こんな場所にはこのハーブ-スノードロップ

(スノードロップは、普通ハーブとして利用されることはありませんので、タイトルとは少しずれてしまうのですすが、ハーブと組み合わせる植物としての紹介です。また、ハーブ好きの方ならきっとスノードロップもお好きな方が多いでしょうから、参考になればと思います)

どこか他でも書いたように思うが、植物を育てているとセオリーどおりに行かないこともある、というよりも、そんなことがしょっちゅう起こる。

春先は花壇の色味に乏しい。ハーブならせいぜい冬から咲いているローズマリーが咲いているぐらい。もう少し暖かくなるとスイートバイオレットなども咲くのに・・・という時期は本当に寂しい限りだ。

まあ、そんな寂しさがあるからこそ、暖かくなって少しずつ花が咲くのが一層嬉しく感じられるのだが。

とはいえ、多くの人の目に留まる花壇ではそう言うわけに行かない。冬もそれなりに色合いが欲しい。

この花壇は、今まで何度か登場しているが、前後左右にまったく遮蔽物がなく、風通し日当りとも抜群。おまけに周りは道路と駐車場で夏はからっからに乾いてしまう花壇である。ハーブをいくつか育てたことがある方なら、「匍匐性のタイムやコモンセイジがご機嫌に育ち、ラベンダーも間延びしにくい」と言えばどんな環境かお分かりいただけるかもしれない。
スノードロップ
春先の花としてここにスノードロップを植えようなんて、スタッフが言い出した時には「ちょっと無謀かな?」とも思った。スノードロップと言えば、木漏れ日の下で楚々として咲くイメージを抱くことが多いだろう。早春、落葉に覆われた柔らかな土から白い花が姿を見せる・・・と言う感じがぴったりではないか。ところがここは、ザラザラの荒い砂で覆われた花壇。確かに球根なので、かなり幅広い環境に耐える力はある。しっかりした球根ならワンシーズン目に咲かないことはまずありえない。なので、一昨年前の秋に球根を初めて植えたとき、次の春に咲くことは全く心配しなかったし、事実、たくさん花を咲かせてくれた。

ところが球根は、とても強い種類だったり条件が良い場合は増えていくこともあるが、デリケートな種類や、場所に合わないと少しずつ減っていくことが多い。なので、次の秋(昨秋)にまた追加すれば良いかも・・・ぐらいに考えていた。ところが、昨年、ちょうど同じところに植わっているエキナセアを植えかえる時に、そこそこ球根が残っていたので驚いた。このまま咲くかどうか、取りあえず様子を見ようと、球根を追加することも見送った。しかし、まさかこれほどたくさん咲いてくれるとは・・・。

水はけが抜群なのは言うまでもない。周りにはレイタータイムがビッシリと育つぐらいである。花壇の高さは40cmほどもあり、おそらく夏の暑い時期も、地中はそれほど温度が上がらないのだろう。まして休眠していれば、外界の変化もそれほど感じないのかもしれない。

 

スノードロップ

ちなみに、もう十年以上前になるのだが、「スノードロップにふさわしい」庭に、球根を植えたことがある。塀に囲まれ、落葉樹やバラが茂り、涼しくしっとりとした庭の片隅だった。良質な腐葉土もたっぷりすき込み、丁寧に丁寧に植え付けた。

最初の一年こそ、そこそこ咲いたのだが、葉は妙に間延びするし、毎年毎年歯が抜けるように減っていき、いつしかいなくなってしまった。「ここはうまくいくはずなんだがなぁ・・・」と頭をひねったことは今でもおぼえている。お客様の庭での苦い経験は、「スノードロップは気難しい」との印象を私に植え付けてくれた。

しかし今回、拍子抜けするほど順調に育ち、いままでの印象もがらりと変わった。今年の秋はもう少し増やしてもいいかなと思っている。今からすでに、次の春が楽しみである。

ただ一つ難点なのは、山陰の曇りや雨の多い冬の天気。寒風吹きすさぶ曇天の下、冷たい風にただ一人で耐えているような姿は、健気であり、かわいそうにも思えるのである。でも、これだけはどうしようもないんだよなぁ・・・。

冬を楽しむ余裕

寒い・・・。
立春の声を聞いても、まだ冬の寒さの峠を越えたという気にはならない。苗たちも毎日のように見回っても成長が見えるのはごくわずかだ。

日々の成長は少なくても、冬から春に移り変わる頃には、花の時期とはまた違った姿で目を楽しませてくれる。

ドーンバレータイム
昨年のうちはまだグリーンにまだらが残ってやや汚らしかったウインターセイボリーも、見事な赤紫に色づいてきた。ルビンバジルレッドジェノベーゼバジルも似たような葉色だが、初夏から夏の柔らかい葉のバジルとは違って、硬質な感じの葉が赤紫に変わるとよりいっそうシャープな印象を受ける。
ブルーマウンテンラベンダー
ラベンダー類も本来のシルバーっぽい色合いになりつつある。初めて育てると、「大丈夫だろうか?枯れてないだろうか?」と思わせるぐらい白っぽくなってしまう。でも、葉色としてはこちらのほうが美しい。花の時期までこの葉の色が保てれば花もいっそう引き立つだろうが、暖かくなるとどうしてもグリーンが増してくるのは致し方が無い。この株は外の畑の株なので割とシルバーっぽくなっているが、ハウスの中の苗はやはりもっとシルバーは弱い。
ドーンバレータイム
春先にその魅力を発揮するドーンバレータイムも、立春ぐらいから色を出し始める。斑入りの葉なのに、秋までは全くそのそぶりを見せない。斑が暑い時期に消えてしまう種類は、斑が消えてしまうのではないかと毎年気をもむが、この種類に関してはあまり心配はないようだ。

