まえにはすっかりビニールも乾き、妻部分も全開放に。通り抜ける風が心地良い。きっと苗たちも気持ちよく感じているのではないか。

丁寧な仕事

畑の隅で育っている白花モッコウバラも咲き始めた。冬の豪雪でずいぶん枝が折れたが、その様なことも感じさせない。

白花モッコウバラ
朝日を浴びる白花モッコウバラ

毎年黄色が先で、少し遅れて白が咲く。明るいグリーンの葉に映える白花は超の時期の爽やかさを一層増してくれる。

さて、GW前、苗の出荷が一つのピークを迎えつつある。この季節、日時指定も多いが、苗という性質上、あらかじめ余裕を持って数日前に発送するということができない。発送日が4月28日ならばその日に必ず発送しなければならない。

梱包作業は時間との戦いだ荷物の集荷時間が近づくと、なおさら焦ってくる。

「間違えないように、丁寧に!」

と、自分を言い聞かせるが、未梱包の苗を見るとどうしても焦らざるにはいられない。

そんなとき、苗を固定しているゴムパッチンを見ると焦る気持ちもずいぶん落ち着いてくる。

ゴムパッチンは近くの「放課後等デイサービス・ピピ」の子供達が作ってくれている。

丁寧に10枚づつ束ね、きちんと箱に梱包されて納品されてくることにいつも感心している。

10枚ずつ丁寧に束ねられて納品される

さらに、当店で苗を購入された方は気付かれているかもしれないが、何枚に一枚かの割合で、ダンボールの表面にゴムをかける目安の線が付けられている。

まっすぐに書かれた線には理由があった

どうしてこんな線が引かれているのか、不思議に思ってピピの職員さんに尋ねてみた。

この線がついていると上手にゴムをかけることができる子がいて、その子のためにつけているのだそうだ、しかもそのために、線を引くのが上手な子がこの線を書いているという。

見事な役割分担だし、まさに、ちょうど良い場所にゴムがかけられていて苗もすっと収まるのに感心する。

昔々、我々スタッフでこのゴムかけをしていた頃はゴムをかける位置がまちまちで内側すぎたり、外側すぎたりと、苗を固定するときにも一度かけ直さないといけなかったりして二度手間だったが、いまは作業もスムーズだ。

苗を固定するだけの台なのに、こんなに丁寧な仕事をしていただいていることを考えると自ずから我々の仕事も丁寧になる。

お客様のところでも丁寧に育てていただけるに違いないと思いつつ、梱包作業は続く。

デジタルとアナログ

風はまだつめたいが、今日は20度近くまで温度が上がったようだ。

日の出直後、畑にある温度計では2度だったので、気温の差が激しい。ビニールハウスの中は尚更なので、気温が上がり過ぎないよう、ほとんど開けっ放しにするようになった。

春は気温の上昇、そして朝方の低温が気になって温度計をよく見るし、夏は夏で(あまり見たくないけど)、「うわ~、38度!」とか、「結局熱帯夜だったか・・・」とチェックする。秋はそれほど温度計を見ることは少ないが、やはり秋の終わりの気温の下降が気になる。そして、今年の冬ほど最低気温をチェックした年もなかったように思う。

最高最低温度計
一番古株の最高最低温度計。相当過酷な環境においているのだが・・・

本格的に園芸に携わるようになるとやはり必要になってくるのが温度計なのだが、昔からあるアナログのものやデジタルのものなど色々なものがある。値段も100均から、精度の高いものは何万円とか、上を見たらキリがないだろう。

圃場では最高最低温度計を使うことが多いが、デジタル、アナログとも使っている。

ところが、この一年でデジタルの方が一台ダウンした。もともと、複数台使っていたが、表示温度に1,2度誤差があった。確かにデジタルの方が、視認性が良く、パッと現在の気温がわかるのだが、暑い時期など、液晶が真っ黒になってしまうこともあった(涼しくなったら戻ったが)。

アナログ温度計とダウンしたデジタル温度計
アナログ温度計とダウンしたデジタル温度計

ところが今年は完全にダウン。電池も変えたがウンともスンとも言わなかった。

今になって気づいたのだが、置いておける場所が、0℃から、50℃だった。冬場は氷点下になるし、50℃ももしかして・・・という環境である。致し方ない。

使用環境
案外ひ弱?値段相応

それに対してアナログの方は、一番古株はおそらく15年ぐらい経っているのだろうが、過酷な環境であってもまったく問題としない感じである。

温度計
地温も測れるタイプ。当店ではあまり使わない

デジタルの方は、湿度も一目でわかったりする優れものだったりするが、時々調子が悪くなるとその数字にも疑問符がつく。

過酷な環境を考えると、壊れた分の補完はアナログになりそうである。