冤罪

お盆ごろから腕や首に湿疹が出だした。はじめ、今年二回目のあせもかと思ったのだが、どうやら様子が違う。一時は枕か何かのダニではないかとも疑ったし、いま流行っている手足口病かもしれないと考えたけれど、やはり違うようだ。

しばらくしてそう言えばこれは・・・チャドクガか何かが原因では?と思い当たった。徐々に広がっていくので毛虫だとは考えもつかなかったけれど、こいつらの毛は衣服について患部を広げるのだった。そのように考えれば納得が行くし、チカチカする痛みも3年ほど前の症状を思い出させた。早く分かっていればガムテープで針を抜き取ったのに。今や遅しである。

ただ、どこでやられたのかがはっきりしない。お盆前には何軒もお庭を回ったけれど、とりあえず見かけなかったし・・・。

ふと思いついたのが、毎日畑のオクラを収穫する時にお目にかかる緑色の毛虫。ほぼ毎年オクラの葉を破れた傘のようにしてくれる大食漢だが、目についた時に収穫鋏で払い落とすぐらいだった。もしやこいつが?と、疑いを持ち、恐る恐る近寄って撮影。いままであまり気にしなかったのに、急に態度が変わってしまう。細い毛までが、ネトルのように恐ろしいものに見えてくる。ところが調べてみたらどうやら無害のようだった。

フタトガリコヤガ

ちなみに正体は、フタトガリコヤガの幼虫。もう少し大きくなると黒い点々が目立つようになる。アオイ科の植物が大好きなようだが、あまりマロウについたのを見た事が無い。オクラのほうがおいしいのだろうか。

オクラの花
オクラ・・・花もまた良し。実はサッとゆでて味噌汁に入れるのが好み。なぜか嫌がる人も多い・・・

それにしても、早口言葉に使えそうな名前である。フタトガリコヤガ、フタトガリコヤガ、フタトガリコヤガ・・・。

タンジーと蝶

夕方、ひとしきり雨が降り、店頭のハーブたちも少し元気を取り戻した模様。でも、暑さで傷んでしまった苗は圃場へ持って替えって養生が必要なので、くたびれた株が無いかチェックしていると目の前をひらりひらりと横切ったものがいる。

タンジーとアゲハ

タンジーの黄色い花にふわりと止まったのは一匹のアゲハであった。ハーブの中でも比較的防虫効果が高く、それを目的に買われるお客様も多いし、実際活用していらっしゃると言う話も結構聞く。こちらもこちらで、あまり虫媒花の果樹などのそばには植えない方がよいとおすすめしているので、こういう光景を見ると苦笑するしかない。

いくつか理由を考えてみた。

  • アゲハにはタンジーの防虫成分が効かない
  • 花の蜜の誘惑の方が上だった
  • まだ苗なのであまり防虫効果が強くなかった
  • 花の辺りは防虫成分が少ない
  • 暑さで防虫成分が弱っている

etc.・・・

まあ、実際にはこのアゲハに聞いてみないと分からないわけで、人間にも時々いるように変わり者のアゲハだったのかも知れない。真夏で、他に目ぼしい花が無くて仕方なく止まってしまったとも考えられる。砂漠のオアシスはより好みはできないしね。

夏は昆虫も多いせいか防虫ハーブの人気が高い。お客様から聞いたり、自分で見たりしても、効果があったり、無かったりとケースバイケースのようである。シトロネラの回りで草取りしていると蚊に刺されなかったと言う報告もあれば、スタッフはシトロネラの株分けをしている時に蚊に刺されたと言うし。ペニーロイヤルミントを植えたらアリが家に入ってこなくなったと言うお客さんもいれば、うちは葉の上を平気でアリが歩いているという話もあったりする。

キャットニップと猫の関係も微妙だ。以前、猫のいるお家に言った所、自分のかばんに猫がしきりに突入しようとするので調べてみたら、かばんの奥にドライになったキャットニップが入っていた事がある。今考えるとなぜかばんの底にキャットニップが有ったのかが不思議だが。一方で、圃場に迷い込んできた野良猫にキャットニップを嗅がせたらたいそう嫌がった。これは多分まだ仔猫だったからだと思うのだが・・・。

とりあえず、今夕、タンジーに止まった蝶の姿、しばし暑さを忘れさせてくれたのは確かであった。

花が咲く前に

お客様からよく伺う話として「レモングラスをおじいちゃんがススキと間違えて抜いてしまった」というのがある。店頭でも毎年一回は耳にする話題である。

「まあ、草みたいなもんですからね〜。関心のないひとには見分けが付きませんよ。」と慰めるのだが、実際ハーブには「草みたいな」ものが大変多い。

ソープワートもそのひとつ。草むらの中から「探せ」と言われたら結構苦労しそうである。ただ、花が咲く時は別。柔らかなピンク色も良く目立つ方だし、しっかり育てると、写真のように思ったより存在感がある。特に、つぼみの様子がなかなか印象的である。
ソープワート
でも、観賞用として薦めますかと言われると、どうだろう。なかなか分かってもらえないかも。それ以前に、花が咲く前に間違えて抜かれませんように。

好き嫌い、多いに結構

長くハーブを育てていると、「そろそろこのハーブにこんな害虫がやって来そうだ」とか、徐々に分かってくる。結果、発見も早く、被害が大きくならないうちに対策できるようになる。春先の一年草につくアブラムシ、夏の終わり、ニオイスミレにやってくるツマグロヒョウモンなど、そうあわてずにすむようになった。グルメな奴らなのでターゲットが限定されるのが幸いしている。

ところが、ちょうど今ごろ現れるナシケンモンばかりは、「あれ、これにも」、「こっちにもいるぞ」と言った感じで神出鬼没。あわせて大食漢なので気が抜けない。今日は今伸び盛りのモミジバエルダーをばりばり。発売に向けて順調に成長していただけに口惜しい限り。

ナシケンモン

我が子には好き嫌いせずに食べなさいと口うるさく言っているが、ナシケンモンにだけはむしろ好き嫌いがあって欲しい。

刺激

この冬の大雪でヘの字に曲ってしまったユーカリ。結局初夏まで待っても「く」の字ぐらいまでにしか戻らず、さすがに見た目が悪いので枝が残っているぎりぎりで剪定した。

ユーカリ

それが良い刺激になったのか、梅雨入り頃から残っていた小さな枝がすくすくと成長。そのうえ、切り落としたすぐ下の所からたくさん新芽が出てきた。

ユーカリの新芽

これで取りあえず枯れることは無いと一安心していたのだが、今日、下のほうの太い枝の辺りから小さな芽がいくつも出ているのを見つけた。

ユーカリの新芽

普段ならこのへんから新芽が出てくることはまず無い。あな嬉しや。これならもう一段低い所で剪定できる。オーストラリアじゃないので10何メートルになられても困るしね。