仕分け人参上!

巷で何かと話題の事業仕分け。圃場でも年に何度か事業仕分けのようなものを行なう。

種子を蒔いたり、挿し木をしてだいぶ経ったのに、発芽、発根せず、そのままになっていて、水やりの手間ばかりかかるプラグの片付けである。

今回も、仕分け作業を行なった事で、かなりのロスを洗い出すことができた。近々挿し木しようと思っていたローズマリーがあったのだが、既に挿し木して発根までしたプラグが見つかったのである。重複して無駄な作業をする必要はない。「予算計上は見送り」である。

ついついたくさん蒔きすぎたために、たくさん発芽してしまい、先行してポット上げした苗がさばききれずに残っている種類もいくつか見つかった。来年は種まき数を減らし、「予算削減」する必要がある。

仕分け作業進行中
仕分け作業進行中

また、種子を蒔いたのに全く発芽しないような種類については「廃止」の決断も下さなくてはならない。

「廃止」の決断が下された事業
「廃止」の決断が下された事業

ただ、問題は担当仕分け人。
「それでも来年の春には芽を出すかも知れない・・・」
なんて調子では甘くてお話にならない。元クラリオンガールの某議員を呼ぶべきか?

カミソリの出番

圃場で、年間を通して行なう作業が挿し木、挿し芽である。ハーブの種類によって挿す時期が異なるので、ほぼ途切れなくいつも行なっている感じだ。

この作業に無くてはならないのが鋭利な刃物。園芸のテキストには「良く切れるハサミで」とか、「ガーデニングナイフを用い」なんて書いてある。

ところが、挿し木をする時に大事なのがいかになめらかな切断面を作るかである。ハサミの場合、「パッチン」と音を立てて切れるような細い枝なら有効だろう。でも、柔らかい枝の多いハーブを挿したりする時には向かない。せいぜい月桂樹の枝が大量に出て、「とりあえず差しとくか」と、一機に挿し穂を作るときぐらいだ。ガーデニングナイフはそもそも研がなければならないし、タイムのような細枝をナイフで処理する気には到底なれない。

カミソリ

そこで登場するのがカミソリである。鋭利なことはこの上ないし、細かい作業もお手の物。ただ、1枚の刃をそのまま手に持つので最初は不安である。かつて顔剃り用の握りが付いたカミソリも試してみたが、全く駄目であった。

鉛筆ぐらいの太さの枝を処理するには少しコツはいるが慣れてくると結構できるようになる。よほど硬い枝を処理するのでなければ何百本、うまい人なら何千本の挿し穂が作れるだろう。

それでも慣れるまで何度手を切ったことだろう。ちょっと油断していたり、他のことに気を取られているとスパッとやってしまう。刃物を扱う基本的な心構えを覚えるには最適かも知れない。今もたまにバンドエイドのお世話になるけれど。

軍手

基本的に土をいじる時は素手が気持ち良い。第一、細かい感触が分かりやすく、丁寧な仕事ができる。

まだ、この仕事につく前、趣味で園芸をしていたころは非常に手が荒れた。ところが、化学肥料を使うのをやめ、微生物肥料を使った土を使うようになってから手の荒れがぴたりとおさまった。園芸をしている者としてはどちらかと言えばきれいな手の部類かも知れない。

残念ながら、日々の仕事は柔らかな草花や培養土ばかりを相手にするわけではない。ビニールハウスの鉄パイプや金具、時には電動工具なども使う場面も少なからずある。そんな時は手袋の登場である。

時と場合に応じて革手袋やビニールの手袋も使い分けるのだが、やはり一番使う機会が多いのが軍手だろう。この頃は粗品でもらったり、何かについてきたりするのであまり自分で買うことは少ない。だが、いざ買う時にはしっかりしたものを買うようにしている。

軍手を使い捨てにしている人をけっこう見かけるが、洗えば何度も繰り返し使える。でも、粗品の軍手や、安物だと一度洗うと縮んでしまって手首まで届かなくなったり、手首のところがビヨーンと伸びてしまうことも多い。ところが綿100 の軍手などは一度洗ってからの方が手にしっくり来て感触も気持ち良い。

