冬だからこそ(1)から続く。
事務所に戻ってから、採寸図をもとに展開図を作ってみる。うん、他の季節なら絶対にしない様な作業だ。だが、こういう作業も面白い。
さて、もともとないものを作る時、次の段階が一番難しい。
どういう材料を使ってどのように目的物に仕上げて行くべきか。
展開図のような一枚板ならば、適切な厚さの鉄板を用意して形を調えていけばいい。だが、今回は立体。折り曲がった部分が3箇所ある。3箇所を折り曲げる方法、3箇所を溶接する方法、すでに折れ曲がったものを溶接または接着する方法など色々なパターンがありそうだ。
考えた結果、すでに折れ曲がっているものを組み合わせるという方針に固まった。ホームセンターにあるアングルなどの補強金具を削ったりすればできそうな気がした。すでに穴も空いている場合も多いので、うまくいけば穴あけの手間も省けるかもしれない。
ということで、展開図を持ってホームセンターへ。補強金具のコーナーを物色する。かなり目的に近いものもあったが、決定打に欠ける。
近くの鉄材コーナーも見て回ったときに、Cチャンが並べてあるのが目に入った。厚さは適当だし、必要な幅は・・・と展開図を当ててみると十分。それにCチャンなら余った材料が手持ちにある。鉄工はあまり得意でないが、何度か使ったことのある素材なのでそういう点も心強い。Cチャンを加工して曲げて・・・場合によっては溶接すればよさそうだ。
結局ホームセンターでは何も買わずに終わった。
圃場に戻り早速加工開始。サンダーでCチャンをどんどん切っていく。寒いが、これぐらいの方が丁寧な作業につながる。火花が散る作業、暑い時期はごめんだ。
そう時間もかからずに切断作業も完了。まずまずの出来。ところどころ寸法が違うが、実用に適えば構わない。普段は誰も(自分も)目にしないところだ。
穴あけは少し慎重に行う。本体との接続部分もだし、フック固定のバーがうまくささらないと困る。しかし、慎重に行なったにもかかわらずずいぶんズレてしまった・・・。
折り曲げ箇所もバイスに固定してペンチと金槌を使ったら思ったよりも簡単にできた。まさに案ずるより産むが易し。
それでも、予想外にうまくできたのが嬉しくて、ついスタッフに自慢してしまった・・・
塗装までしなくてよさそうだが、せっかく作ったので、塗装も行いたくなった。
だが、念の為、塗装前に本体に仮組してみる。少しズレたが問題なかったので、塗装。
乾燥後にリベットで取り付ける。リベットも手持ちのもので対応できた。
若干歪んでいるが、まあよしとしよう。フックも問題なくかかる。紐も取り付けて無事完成。
ごく一部の修理ではあるが、たぶんパーツとして手に入れることはできないので、おそらく開閉部全体の交換が必要になるだろう。
開閉部は、昔の記憶では2万円ぐらいかと思っていたが、現在の新品価格を調べたところ4万円していた。もし、取り付け、廃棄まで業者にお願いしたら5万円以上の出費になるだろう。大儲けした気分だ。
しかし、今回一番得られたものは、Cチャンが案外(自分的には)使いやすい素材だということに気がつけたということ。鉄工の幅が広がりそうだ。