レモングラス虫その後

秋も深まり、冬支度もせねばとせかさせる天気が多くなった。ただ、ここ松江ではものすごい寒さになることは無いので、掘り上げて越冬させる必要があるハーブはそれほど多くはない。

レモングラスについてもお客様から話を聞く限りでは寒さが厳しい年にはダウンするようだが、簡単な防寒をすることで、何年も地植えで越しているという方も結構いらっしゃる。

とはいえ、圃場がある地区では、さすがに【松江の北海道】と呼ばれるほどはあって、掘り上げておくのが安心だ。そのため、9月ぐらいから徐々に掘り上げて行く。

鉢上げしてしばらくは、きちんと活着しているかが気になるのだが、活着してしばらくすると、今度は別の心配が出てくる。

すべての株というわけではないが、茎をかじる幼虫がいるようなのだ。三年ほど前「レモングラス虫」の投稿でも紹介したが、株元近くに穴が空き、食べかすが散らばっているとほぼ間違いない。確証はないが、色々調べたところ、イネ科植物に良くつくアワノメイガの幼虫ではないかと思われる。

アワノメイガの食害
葉と茎の間に食べかすが見つかる。まだ食べたばかりのようだ。
レモングラスをかじるアワノメイガ
大抵はこんなふうに穴が空いている。古いと黒っぽくなる。

野菜でこの害虫の被害に遭いやすいのがトウモロコシのようで、「トウモロコシ アワノメイガ」などで検索すると情報もたくさんあると思うが、穴が空いた当りを剪定してみると大抵茎の中に隠れている。レモングラスのほうは中心が食い荒らされるため葉の先のほうが茶色くなり、すっぽ抜けることもある。

早く見つけて取り除き、剪定してしまうのが一番いいようだ。放っておくと根の方向へ食い進むようで、その場合は株自体がダウンしやすい。

レモングラスとアワノメイガ
穴の当りで切ってみると・・・。茎の中にいたいた。これを見るといつも思い浮かべるのがお菓子の家。天国だよね。

アワノメイガとレモングラス
今の時期ならバッサリ切っても根がしっかりしていれば小さな新芽がまた出てくる。おそらく今後は時期的にもほとんど発生しないから一安心だ。

アワノメイガとレモングラス
横から小さな芽が出ているので、大抵はこれが伸びる

また、大きな株ならば全体にダメージが及ぶことは無いと思われるから、鉢上げしたり、株分けしたりする時に注意すればいいのではないだろうか。卵の時点で見つけることができれば一番いいが、来年の課題だ。

戒め

庭作業中のこと。剪定をしている最中に携帯が鳴った。
「後2、3本で終わりなのに・・・」と、
手を止め、手袋を脱いだ。通話が終り、さて残りを片付けようと手を伸ばしたところ、
「チクチクッ」
あちゃー、やられた。手の先の葉にはイラガちゃんがいたのだ。もう終わりだと、手袋をしなかった私が悪い。

だいたい、このお庭にはいなかったはずだけど、結構発生は気まぐれ。来年も出るかというとそう出なかったりする。ついでに、早く片付けようなんて気が緩んでいる時に限って戒めるようにアタックされるのだ。

痛みは増し続けるが、こんな時は慌てず騒がず、ガーデニングツールに常備しているガムテープを取り出す。

ガムテープ

針が刺さっていると思われるところにべたっとはってベリッとはがす。何度か繰り返しておいて、念のため毒消しにラベンダーオイルを塗っておく。経験上、だいたいこれで大丈夫。服に毒針がまとわりつき、いつまでも伝播し続けるチャドクガの幼虫に比べるといたって対処はシンプル。

しばらくはチクチクと痛みが残るが徐々に弱くなり、お昼に帰る頃、もう痛みは消え、ガムテープでベリベリしたところが赤く腫れているだけだった。

イラガの幼虫
この方たちにやられました・・・。

 

夏のバトル

年がら年中、それなりに害虫には悩まされているが、真夏の代表と言えばコガネムシの幼虫だ。

今年は春からちょっぴり育苗用土を上等にしたことも原因かもしれないけれど、今まであまり被害に遭わなかったミントの苗にも出て来て少し驚いている。

土の中にいるとはいえ、慣れると案外見つけるのは難しくない。挿し木株等をポット上げしてしばらく経ち、根も張ってくるに従って土の表面はしっかりしてくるものだ。それが植えたての頃よりもフワフワになって来たら要注意。

