ブータンのとんがらし

夏前、スタッフの一人が苗のポットを持ってきた。中で発芽したばかりの小さな芽が五つ六つ伸びていた。ラベルには「ブータンのとんがらし」と書いてあった。

スタッフが友人からもらったと言う。詳しく訊ねてみると、その友人も知り合いの青年海外協力隊?かなにかで、ブータンに行った人からもらったと言う。

種子をもらった友人が蒔いてみたら発芽したので、こちらで育ててもらいたいとスタッフに預けたのだ。

どんなものかわからないが、まず一ポットでは窮屈なので一株づつポット上げした。そのまま順調に育ち、普通のトウガラシのような苗になり、ハウス横の野菜畑に植えたのが7月に入ってからだと思う。

この夏の雨続きの天気で果してブータンの植物が育つのか、全く自信はなかった。枯れたら枯れたときという気軽な気分で様子を見ていたが、少し徒長して支柱が必要になったぐらいで、順調に開花。実も付けはじめた。

ネパールのトウガラシ

どうしようかという話になったが、正体が分からないトウガラシは結構怖い。以前、やはり初めて育てた種類を不用意に口に入れて大変な思いをしたことがある。

まずは、持ってきた人が・・・ということで、当のスタッフが収穫することになった。何本か収穫して、持って帰るかと思いきや・・・

なんと、ハウスにあるコンロを持ち出してきた。その上、以前カモミールの煎じ液を作った時に間に合わせでこしらえたザルを出してきてその上で焼きはじめてしまった。トウガラシを洗いもせず、きったない作業台の上でだ!

ネパールのトウガラシ

うちのスタッフはこういう時は勢いがあるから怖い。これもまた机の奥底に眠っていた即席味噌汁の味噌をつけて食べると言いはじめた。(そもそもビニールハウスに即席味噌汁があることも問題だ)

適当に焼くとなかなか良い匂いである。その場に居合わせたのが運の尽きと観念してお相伴に与ることにした。

恐る恐る口に含むと、ピーマンよりも甘く柔らかな香りが広がる。辛味は・・・というとぴりっと辛い。でもシシトウをちょっと辛くしたぐらいでなかなか美味しいといえるのではないだろうか。

食べた後で何か起こるのではないだろうかという心配も杞憂に終った。もう何度か食べてみてやはりイケルようだったら種子まで取ってみようかという話になっている。

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ピーマンの思い出

3年ぶりにピーマンを育てている。夏野菜の花壇には、トマト、キュウリ、ナスが常連。ピーマン、シシトウ、オクラなどはその年の気分で植えたり植えなかったり、植えるのを忘れてしまったりと言うパターンが多い。

ピーマンと聞くと思い出すのが子供の頃からの一人の友人である。とても真面目で温厚、人間的にも愛すべき人柄だったのだが、ピーマンを非常に、それはそれは嫌っていた。どうしてこいつはこんなにもピーマンを嫌うのだろうと、子供心に不思議に思っていたものだ。

実際、子供のころからピーマンが大好きというのは珍しいように思う。自分も大嫌いではないにせよそれほど喜んで食べる野菜ではなかった。それでも一度美味しさを経験すると評価は一転するものだ。

これももう20年近く前になるが、実家が焼き肉店をしている知人に美味しい食べ方を教えてもらった。といってもいたってシンプルである。ピーマンを生のまま半分に割り、種を出す。たれを付けた焼き肉を乗せてピーマンごと頬張るのだ。ただし、新鮮で美味しいピーマンに限る。ピーマンがいくつあっても足りない。

ピーマン

さて、自分でピーマンを育ててわかったのはその造形の魅力的なことだ。静物画のモチーフに使われるのも納得である。そして枝になっている姿がまた良い。朝方上がった雨粒を光らせ、今朝のピーマンはなおさらいい感じ。できればこのまま鑑賞用として置いておきたいほどであった。

空に手を伸ばし

菜園のキュウリがたいへん気持ち良く伸びている。例年この畑ではキュウリの成育が非常に良い。昨年までは4株ぐらい植えていたのだが、ピークになると収穫しきれず巨大になってしまうので今年からは2株だけにした。

先月終り頃からは収穫もぽつぽつ始まり、現在毎日2,3本。丁度良い収量である。しかし、ここにきて一気に花が咲くようになった。この花が全て実になると・・・と考えると毎年ながら不安である。
キュウリ
株自体の成育もまだまだ続く感じで、追肥もしないのにどんどん上に伸びようとしている。もうこの先は何も無いのに空にまで手を伸ばそうと懸命だ。
キュウリ
キュウリの支柱は、例年台風などで倒れてきた経験から、今年は枠になるメイン3本の支柱をビニールハウス用のパイプで組み立て、それに竹やプラスチックの支柱、ひもなどを使って垣根をこしらえた。これも数年前までは市販のキュウリネットを使っていたのだが、有る年、草刈機で引っかけてしまい、たいへんな目にあった。また買い直すのも癪なので以来自作である。片付けもこちらの方が簡単で、そのまま他の秋野菜に使う。ズボラな自分には向いている。

ところで開花数を調整してなるべく細く長く収穫できるようにする方法はないものだろうか・・・。今度菜園の大先生である伯母に会ったら訊ねて見ることにしよう。

津田カブ漬け

相変わらず試行錯誤中のマイ野菜畑。昨年蒔いた2回目の津田カブが、太らないうちにトウが立ってきた。1回目はアブラムシにやられ、2回目にチャレンジしたのだが時期的に遅かったようだ。

津田カブ

松江の名産にもいろいろあるが、個人的に一番好きなのは津田カブ漬けだ(全国的に知られていると言うほどではないが)。牛角型で赤みのあるカブの漬物で、ぬか漬けと醤油漬けがある。私はぬか漬けタイプの方が好みである。

秋の終わり、津田カブ漬けの季節がやって来るのを毎年楽しみにしている。市販されているものでも美味しさは大分違う。メーカーによっても美味しい不味いがあるし(あえて名は伏せますが)、この頃はJAグリーンなどに個人で漬けられたものが出るようになってますます選ぶのが難しくなった。そういうこともあって一度自分でも漬物にチャレンジしてみようと夏に種を蒔いたのだった。仕方がないのでまた今年の夏、再挑戦である。

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奇襲

ビニールハウスに行くときは、ハーブ達の様子を見るのが毎日の楽しみだが、もう一つ昨年から加わった楽しみがある。野菜である。

圃場の横に小さな畑があり、昨年から少しづつ野菜作りに励んでいる。慣れないこともありまだ試行錯誤ばかりだが、ハーブよりも成長が早く、毎日顔を見るのはこちらの方が楽しかったりする。

年が明けてからは雪のためしばらく様子を見ることがなかったのだが、今日見て何となく様子がおかしいことに気がついた。白菜の色が妙に明るいのだ。
白菜
近寄ってみて理由が分かった。上半分を中心に外側が食い荒らされて、中心部が露出していたのである。苗を植えてから、虫よけにネットを張っていたのだが、大雪で支柱ごと潰れそうになったため、先日外していたのだ。どうやらその隙を狙って鳥がやって来たらしい。

植えるのが少し遅れ、ようやく葉が巻いて年末から食べれるようになりまだそれほど楽しんでいない。廻りにも白菜を育てているところはいくらでもあるのに、余程グルメな犯人なのか。無農薬、有機栽培をひと目で見抜いたようだ。

それにしても悔しい限り。このままにしておいてまた葉が巻いて食べれる日が来るのかわからないが、しばらく様子を見ることにする。