狐の孫は狐

花壇の脇ではツユクサの青い色がちらほらしているし、お隣の畑の隅にはオミナエシの黄色が。野は秋の色が目立つようになってきた。

キツネノマゴ

夏の間、休憩場所になっているボダイジュの大木の下では、あちらこちらでキツネノマゴのピンク色の花が咲き始めている。

「キツネノマゴ」と聞いて、そういえば、キツネノマゴ科のハーブ、あったよな・・・思い出そうとするが、パッと出てこない。どうも小さなヴェロニカのような植物を連想してしまっていた。

帰って改めて調べたら、そうそう、アカンサスがキツネノマゴ科だったのだ。確かに、花穂と花の咲き方は共通点もあるかんじだ。

店頭にあるアカンサスの鉢。夏の間葉が全部落ちて、新しい葉がで始めていた

ついでに、キツネノマゴも確か薬用だったはず・・・と調べるうちに、茹でて食用になるとの記述も見つけた。今度試してみようか。

朝食に香り高い浜茶を

9月に入っても暑さが厳しいので、早朝スタートによる作業パターンが続いている。

早朝から作業を始め、8時前後に軽い朝食を取る。朝食の時の飲み物も先日までは麦茶など冷たいものだったが、今朝はなぜか気分が変わってカワラケツメイのお茶が欲しくなった。この辺りでは浜茶と呼ばれる。

時々飲みたくなるので、アウトドア用のクッキングセットに小さな缶で入れている。今日は茶漉しがなかったので、シェラカップで淹れて、箸を使ってそっと漉してコップへ。

香ばしい香りが何とも秋らしい。実はこのカワラケツメイ、畑の一部で現在開花中だ。

もう10年以上前だろうか、この浜茶が好きになった頃、出雲の斐伊川の河川敷で咲いているのを見つけた。おそらく育てるのはそんなに難しくないだろうとは思ったが、なかなか種子を手に入れる機会がなかった。数年前に、たまたま訪れた庭で咲いているのを見つけ少し分けてもらい、種子を収穫できた。

次の年、ポットで育てて(今考えるとむしろ可笑しいが)、畑に畝まで用意して栽培した。雑草のようなものなので、非常によく育ったが、お茶にするための収穫はできなかった。かろうじて種子は取れたので、翌年(それが去年だ)も同じようにポットで育てていたが、零れ種で本当に雑草のように畑に広がってしまい、去年も収穫せず。収穫もそれなりにタイミングがあるし、その後、水洗いして、乾燥して炒る必要がある。この、収穫、洗浄、乾燥、焙煎というのは、それなりに手間もかかる。美味しく作られたものが市販されていることも考えると、なかなか実行に移せない。

そう考えるとハーブティーは、フレッシュならば最後の2工程が必要ないので楽だなぁと、今更ながらに思うのである。

今年は、収穫にも良い感じにまとまって生えているし、洗浄、乾燥まではなんとかできそう。今のところは焙煎が難所となりそうだ。いちどできたらそれなりに納得もすると思うが、さて、今年できるかどうか!朝食に香り高い浜茶が楽しめるだろうか?

夏菜園で最後まで残るもの

今年は種まきのタイミングが悪くてひと株しかない家庭菜園のオクラだが、先月からポロポロと収穫が続いている。

夏野菜はその年によって育てるものにも変化があるが、オクラはおおよそ毎年育てている。育てやすいし、コンスタントに取れて食卓を賑わしてくれるのもありがたいが、もう一つ理由がある。

秋に向けて育苗中のマロウやホリホックの大敵である葉巻虫の警戒アラート役だ。オクラも同じアオイ科なのでこの葉巻虫が必ずといっていいほどやってくる。

オクラとフタトガリコヤガ

野菜を育てている人には「オクラの葉巻虫」といえばそれで通じると思うが、フタトガリアオイガ(フタトガリコヤガ)という名前の昆虫だ。

外の畑のオクラにこの葉巻虫がやってくると、大抵、マロウやホリホックにも着き始める。オクラは毎日チェックしないと1日の収穫の遅れで食べられなくなるほど大きくなるので、大抵朝に様子を見る。今朝、収穫に行ったら数匹の葉巻虫がいたので、育苗中のブラックホリホックの苗を調べたらやはり葉巻虫を発見。すでに若干被害があったが、放っておいたら丸坊主になるところだった。この毛虫は素手でも大丈夫なので即退治できる。

