仕分け人参上!

巷で何かと話題の事業仕分け。圃場でも年に何度か事業仕分けのようなものを行なう。

種子を蒔いたり、挿し木をしてだいぶ経ったのに、発芽、発根せず、そのままになっていて、水やりの手間ばかりかかるプラグの片付けである。

今回も、仕分け作業を行なった事で、かなりのロスを洗い出すことができた。近々挿し木しようと思っていたローズマリーがあったのだが、既に挿し木して発根までしたプラグが見つかったのである。重複して無駄な作業をする必要はない。「予算計上は見送り」である。

ついついたくさん蒔きすぎたために、たくさん発芽してしまい、先行してポット上げした苗がさばききれずに残っている種類もいくつか見つかった。来年は種まき数を減らし、「予算削減」する必要がある。

仕分け作業進行中
仕分け作業進行中

また、種子を蒔いたのに全く発芽しないような種類については「廃止」の決断も下さなくてはならない。

「廃止」の決断が下された事業
「廃止」の決断が下された事業

ただ、問題は担当仕分け人。
「それでも来年の春には芽を出すかも知れない・・・」
なんて調子では甘くてお話にならない。元クラリオンガールの某議員を呼ぶべきか?

安心できる花色

寒くなるとともに、ローズマリーが次々と開花しはじめてきた。他の花が少ない時期に長く咲いてくれるローズマリーはもともとハーブの中でも好きな方である。ここ松江あたりでは夏も冬もあまり心配なく育てられるのも嬉しい。

ローズマリーを育てはじめた頃は、色々な種類を集めるのが嬉しくて、白やピンクの花、紫の濃い種類など、なるべく変わったものを欲しがったものだ。

それは基本的にいまでもあまり変わらないのだが、かなり前から国内でも流通していたスタンダードな種類もまた良いものだと思えるようになってきた。

ミスジェサップローズマリー

例えばこのミスジェサップローズマリーや、ベネンデンブルー。特に特徴の少ない薄紫の花のローズマリーである。でも、このいかにもローズマリーらしい花色や姿がまた良いと感じるようになってきたのである。

ラベンダーならトウィッケルパープルのようにごく普通というかクラシカルな色合いをもつ種類。安心して見ていられるのである。年をとった証拠だろうか。

スイートバイオレットと蝶

秋も半ばを過ぎると、ようやくスイートバイオレットたちも夏の疲れを回復したのか、徐々に生き生きしてくるようになる。大きなダメージを受けたように思える株は植え替えたり、株分けをして復活の手助けをしてやる。

しばらくすると新芽が伸び出してきて、こちらもホッと一息つく頃、必ずやって来るのがこの毛虫、ツマグロヒョウモンである。

ツマグロヒョウモン

ようやく出てきた新しい葉をバリバリとかじるのですぐ分かるし、そのうえ見た目も毒々しいデザインなので、最初のころは驚いた。その後、毒が無い事が分かり、平気で手に乗せれるようになった。無害だと分かると印象もずいぶん変わるものだ。

ツマグロヒョウモン
今は平気

ビオラなどをよく食害すると言われているが、ここには普通のビオラやパンジーはあまりないので、主食がスイートバイオレットになってしまうのだろう。味の違いはあるのかな?

親も鮮やかで美しい蝶のようだが、あまり見かける事が無い。

ヤマトシジミ

ちなみにこれはヤマトシジミ(だと思う)。幼虫の主食はカタバミだそうなので、今はビオラの上でちょっと一休みと言ったところなのだろう。

ピンクの待ち針

冬の足音が、一歩また一歩と近づいてくる今日この頃、回りの風景も動きが少なく、色も鮮やかさが徐々に失われてくるようになった。

そんな中で、一際目を引くようになったのがヒメツルソバである。いつの間にかビニールハウスの中に侵入するようになり、時々思い出したようにはびこるようになった。

ヒメツルソバ

といっても、それほど困る雑草ではない。片付けようと思えばそれほど苦労はしないし、ご覧の通り、冬の初め、非常に鮮やかな群落でしばし目を楽しませてくれる。英名でPink Pinheadsと呼ばれるが、確かにピンクの待ち針を思わせる姿である。

ヒメツルソバ

この辺りでは、古い石垣の縁や、庭の隅などで広がっているのを良く見かける。

残念なのは、寒さが本格的になってくると葉が焼けたようになってしまうことだ。ちょうど園芸作業に不向きなシーズンに当たるうえ、雑草としての扱いしかなされないためか、汚らしいまま放置されている場合が多い。

以前、ある県の園芸店で、ヒメツルソバの一株がびっくりするような値段で売られていたのを見たことがある。寒い地域だったのでそんな価格設定だったのだろう。

こちらに戻ってから、その話をとある会でしたところ、一人の老婦人がこの辺りでも昔は結構いい値がしていたと仰った。いつごろの事かと訊ねたのであるが、「年が分かるから・・・」と教えてもらえなかった。お茶目な方である。

カミソリの出番

圃場で、年間を通して行なう作業が挿し木、挿し芽である。ハーブの種類によって挿す時期が異なるので、ほぼ途切れなくいつも行なっている感じだ。

この作業に無くてはならないのが鋭利な刃物。園芸のテキストには「良く切れるハサミで」とか、「ガーデニングナイフを用い」なんて書いてある。

ところが、挿し木をする時に大事なのがいかになめらかな切断面を作るかである。ハサミの場合、「パッチン」と音を立てて切れるような細い枝なら有効だろう。でも、柔らかい枝の多いハーブを挿したりする時には向かない。せいぜい月桂樹の枝が大量に出て、「とりあえず差しとくか」と、一機に挿し穂を作るときぐらいだ。ガーデニングナイフはそもそも研がなければならないし、タイムのような細枝をナイフで処理する気には到底なれない。

カミソリ

そこで登場するのがカミソリである。鋭利なことはこの上ないし、細かい作業もお手の物。ただ、1枚の刃をそのまま手に持つので最初は不安である。かつて顔剃り用の握りが付いたカミソリも試してみたが、全く駄目であった。

鉛筆ぐらいの太さの枝を処理するには少しコツはいるが慣れてくると結構できるようになる。よほど硬い枝を処理するのでなければ何百本、うまい人なら何千本の挿し穂が作れるだろう。

それでも慣れるまで何度手を切ったことだろう。ちょっと油断していたり、他のことに気を取られているとスパッとやってしまう。刃物を扱う基本的な心構えを覚えるには最適かも知れない。今もたまにバンドエイドのお世話になるけれど。