軍手

今日は洗濯した軍手を圃場に持ってきた。色々なタイプの軍手が集まってしまったので、使うとき選ぶのが大変だ。でも、靴下と違い、揃いでなくてもそれほど気にならないのは有り難いところである。

最後の職場

作業をする時に欠かせないツールはまずハサミであるが、ポット上げや挿し木などをする場面も多いのでラベルと鉛筆も必携である。

ラベルはともかく、ラベルを記入するための筆記用具については、園芸に携わるようになってしばらくの間、色々な種類を試した後、ようやく鉛筆にたどり着いた。最初に手を出したのは、ホームセンターの園芸コーナーにあった園芸用の太い鉛筆である。しっかり書けるのは良いのだが、細かい字は無理。長い名前など、何を書いているか後で見ても分からなくなる。「ひまわり」とか、「あさがお」と書くには良いのだろう。

同時期に園芸用マーカーも使いはじめたのだが、これもちょっと乱雑な使い方をしたり、泥がついたラベルに記入しようものならすぐに書けなくなる。これも字が太めだし、そもそも、どこが園芸用なのか良く分からなかった。細字タイプもある汎用の油性マーカーもしばらく試した後、使わなくなった。書き味は良いものの、水や泥がかかったり、高温、低温下ではじきに使えなくなる。その上、案外耐候性は低く、数年はおろか、一年でだいぶ字が薄くなってしまい、書き直す手間も出てくる。

結局、一番シンプルで昔から使っていた鉛筆が最良だということが分かった。水に濡れようが、日に当ろうが、少々のことで問題はない。文字の太さや濃さも種類や削り具合でいかようにもなる。耐候性も一群の筆記用具の中では抜群である。実は鉛筆愛好家は結構いるようで、それぞれに柔らかめの2Bが書きやすくて良いとか、硬い4Hのほうが消えにくいとかこだわりを持って使っていらっしゃるようだ。

うちのスタッフの間にはそれほどのこだわりはないものの、いつもハサミたちとともに腰にぶら下がっているし、圃場の要所要所においてある。

もちろん、そんな過酷な場所で使うので、新品など使ったりしない。子供の使い古しや、道端で拾ったものなど、既に一度その役目を終えたような鉛筆ばかりである。

それにしても削り方が下手である。一番下のはプラグ苗を下からつっつくのでお尻のところが摩耗している。
それにしても削り方が下手である。一番下のはプラグ苗を下からつっつくのでお尻のところが摩耗している。

彼等にとってはおそらく最後の職場。頑張って欲しい。

園芸作業の友

圃場で挿し木やポット上げなど、諸々の作業をするとき、側に無くてはならないのがラジオである。この番組を聞かなくては・・・と言う程ではない。それなのにいつのころからかラジオを流しながら作業をするようになった。個人で作業をすることが多いのも理由になるかも知れないけれど、何人かで作業する時もつけっぱなしである。案外何かの話題のきっかけになったりして和気あいあいと作業をするために良い潤滑油の役目をしているのかも知れない。

といっても、ラジオから流れる内容を、しっかり聞いているわけでも無い。興味のあるニュースが流れている時に、ラジオの近くにいるスタッフに
「で、なんて言ってた?」
と訪ねたところで、
「いや、聞いてなかった」
と返事が返ってくるのが落ちである。

圃場のラジオ、3代目か4代目になる。過酷な環境で頑張ってくれている。
圃場のラジオ、3代目か4代目になる。過酷な環境で頑張ってくれている。

不思議なことに、同じような業種の圃場などに行っても必ずと言っていいほどラジオがかかっているので、なにやら可笑しく思えてくる。

園芸が好きなひとは孤独を全く苦にしない人が多いという意見には賛成だが、ラジオは側にあったらきっと嬉しいだろう。

園芸を趣味とする人へのプレゼントとして携帯ラジオ。結構喜ばれるのではないだろうか。