危機一髪のティートゥリー

暑い日が続く。苗達への水やりも気が抜けない。油断していると、いつの間にかへたっていたりする。それでも、多くの種類は相当ひどく水ぎれしないかぎり潅水すればほぼ復活する。

ただ、中には短時間の水切れが大きなダメージになってしまうものもある。

オーストラリア産なので乾燥に強いと思われがちなティートゥリー。もともと生えている所が湿地だそうで、水切れには結構弱い。

ティートゥリー

今日もふと見たら危機一髪であった。もう、枝の下のほうの葉は回復しないかも知れない。あと半日遅ければ全体がダウンの憂き目もありえた。秋までまだまだ先は長い。神経をすり減らしながらの水やりの日々である。

やっぱり悪いヤツ

お客様のお庭に行くと普段お目にかかることのない昆虫に出会う。別に遠方へ行くわけではなく、同じ市内であっても環境や植生が違うとそこに住む昆虫の違いがよくわかる。

今日もとあるお庭へバラのお手入れに伺うと、タンポポの綿毛を背中に背負ったような小さな虫が葉にいた。きっと今の時期バラの葉にいるぐらいだからきっと悪いヤツなんだろうなと思ったが、なかなか愛嬌がある。

ベッコウハゴロモ

「でも、こういうヤツに限ってタチが悪かったりするんだよね」とスタッフ。

ベッコウハゴロモ
愛嬌のある正面

あとで調べてみると「ベッコウハゴロモ」というヨコバイに近い昆虫の幼虫だった。枝から汁を吸うと言う。やっぱり悪いヤツだった。葛のあるところに良くいるそうなので、圃場の周りでみてもおかしくないはずなんだけど。小さいからね、普段目に留まっていないのだろう。バラの葉を一枚一枚チェックするようなつもりで葛を見ればきっと見つかる。

しかしこの毛は一体何のために?ピョンと飛ぶので、そのあとこの毛でふわりと浮かんだりするのかなぁ?

旬に合わせて

主に春先に開花するスイートバイオレット、花の後はしばらくお疲れ気味で、ほかのハーブが旺盛に育つ初夏はすこし元気がない。もしかしてこのまま梅雨、そして暑い夏を迎えたら相当調子が悪くなるのでは・・・・。と心配になるが、梅雨の中ごろから、急に元気を取り戻すことが多い。寒さに強いスイートバイオレットなので、夏はさぞかし苦手と思いきや、強烈な日照さえ遮って、乾ききらないように気を付けてやるとかえって5月ごろより元気に見える。

新しい葉も出てきて、まるで第二の旬を迎えたような雰囲気さえ漂わせる。そして、旬を逃すまい!と、ツマグロヒョウモンの幼虫もしっかりと現れる。旬のものは美味しいと言うことを知っているのだろう。今年は、ピンクスイートバイオレットが特に調子が良かったら、しっかりこの種類に大発生した。

ピンクスイートバイオレット

もちろん、年によって旬の時期は前後する。それなのに、毎年遅れることなく出てくるのには感心する。

ツマグロヒョウモン
この方たちは、葉を豪快に食べるので、葉が齧られるのがよくわかる。その上、保護色なんて気にしないと言う態度なのか、葉の間にいてもとても目立つ。おかげでつかまえるのもとっても簡単だ。

ツマグロヒョウモン

初めて目にした時にはおっかなびっくりハサミでつまんでいたが、毒もないことが分かり、今では全く平気である。スタッフはまだ素手ではつかめないようだが、そのうち克服できるかな?

スズメの朝食

気温が低めに推移した初夏までは害虫の類いも少なくて大変助かっていたが、ここに来て、今までの遅れを取り戻そうとするかのようにいろいろな害虫が姿を現してきた。特に毛虫。

このお庭でも、白花モッコウバラにアメリカシロヒトリが襲来。見ているとものすごい速さで葉を齧っている。

アメリカシロヒトリ

さらに、ツルバラにはリンゴドクガ。これは初めて見た。ドクガの名が付いていても毒は無いと後で知ったけれどさすがに手を出す気にはならなかった。

リンゴドクガ

普通アメリカシロヒトリは大発生し、甚大な被害をもたらすと聞く。しかしこのお庭でも探しに探してようやく5匹ほど発見。オーナーにお話を聞いて見ると毎朝スズメが周りを飛び回って大騒ぎしているとのこと。おそらく相当数が雀に食べられているのではないかと言う結論となった。リンゴドクガも一匹のみ。これもスズメのエサになっているのだろうか。スズメたち、明日の朝食を横取りされて今ごろおこっているかも知れない。

実が付くまで

夏野菜が旺盛に育つようになると、待ちかねたように昆虫たちもやって来る。毎年のことながら、ピーマン、ナス、シシトウなどはカメムシのお気に入りのようだ。去年はピーマンにカメムシが大量についてしまったが、雨模様の天気のせいもあって、半ば放置状態だった。それでも、見るのが嫌になるほどのピーマンが収穫できた。

今年はちょっと気合いを入れて防除に精を出す。捕殺する時の匂いももはや気にならない。

カメムシ

今はダイレクトにつかまえるのと、枝を振って、一度地面に落ちたのを捕まえると言う2段階方式で行なっている。ところが、カメムシたちは隠れるのが上手である。ササッとこちらから見えない位置に移動する。ひとしきり捕えて、反対側に回ってみるとまだまだたくさんいてため息が出ることもしょっちゅうだ。

毎日毎日とってもとっても、翌朝になると前日と同じぐらいいたりするので、しばしば途方に暮れる。たった数本のピーマンやナスでこうだから、大量栽培の苦労は想像もつかない。

しかし、このような念入りの防除も実が付くまでだろう。食べきれないほど採れるようになると、一気に防除熱は下がる。「どうぞ、君たちも食べたまえ」