ニートな葉

5月になると日差しも強い。朝や夕方はともかく、真昼は日陰のほうがかえって気持ち良いぐらいになってきた。

ハーブたちも強烈な直射日光を嫌う種類はそろそろなにか対策を始めなくてはいけない時期である。斑入りの種類については葉が焼けてくるものもぼちぼち出はじめる。

パイナップルミントも葉焼けに弱い種類の一つだが、春先にはさらにこんな葉も出てきたりする。

アップルミント

普通は縁取りのように斑が入る。ところが、たまに葉全体が真っ白になってしまったものが出ることがある。

かつてはこれを何とか増やせないかといろいろ試して見たこともあったが徒労に終った。写真でも分かるように葉の縁のほうから徐々に焼けてくる。5月の初めでこうだから、その後どうなるかは明らかである。可愛らしい葉ではあっても葉緑素不足ではあまりに弱いのだ。

この葉で光合成しないのであれば、他の葉で作ってもらったエネルギーでようやく成長しているのだろうか。早く自立しなさいと言いたいところだが、自分もかつてこの葉と似たりよったりであったことを思い出すと沈黙せざるを得ないのである。

底力

冬の間土の中で息をひそめていたハーブ達も次々と顔を見せるようになった。

久しぶりに出た芽に懐かしさを感じさせるものも多い。でも中にはそうでも無い種類もある。ビニールハウスの横で雑草化しているミントもその一つだ。
ミント
一体どこからやって来たのか今となっては起源も定かではない。株分けの残りがいつの間にか根付いたのか、たまたま捨てた土に混じっていたのか。更に何種類かで交じり合ってしまったようで見た目はオーデコロンミントに似ているが、香りはペパーミントに近い感じだ。といってブラックペパーミントでもない。

ミントの勢いが強いのは今更言うまでもない。しかし、この場所は普段通路にしていて踏み固まっているところである。その上カチンカチンの粘土質。そんな土を割って出てくるパワーは驚異的だ。

夏に繁茂するスピードにも圧倒されるが、むしろ春に見せるこんな姿の方がミントの恐ろしいほどの底力を感じさせる。もう、こうなってしまっては草取りをしても無駄であるからして放置状態だ。

普段口を酸っぱくして「地には植えない方がいいですよ」とアドバイスしている訳もわかっていただけるだろうか。

冬のミント

ミントといえば簡単に育つハーブの代名詞のようなもので、放っておいても育つ雑草のようなものだと思われていることが多い。ましてや我々ハーブを生産するものにとってはお茶の子さいさいだと思われるかも知れないが、実はそうでもない。

特にパイナップルミントはあの強健なアップルミントの斑入りであるが、ポット苗は夏場は傷みやすくそれなりに気を使う。斑の部分が強い日差しで焼けてしまうのだ。

その一方で冬場は楽勝である。寒さには強いし、たいていは株元の芽だけか、地上部が消失してしまうが、かえって安心だ。
パイナップルミント
松江のほうでは冬は葉を楽しむことはできにくいが、ハウスの中は別である。成長はしないが、紅葉して3色になった葉色が楽しめる。寒さに耐えながらも美しく色づく姿はなかなか良いものだ。