朝飯前

5月も半ば近くなると言うのに、早朝はさすがに肌寒い。朝飯前の一仕事に、ビニールハウスに出かけたものの、外の菜園の様子を見にでかける時には、長袖をはおりたくなる。

年初の雪のダメージであまり成長が芳しくない菜園のソラマメ。新芽にはアブラムシがびっしりとついてしまって心配している。そもそも、植えたのが十株に満たないし、まあ、今年の収穫はお話にならないだろうからそのままにしていたら、少し前からテントウムシが数匹やって来た。
テントウムシとアブラムシ
美味しいものを探してどこからでも飛んでくるアブラムシにはそう驚かないが、アブラムシを探して毎年必ずやって来るテントウムシの嗅覚?にはびっくりする。

日中は忙しく行ったり来たりしてレンズに捕えるのも一苦労のテントウムシだが、寒いのか、それとも眠いのか、まだ動きが緩慢な時間だ。どうやら彼(彼女?)も、朝食はもう少し後になってからのようだ。

鬼のいぬ間に

朝から圃場の回りはなにやらせわしない。

どうやらどこの農家も田植えの準備に突入した模様。あちらこちらで代かきも始まっていて、人々の往来も激しい。

さて、ビニールハウス裏の家庭菜園に目を向けると、モンシロチョウが数匹飛んでいた。お目当ては昨年、相当遅れて定植してしまったために、年内に結球できなかったキャベツのようだ。多分駄目だと思っているが、暖かくなってから結球する素振りがあったのでそのままにしていた数株である。

ときどき、葉に止まっているので、卵を産み付けているのだろう。調べてみると、葉裏の所々に一つづつ、小さな卵がちょこんと乗っている。

葉の裏にしっかりと産み付けられていました
葉の裏にしっかりと産み付けられていました

昨日まではモンシロチョウなど全然見なかったのに、農家が田圃に気を取られている今、鬼のいぬ間を狙って出てきたのだろうか。

この葉には3つ仲良く並んで
この葉には3つ仲良く並んで

残念ながらここには田圃と関係のない鬼がしっかり残っているのだゾ。

トウガラシの株元で

今、順調にルッコラの株が育っている。だいぶ涼しくなってからまき始めたのでちょっと心配したものの、案外暖かい日が続いて順調に大きくなっていった。先日から少しづつやわらかい葉を楽しんでいる。ちょうど葉のぎざぎざが目立つか目立たないかぐらいが苦味も少なくておいしい。

ロケットと斑入りトウガラシ

今年はあらかじめうねに斑入りのトウガラシをいくつか植えておいてその間に種子を蒔いてみた。これが功を奏したかどうか定かではないが、イモムシの害が非常に少なくて済んでいる。さらに、株元に近い方のルッコラは丁度よい影ができるのか、葉も柔らかめなのも嬉しい。トウガラシの方は実が熟すまではもうしばらくかかるし、葉の見た目も悪くないのでまだしばらくここで頑張ってもらう。

ロケットの発芽

時期をずらしてまいた種子も発芽し始めた。こちらは今後の成長はゆっくりにならざるを得ないので冬以降の収穫になるかも知れないけれどそれまでは先発隊でしっかり楽しませてもらおうと思う。

紫蘇の穂漬け

梅雨明け頃から、食卓で活躍を続けてくれた紫蘇もそろそろおしまいになりつつある。真夏の冷ややっこには欠かせなかったし、そうめんにも活躍。大葉の天麩羅も何度か楽しんだ。初めて試した紫蘇の穂の天麩羅もなかなか結構なものだった。紫蘇ジュースを作らなかったのは少し残念だったけど。

さて、花穂が下から咲き上がってきて、上部の2〜3輪になってきたらいよいよ紫蘇の穂の収穫時である。実は最後に採れる紫蘇の穂が一番楽しみだったりする。紫蘇の穂漬けを作るのだ。

収穫した後ですでに穂はあまり残っていなかった・・・
収穫した後ですでに穂はあまり残っていなかった・・・

作り方は簡単でレシピもいろいろあるようだが、一応塩水であく抜きをしてから漬ける方法で行なう。漬物と言ってもそれほど手間もかからない。でき上がると早速御飯にまぶして食べる。プチプチ感がたまらない。子供の頃はこれだけで何杯もおかわりができた。

こんなに美味しいのに、家族にはそれほど人気がない。季節柄、あるお客様とも紫蘇の穂漬けの話になって、やはり自分は好きなのに他の家族は食べないと言う。どうやら小さい頃の経験ではないかと言う話になった。食育は大切である。

ついでに金山寺味噌に混ぜると美味しいと教えてもらったので、また試してみようと思う。

さて、紫蘇は言うまでも無くシソ科である。シソ科のハーブは沢山ある。となると、「同じようにして食べれないか?」と思うのは当然であろう。さすがにラベンダーは香りが強すぎるだろうし、ローズマリーやセイジは硬そうだ。少々小振りながら、タイムなどは良い感じではないかと思うが、塩漬けにして御飯に・・・というのはあまりにも無理がありそうだ。「来シーズンにでも試してみようか・・・」と、ちょっとだけ思ったがすぐに断念したのである。

民具

夏野菜もそろそろ終りが近づいてきた。キュウリはもうすでに片付けてしまったし、オクラもそろそろおしまい。ツルムラサキもさすがに飽きてきた。ナスはもうちょっと頑張れるかも知れない。猛暑のさなかさっぱりだったミニトマトがようやく復活してきた。粒は小さめながら味はまずまず。でも、暑い時期に楽しみたかったなぁ。

ザルと野菜

収穫は、把っ手付きのザルを片手に。このザルは、とある酒屋さんに訪れたとき、ちょうど納屋の片付けをしておられ、その時に出てきたものを譲り受けたものだ。どれぐらい前のものか不明だがとても丈夫で、もらってから10年近く経つのにザルの下の足の部分が壊れただけで(同じような竹で簡単に修理できた)、愛用させていただいている。プラスチックのカゴに比べると野菜を入れた時の収まりも良いし、野菜の色も映える。野菜たちも何となく気持ち良さそうである。

ところで、先月、子供が通っている小学校で校舎改築に伴う備品や器材の大移動が行われた。椅子や机を暑さの中、汗にまみれて運搬した。小学校には「地域の歴史の展示コーナー」みたいなものがあって、昔の調度品や、かつて稲の脱穀に使った道具など、昔使われていた民具が集められている。その中に、例のざると寸分たがわないものがあったのである。

民具として展示されるようなものが未だに現役とは・・・。昔の丁寧な仕事と素材の強さに改めて感心せざるを得なかった。今になって良いものを貰ったなあと思うのである。