トカゲの足音

ガーデニングが心底好きなひとは、孤独を苦にしないひとが多いように思う。お客さんからも「一日中誰とも話さずに庭仕事に没頭できる」という話を良く聞く。

普段の作業も役割分担がはっきりしているので集中的に植え替えをしたり、何か大きなものを作ったりなどの特別な時以外はほとんど個人の仕事である。

広いビニールハウスで一日中一人で作業することも希ではない。誰かいれば別だが、そんな時、不意に背後から物音がするとびくっとさせられる。

トカゲ

夏にかけて驚かせてくれるのはこいつ、トカゲである。真夏の暑い時にでも、何をしているのかビニールハウスの苗が並ぶ台の下を行ったり来たりしている。地面にはシートを敷いているので余計に「カサカサッ」と言う音がしてびっくりさせられるのだ。

彼には無論罪は無い。ビニールハウスでは毎日のように見かける顔見知りのような間柄だ。トカゲを見て「キャッ」なんて黄色い声を出すひともいるが、全く気にならない。むしろ、お互いに邪魔をせず危害も加えず非常に良好な関係を保っている間柄といえそうだ。

なぜか写真の彼はしっぽの先が切れていた。しっぽが切れたトカゲは仲間からも阻害されやすいと何かで読んだ。彼にも表には出さない悩みがあるのかも知れない。

ちなみに地面に敷いているシート、なかなか良い製品である。非常に丈夫で敷いて5年以上たち、毎日歩いているのに劣化も少ない。水も通すし、とりあえず草取りをしたくないために敷いたところ予想以上の効果を上げている。個人的な園芸では使うことは少ないかも知れないが、良いものなので紹介しておきたい。商品名はダイオグランドシートである。ただ、切断するとその端はほつれやすいので注意が必要だ。

寒冷紗

日差しが強い時期、ビニールハウスでは遮光シート(寒冷紗)を張る。植物のためには早くとも梅雨が明けてから張るのが例年の習わし。まだまだ先である。

それに先駆け、か弱い我々用の遮光シートを作業スペースの上に張った。ごく薄い一枚のシートとはいえ、有ると無いとでは暑さがものすごく違う。「木漏れ日の下」と言うほどの風情はないにせよ、今から秋初めまではこれなしではやっていけないほど重宝している。

寒冷紗

非常に優れ物のこのシート、遮光率もいろいろラインナップされており、用途によって使い分ける。種を発芽させたり、挿し木を管理するビニールハウスでは年中軽く遮光されるタイプで覆って乾燥を防ぐ。遮光度合いの高いタイプは真夏、ポット上げしたばかりの苗を育てるビニールハウスで短期的に使う。同じ時期、大きな株のハウスでは薄い遮光シートである。

薄くて軽く、小さく畳めるのでパーソナルな園芸でも活用の場は多いと思う。

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