自然にはかなわない

圃場の裏手は土手状の荒れ地で、夏草の残りがまだ覆い茂っている。用水路際の斜面には季節季節で野草が花を咲かせる。今日、ふと目をやると、ミゾソバをバックにブルーっぽい花が咲いているのが見えた。季節がら、アキノタムラソウかなと思ったのだが、ちょっと様子が違う。

後ろのピンクはミゾソバ
後ろのピンクはミゾソバ

ヤマハッカであった。こうして写真に撮ってみるとなかなか良い物だ。

さて、セイヨウヤマハッカと言えば言わずと知れたレモンバームの和名であるが、こちらの本家?ヤマハッカは同じシソ科ながら、むしろアキチョウジに近い植物である。ただ、葉の形は確かにレモンバームに似ている。ハッカと名はつくけれど、ハッカのような香りはしない。特に薬用として使われることもないようだ。

ヤマハッカ
観賞用として栽培されることもあるのかもしれない。つい、手元に植えてみたいという気持ちが湧いてくる。でも、自然のままで他の草花と咲いている姿、我々がいくら一生懸命手をかけてやっても、なかなかこううまくはいかないのである。

時期をおぼえておいて、また来年目を楽しませてもらおう。

花の木

今日は休日だが、親戚の家へお茶摘みの手伝いに行った。秋の晩茶摘みである。

さて、ここへ手伝いにくるとよく耳にする植物名がある。「花の木」である。地元のじいさん、ばあさんたちがしきりに、「花の木をもらいにきて」とか、「花の木が植わっちょって」などと話しているのをよく耳にする。地元の人の花の木にかける熱意は相当のものがある。かなり遠くはなれた町からわざわざもらいに来られたりしている。

どうやら仏壇などに供えるものだと言うことは話の筋から推測できるが、具体的に何という植物なのか、ずっと分からずじまいだった。聞いてみても良いけれど、
「そぎゃん、花の木は花の木だわね」
(そりゃ、花の木は花の木ですよ)
と言われることは目に見えている。
ネットで調べても良いのだが、地元の通称と世間一般の通称が違ったりすることは決して珍しくはないのであまり頼りにならない。

ところがある日、同じ市内のホームセンターの花木コーナーで、「花の木(シキミ)」と札がついた木を見つけた。ようやく見当がついた。

シキミはお寺やお墓に植えられたり、仏壇に供えたりされるらしいが、白くて可憐な花を咲かせる。ところが、全草が毒で、特に実は猛毒。植物性としては唯一劇物指定もされているらしい。とある本によると、そのため、土葬が主だった時代、墓地の周りに植えることで獣などが近づくのを防いだという。殺虫剤としての利用もあったというが取り扱いは難しそうだ。

今日、ようやく実物をこの山で確認できた。既に花は終っていて、果実ができている。近縁種にスパイスで使われるスターアニスがあるが、確かに良く似ている。
花の木
ちなみに、地元の人に「花の木って猛毒だってご存知ですか?」と訪ねたら、ほとんどの人が知らなかった。売ると結構いい稼ぎになるということで好きな人は多いようだが。ただ、近隣の野山のことに精通し、私も敬愛するMさんだけは、
「ああ、花の木だけは鹿もかじーませんけんねぇ(齧りませんからねぇ)」
と、ご存知だった(この辺りは鹿の被害も多いのだ)。ついでに、
「実は熟すとポ〜ンとはじけて、遠くまで飛びますけん」
と教えてくれた。こういうデータはどんな植物事典にも載っていない。

熟しつつある果実
熟しつつある果実

いつか、機会があれば白い花と実がはじける様子も見てみたいものだ。

太刀魚とチャービル

昨夜、夕食は私の大好物・・・お寿司だった。といっても、スーパーのパック寿司なのだが。とはいえ、整然と並ぶにぎり寿司には心が躍る。どれから食べようか、最後のシメはどれに・・・と、流れを考えつつ箸を進める楽しみもまた格別。

3つめに箸をのばしたとき、おや、これは・・・。光りものの握りの上に乗る鮮やかな緑の葉。
「もしや、チャービルでは???」
つまんで口にいれてみるとおなじみの風味が。

ケーキの上ではよくお会いするがまさか光り物の上にいらっしゃるとは。パックのふたを見てみると、太刀魚の握りの上に乗っていたようだ。チャービルを基準にして考えるとびっくりだが、今やなんでもありのお寿司を基準にすれば決して驚くべきことではない。

迂闊にも、単独で食べてしまったので太刀魚との相性は検証できずじまい。太刀魚とシャリ、醤油とワサビ、そしてチャービル(こう並べるとなんかすごいね)のマッチングを堪能してみたかった。

さらに迂闊なことにはお寿司の魅力の前に写真を撮ることさえ忘れていたのである・・・。

整列!

ロケットの種まきはここ何年か、自家採取で行ってきた。といっても、きちんと種取りをする訳でなく、春に花が咲いた大きい株を少し残しておいて、種を熟させ、次の畝になりそうなところにパラパラパラ。だいたいこうしておけば、夏の終わりぐらいには芽が出てきて、適当に間引いてやれば良かったのに今年はなぜか全く発芽の気配が見えない。

仕方ないので久しぶりにきちんと種まきをすることに。株の種をまく要領で筋まき。条間20cmほどで2条、1メートル分あれば我が家では十分。たいていは発芽率がいいので相当間引くことになるのは分かっていても、心配性なのかつい多めにまいてしまった。

ロケットなので発芽してみればこの通り。今年もたくさんロケットのサラダが楽しめそうだ。行儀よく並んでいて収穫も楽にできそうだ。

秋のアルカネット

ビニールハウスのすぐ横で、アルカネットの紫が目についた。植えたものではないのでこぼれ種だろうか。普通、初夏に咲くことがおおい花だが、秋に咲くのもそれほど珍しくはないようだ。

アルカネット

どちらかと言えば小さめの花なので初夏だと他の目立つ花に埋もれてしまいやすい。今、周りにあるのはせいぜいコスモスぐらいなので小さな色でも目を引きやすいし、秋は花の期間も初夏に比べ長いのもうれしいところ。その上、暖かい時期には徒長しやすく、強い雨でべたっと倒れてしまうこともままある。野趣に富む植物だし、秋の控えめな草花と一緒に咲いているほうがアルカネットとしても楽しいんじゃないだろうか。