メキシコのおヒゲ

ここ数年お気に入りのサルビアが、これ。シナロアセイジ。あんまり大きくならないのも有りがたいし、葉色に特徴があって花が無い時も良い感じ。

シナロアセイジ

花色が好みなのは無論である。その上、下側の花弁にある白い斑点が良いアクセント。白い髭でも生やしているかのようだが、この斑点がなかったらちょっと地味な感じだったかも。

初夏にも咲いてくれて、夏は割とお休みがちであるが、秋になるとまた開花を始める。夏、あんまり暑かったり、乾燥しすぎると葉が焼けやすいのが難点。

株が小さい時には冬に地上部が消えてしまって結構心配することもある。松江では鉢植えで軒下にでも置いておけば確実に越冬してくれる。地植えだとぎりぎり。調子が良いと越えてくれる感じだ。かつて冬前にポット上げして一割も残らなかった苦い経験もある。

それにしてもメキシコのサルビアは魅力的なものが多い。十年ぐらい前、メキシコに行った友人から「メキシコっておっきな帽子をかぶった人とサボテンしか居ないと思ってるでしょ!」と指摘され、素直に頷いたことがあるが、いまなら素敵なサルビアも咲いていると思っているゾ。

萼を楽しむ

観賞用として楽しめる花が多いサルビア、およびセイジの仲間。観賞用として楽しみが多い種類である。そう言った花は、なるべく開花期間が長い、花もちが良いものが有りがたい。

コモンセイジも、一般には料理用、薬用としての側面がクローズアップされることが多いが、花もなかなか見事である。だが、残念ながら花が終ってしまったあとの花穂は寂しい限りだ。

その点、萼も色づく種類はお得である。写真のカナリーアイランドセイジは、花も大きめではあるが、むしろ花が落ちた後、鮮やかなピンクパープルの萼がいつまでも目を楽しませてくれる。綿毛に覆われた枝や葉とのコントラストもなかなか良いものだ。

※半日陰でちょっと花、萼の色とも薄めです。
※半日陰でちょっと花、萼の色とも薄めです。

他にもクラリーセイジの萼は特に見事だし、マウンテンセイジも色づく萼があってこそ大きい花がより引き立つように思う。

メキシカンブッシュセイジなど、萼がなかったらひどく間の抜けた様子になってしまうんじゃないだろうか・・・・

タイミング悪し

広い日本ではガーデニングシーズンも様々である。以前、高冷地では真夏もガーデニングシーズンであると聞いて驚いたことがあった。ここ松江など、真夏に苗物を欲しがる人はほとんどいない。

そんな時期に花を咲かせる種類はタイミングが悪いとしか言いようが無い。せっかく花を咲かせても、なかなか振り向いてもらえないし、まして手に取ってもらえることは希である。なかでも、サルビア・ビルガータはかわいそうだ。宿根性のサルビアで、開花期以外のシーズンは葉がべたっと地面に付いていて、特に目立ちもしない。そのため、いわゆるガーデニングシーズンには他の種類に埋もれてしまいがち。目立つ花が次々と売れていくなかで、一種類だけ残っているのはわびしさを感じる。

サルビア・ビルガータ

せっかく暑さの中頑張って花を咲かせても見てもらえないのでは可愛そうだからここで紹介してあげることにする。過酷な中で頑張って咲きました。拍手!パチパチ

ぽきぽき

折れやすい植物は苦手である。なんてったって、苗を発送する時の梱包に一苦労。もちろん、届いた後でとり出すお客様も神経を使うだろうが、送り出す方はなおさらミスは許されない。今まで何度枝が折れ、圃場に取りに戻ったことだろう。

開花時期の花オレガノ(ケントビューティープルケルム)、スイートウッドラフなどは特に注意が必要である。また、サルビア属にも要注意人物が多い。サルビア・ブカナニーローズリーフセイジなど、ちょっと手が当っただけでぽっきりなんてことも珍しくない。いずれも花が大きく、見事なので蕾がついていたりしたらなおさら折れやすい。

サルビア・ダルシー。花だけ見ると大きなチェリーセイジである。
サルビア・ダルシー。花だけ見ると大きなチェリーセイジである。

今ちょうど花が咲きはじめている、サルビア・ダルシーもそんな悩ましい種類の一つである。いったい、原産地でどんなふうに育っているのか見てみたいものだ。メキシコの高地にお育ちのようなので全く想像もつかない。案外現地ではしっかりと枝を伸ばしているのかも知れない。

暑い昼下がりには

夏休みを目前にしてもまだ梅雨が明けない。梅雨明けは待ち遠しいと同時に、厳しい暑さの中での作業が待っているので身が引き締まる思いがする。

さすがに真夏になると昼から3時ぐらいまで、ビニールハウスの中での仕事は危険を伴うので、なるべく室内でできる仕事に替える。伝票の整理や、原稿作り、調べものなどである。

以前から気になっていたちょっとしたことを調べたりするのもそんな時である。

Salvia属は非常に種類が多く、姿形、性質も様々である。それでも名前はたいていがサルビア・○○とか、△△セイジというのが大半だ。

そのなかで異彩を放つ名前のジュピターズディスタフ(JUPITER’S DISTAFF)。今年も先頃開花しはじめた。花も大きめでなかなか素敵なSalviaである。ところが、名前を聞いただけではいったいどんな植物なのか全くピンとこない。サルビアの仲間であることさえ推測しにくい。

ジュピターズディスタフ

ジュピターというのは神話で出てくるような名前だし、木星?のことだったっけ。ディスタフというのはなにやら糸巻き棒だと言うことらしい。

実際に調べてみるとあっけない理由だったりするのだが、結構深いテーマが隠されていたりするので、気まぐれで調べはじめるのは危険である。

このようなことを真夏の暑い盛り。店内の涼しい環境の中で調べるのである。さてどんな答えが出てくるのやら。