お引っ越し

圃場の横には、地区の集会所がある。この隣に小さな水田があった。長い間耕作する人もなく、荒れ放題だったが、いつの間にかガマが生えてきたりしてちょっと風情のある場所になっていた。なかでも秋にピンク色の小さな花を咲かせるサクラタデが群生していて、目を楽しませてくれていた。

サクラタデ

ところが昨年、この水田も集会所の駐車場にするために埋め立てられてしまった。どうやら耕作放棄地で雑草も多いため、周りから苦情が出たらしい。地区で買いあげたと言う話も耳にした。

あのサクラタデがもう見られないとなると少し残念だったが、よその土地のもの。かかわり合う権利は無い。

近くに寄って見るととても可愛らしい姿の花である
近くに寄って見るととても可愛らしい姿の花である

ところが、今年、ちょうどサクラタデがあった反対側、圃場の端っこに小さな株が花を咲かせているのを見つけた。きけばサクラタデは種子で増えることはないという、一体どうやって?身の危険を感じて必死でお引っ越ししたのだろうか。まさか、道路の下を通って?。いずれにしてもちょっと嬉しい出来事であった。

菊を愛でる

重陽の節句である。ここは一つ菊でも愛でようかと圃場の周りを一回り。野に咲くキク科の花を探してみる。

アキノノゲシ

まずはアキノノゲシ。となりの荒れ地にたくさん開花中であった。写真に写してみるとなかなか良い感じだが、花の後の綿毛が一気に飛んでくるのには毎年閉口させられる。

ヒメジョオン

続いてヒメジョオン。春から秋までいつでも見かける。ビニールハウスの間に結構生えている。しょっちゅう草を刈っている場所なのに元気だ。エリゲロンの仲間だとは今まで知らなかった。そう言われれば共通点も多い感じだ。名前も何となく似てるね。

オオジシバリ?

圃場の裏の当りにいっぱい咲いているのはオオジシバリ(ただのジシバリかも知れない)。こんな圃場の端ではそれほど邪魔にはならない雑草なのだが、完全に駆逐しようとすると大変だ。

ノコンギク

最後に見つけたのがノコンギク。ビニールハウスの外から枝を伸ばし入れて、ポット苗の上に咲いていると、ハーブの花が咲いているようにも見える。「私も仲間に入れて」と言っているかのようだった。

今日は充分観賞用として楽しませていただきました。どうもありがとう。でもまた明日からは雑草として扱うのでヨロシク。

芋虫のボルト

どちらかと言えば病害虫の被害に悩まされることの少ないローズマリーだが、今の時期はちょっと違う。

春に開花が終わり、少し休ませてからローズマリーは挿し木をすることが多い。すると、ちょうど夏にポット上げを迎え、今はぐんぐん成長する時期になる。気温も高めで、水分も申し分なく与えていると柔らかく、美味しい新芽が次々伸びるから、蛾(蝶かも?)の幼虫の餌食になりやすい。

マリンブルーローズマリー

幸い、見つけるのは容易で、葉がかじられた跡が残る。冬ならばがっしりとした葉でなかなかかじられることも無いだろうと思われるマリンブルーローズマリーもこの有り様だ。

この中央に犯人がいる
この中央に犯人がいる

丁寧に探せば犯人の居場所も分かる。何枚かの葉を巻いてお家を建てている。たいていはこの中にいるので、すぐわかるのだが、捕殺しようと思うのなら慎重に。

突然動き出し・・・
突然動き出し・・・

俊足のスプリンターなのだ。見た目からは想像できないぐらいすばしっこい動きで下へ逃げる。地面に落ちたらなかなか見つけにくいだろう。

下に向かってパパパッと逃げる
下に向かってパパパッと逃げる

カメラで撮影するのもなかなか大変だった。

インベーダーたち

圃場の背後は荒れ地で囲まれているので、毎年ツル植物との攻防戦が行われる。今年も梅雨前まではこまめに草刈りができていたので葛を中心とする侵略者たちの侵攻もわりあい抑えることができた。

しかし、雨続きの夏は草刈りもしにくく、一日、もう一日と伸ばしているうちにやつらは確実に魔の手を伸ばし続けたのである。

雑草に紛れ、侵略の機会を窺う葛
雑草に紛れ、侵略の機会を窺う葛

ビニールハウスの周りには、花壇や畑もあり、栄養もいっぱい。その上絡みつきたくなるパイプが山ほどあるのが気になるのだろうか。

パイプに絡みつきはじめると始末に負えない。引っ張るなんてこちらの手を痛めるだけ。少量ならほどいたり、元の方を切ってしまうこともできるだろう。だが、ツル同士がからみあうようになるとお手上げである。冬まで放置しておいて、枯れてから取り除こう、と白旗を揚げることになる。

マメ科?のツル植物。細いが非常に強く、厄介者。普通、熱くなるパイプに巻きつくか?
マメ科?のツル植物。細いが非常に強く、厄介者。普通、熱くなるパイプに巻きつくか?

この夏、アルコール依存症に葛のエキスが有効であると言うニュースが流れた。スタッフにも依存症一歩手前と言う感じの方がいらっしゃる。是非この大量の葛を有効活用してくれたらありがたいのだが・・・

メキシコのおヒゲ

ここ数年お気に入りのサルビアが、これ。シナロアセイジ。あんまり大きくならないのも有りがたいし、葉色に特徴があって花が無い時も良い感じ。

シナロアセイジ

花色が好みなのは無論である。その上、下側の花弁にある白い斑点が良いアクセント。白い髭でも生やしているかのようだが、この斑点がなかったらちょっと地味な感じだったかも。

初夏にも咲いてくれて、夏は割とお休みがちであるが、秋になるとまた開花を始める。夏、あんまり暑かったり、乾燥しすぎると葉が焼けやすいのが難点。

株が小さい時には冬に地上部が消えてしまって結構心配することもある。松江では鉢植えで軒下にでも置いておけば確実に越冬してくれる。地植えだとぎりぎり。調子が良いと越えてくれる感じだ。かつて冬前にポット上げして一割も残らなかった苦い経験もある。

それにしてもメキシコのサルビアは魅力的なものが多い。十年ぐらい前、メキシコに行った友人から「メキシコっておっきな帽子をかぶった人とサボテンしか居ないと思ってるでしょ!」と指摘され、素直に頷いたことがあるが、いまなら素敵なサルビアも咲いていると思っているゾ。