ミントの苗
表面を触って、指がスッと入るようであれば間違いない。ポットを傾けるとさらさらと土が流れ落ちてくる。

ミントの苗
株を取り出すと、周りの土がついて来ない。

ミントの苗
問題が無ければこのように根鉢ができている頃なのだ。

正常な根鉢
残った土の中には・・・、いたいた、一匹。

コガネムシ
もう一匹。

コガネムシ
背中を下にして必死で逃走中。まさに背泳ぎのバサロ泳法そっくりなのだ。

苗の場合、細根が多いためか、株自体がダウンすることは今のところあまり無い。それどころか、植えかえてやるとむしろ良く育ったりする。あるお客様から伺ったところでは、被害にあった鉢の土で植えるとものすごく成長が良いとか。コガネムシがしっかり耕した上、肥料もプラスしてくれているのだろう。

一方、大株に住み着かれると被害甚大だ。細根が少ないラベンダーやローズマリー等は植えかえても持ち直さないことが多い。本格的な秋になるまでしばらく彼らとのバトルは続くのである。

つきあいも長いと

そう、最初の出会いはまだ古い店舗の頃。今まで調子が良かったマロウの葉がいつの間にかかじられて丸坊主に。ビックリしてよく観察してみるとクルクルとまいた葉がいくつも見つかった。

その様子から、ハマキムシとも呼ばれる
その様子から、ハマキムシとも呼ばれる

中を覗いてみるとこいつがいた。そう、ワタノメイガの幼虫である。アオイ科の植物が好物のようで、ブルーマロウムスクマロウブラックホリホックなどが同様にターゲットになる。もともとは綿の葉につくことからこの名前がついたとか。

ワタノメイガ

生まれたては凄く小さくて食害するのも葉の裏面をこそげとるぐらい。なので最初はなかなか気づきにくいが、加速度的に大きくなって、食べるスピートもそれに比例するので気がつくと葉の大半がやられているという始末。

気がついたらとりあえず捕殺するしか手が無いし、大抵は同じ時期に2度、3度と孵化するようで、ひと安心していたらまた食べられていたということもよくある。

ただ、2回目か3回目のアタックを乗り越えるとほぼ大丈夫。幸い、苗であってもマロウたちは葉が無くなってもダウンすることは滅多に無いので、丸坊主になってもしばらく放置しておけばまた葉を伸ばしてくれる。捕殺する手間を考えるとこっちが実は楽だったりする(捕殺しようとしてもまたこれが上手に逃げるのだ)。

出会った頃は、悩みのタネであったが、これぐらいつきあいが長くなってくると、いちいち驚かないようになってくるし、おつきあいの仕方も身に付いてくる。まあ、人間社会でもそんなもんだしね。

しばしお預け

植物も、継続的に育てていないと管理のポイントを忘れがちだ。周年育てていると、そろそろ植えかえしなくちゃとか、今年もあの虫が出始めるかな・・・などと自然に思い出すものだが、しばらく育てていないときれいさっぱりと忘れてしまう。

以前育てていたが、つい後回しになっていて今年久しぶりに栽培を再会したソレル。基本的に丈夫なハーブなのであまり手もかけずにいた。先日ちょっと様子を見てみると、まるでマシンガンで銃撃されたように穴だらけになっていた。ああ、そうだった、丈夫とは言ってもこれを好む虫がいたっけと、後になって思い出してももう遅い。確か昔も同じように被害にあったことをようやく思い出した。

トムとジェリーのチーズのように(ってのは少し古い?)
トムとジェリーのチーズのように(ってのは少し古い?)

犯人はこいつ、ハグロハバチの幼虫である。

ハグロハバチの幼虫

くるくるっと丸まった姿は可愛いが、一株に一匹、必ずと言っていいほど付いているのでほぼ全滅だった。近縁の、あの強力なギシギシさえ美味しく食べるようだから、こんな柔らかいソレルなんて前菜のようなものだろう。まあ、ここまで食べられては剪定するより他に無い。しばらく出荷もお預けだ。

幼虫を狙っているのか?でもきっと酸っぱいぞ。
幼虫を狙っているのか?でもきっと酸っぱいぞ。