ブラックホリホックとフタトガリゴヤガ

こういう理由もあって、オクラは毎年夏の菜園には欠かせないし、最後まで残っていることが多い。片付け忘れを指摘されても、苗のためという言い訳もあるし。

黄色い葉っぱに騙される

農業では、いつ頃種子をまいて、いつ頃定植、収穫はいつ頃というように栽培計画をたてることがとても大事だ。

かつては栽培計画らしきものを作っていたこともあったが計画通りいったことはまずなかった。栽培する種類が半端なく多いうえに、種まきしてから発芽まで、挿木をしてから発根までの期間もそれぞれ異なる。そのうえ、季節やその年どしで発芽や発根にかかる日数も変わってくるので、いついつ頃に種子をまくと、何日後に発芽、更に何日したらポット上げなんていう計画をたててもほとんど役に立たない。10種類、いや、20種類ぐらいまでならなんとかコントロールできるかもしれないが。

なので、計画的な農業とはとてもいえない。乱暴な言い方をすれば、行き当たりばったり。その一言に尽きる。

ポット上げも行き当たりばったり。種子の発芽ならば目で見てわかりやすいので、芽が出てポット上げできそうならそうする。でも、挿し木の発根は、プラグをひっくり返すのが確実だが、いちいち裏返すのも面倒なので、大抵は地上部の様子をみて芽が動き始めたことで判断する。

もちろん、経験から、そろそろ発根しているだろうという予測はつくけれど、それにしてもラベルの日付が頼りとなる。

今日もふと見たレモンマートルの挿木に、「ん?」と違和感を感じて名札の日付を見てみたら3月の終わり、十分発根している頃だ。

もともと葉が黄色っぽいので、この夏前に挿木したものと見分けがつかなかった。プラグから出してみたら、しっかり発根していた。

しっかり発根

このまま見逃していたら、半年遅れもあったかもしれない。

レモンマートルの場合、成長にはある程度気温があった方が良いので、すぐにポット上げをすることにした。

気が付いてよかった。挿木したプラグも、作業順に並べてはいるのだが、つい見落としがちだ。スタッフには日々「観察が大事」と言っているのに、反省、反省。

暑さに平気になれたら

少し前のブログでも述べたが、今年は稀に見る渇水だった。全国的には豪雨のニュースが目立ったので、他の地域の方には「去年のことですか?」と言われそうだが。甲信越のお客様からも、雨がなかったという話を聞いたので、雨の被害ばかりだったように思える夏でも渇水のところが他にもあったようだ。

当店の場合、雨不足は井戸の水量に直結するので深刻な問題だ。

渇水の兆候は、まず、畑のキウイの葉に現れる。ニュージーランドの果物というイメージが強いので(原産は中国だそうだ。長い間知らなかったが)、乾燥に強いような感じもするが、案外水分を必要とするらしいし、植えた場所のせいもあるようで、日照りが続くと葉が徐々に萎れていき、さらにはパラパラと落葉し始める。

少雨で水が貴重になってくると水をやるのも憚られるので、枝ごと剪定して負担を減らすが、今年は一株がほぼ落葉してしまい、情けないサイズの果実だけがなんとか残った。

それでも、先日の雨の後に復調したのか、落葉したところからすぐにみずみずしい葉が伸び始めてきた。今年も果実はあまり期待できないが、枯れることはなさそうだ。

もう秋なので、落葉したままでいいのに・・・とも思うのだが、まだ可能なうちは光合成したいのだろう。果実にもっとエネルギーを送りたいのだろうか。太ってくれるのは大歓迎だが。

そんな過酷な夏だったのだが、平気な顔で咲いているのが、カラミントの仲間たちである。

カラミント・ネペトイデス

日当たりも良くオープンな場所でむしろ徒長せずに形良く咲いているのがカラミント・ネペトイデス。これから気温が下がると花に紫色が混じってくるのも楽しみだ。

また、ネムノキの下で、しっとり咲いているのがレッサーカラミント。それほど強そうには見えないのだが、厳しい夏の終わりにもくたびれた様子を見せない。

毎年のように過激さが増してくる夏の暑さだが、これらの花たちのように平気になれたら・・・と、みるたびに思う秋の入り口だ。