ドーンバレータイム

育苗中のドーンバレータイムの苗のうち、一株だけ先行して色づき始めた株があった。親株は同じなのに、どうしてこんな差が出るのか。土、日当り、水分、気温、ちょっとしたことが原因なのだろうが、いつも不思議に思ってしまう。冬はそんな変化を楽しむ余裕があると思えばまたよしなのかもしれない。

ウインターセイボリー
ドーンバレータイム

冬のたくらみ

明日あたりから寒さが一段と厳しくなるという。圃場での作業も、体を動かす仕事ならまだしも、細かい剪定や植え替えなどをしていると、足下が冷えてきて、集中力が続かない。

特に足の冷えが年齢とともにひどくなり、足下から、背筋、肩から後頭部までこわばって頭痛まで感じる始末。そのため、防寒ソックス、タイツ、防寒インソールなど年々冬の装備が大げさになるもののさほど改善は見られない。

ところが今年は思わぬ強い見方を手に入れた。

足カバー
「作業していると足が冷えてねぇ・・・」
とこぼしたところ、ある方にお勧めしてもらったのが、この作業用の足カバー。本来は泥や雨、雪から裾をカバーするものなのだが、裏面がアルミコーティングしてあるため、汚れ防止よりもむしろ防寒に威力を発揮するようだ。

腰から下を全て覆う、冬用のレインパンツならなおさら暖かいのだろうが、履いたり脱いだりが面倒だし、結構蒸れるのだ。その点、この足カバーはジップ付きで、簡単に着脱できるし、蒸れもまず心配ない。

半信半疑で買ってみたが、ふくらはぎがポカポカ。おかげで今日の作業は極めてご機嫌にすすめることができた。

家用にももう一組・・・。とひそかにたくらんでいるところである。

こんな場所にはこのハーブ-ワイルドクリーピングタイム

 

ワイルドクリーピングタイム
これは、当店の店の南側、ハーブたちの苗や鉢が並ぶエントランス部分。今年の春頃から伸びてきたワイルドクリーピングタイムが、非常に調子良く育ち、6月の終わりには花を咲かせた。

おおよそ、タイムの仲間はこういったレンガの隙間が大好きである。このレンガはいわゆるインターロッキングと同様な作り方がしてあるのでレンガとレンガの間に少し隙間がある。普通のレンガ敷だと、レンガの下はモルタルでガッチガチに固めるのだが、下は砂で基礎がしてあり透水性もある。そのため、こぼれ種で発芽したこのタイムもこれ幸いと細い隙間からどんどん根を下に伸ばしていったのだろう。

ワイルドクリーピングタイム
わずかなレンガの隙間に向かって根を伸ばしている

普通のお庭でも、レンガなどで作った花壇沿いのクリーピングタイムが妙に元気だと言うことは無いだろうか。レンガにそって下に下にと根を伸ばせる環境がタイムにとっては嬉しいようだ。当店が管理しているあるお庭でも、レンガの通路沿いが一番タイムが元気だったりす
る。

それでも、さすがにこの夏の暑さが耐えられるか心配だった。午前中は少し日陰になるものの午後からはほとんど日光を遮るものはなく、レンガが溜め込む熱も半端ではないだろう。タイムやラベンダーでよくあるのだが、秋に疲れでぱたっと枯れることもあるだろうと思っていた。

ワイルドクリーピングタイム
11月の終わりの様子

ところが冬を迎える今になっても元気なところを見ると、何ら問題が無かったようだ。さすがに、中央部は「グラウンドカバーのミントが枯れていきます」でも写真を載せているように、中央部分(古い部分)がやや葉が落ち始めている。この場合は土をくわえるわけにはいかないので、この冬に剪定をしてやろうと思う。

一つ残念なのは苗のようにすでにある程度根が伸びたものをこの場所に植え付けようとしても非常に困難でしかも成功率は低いということだ。以前、「ど根性ナントカ」で書いたようにこぼれ種や小さい株の時期からこの場所に根付こうとするものなら苦にならないと思うが。

 

(※お断りしておきますが、タイトルに「ワイルドクリーピングタイム」とつけたものの、この株はこぼれ種から生えてきた株で、厳密には「ワイルドクリーピ ングタイム」とは言えないかもしれません。ただ、近くにワイルドクリーピングタイムの株もあり、実際にこぼれ種でも増えやすい種類で、姿形も同様だったの でまず間違いは無いと思います。御了承ください。また、この種類に限らず、他の匍匐性のタイムも同じような場所を好むことが多いようです)

ワイルドクリーピングタイム

捕虫サルビア

秋も深まってくると庭の色も一つ、また一つと数が減ってくる。
年の終わりを感じ、落ち着きを増してくる庭を眺めるのもまた良いものだ。

夏から秋の主役だったセイジやサルビアの仲間も一つずつ花が終り、冬に備えて剪定をするのもこの季節だ。

そんな季節、まだ一角を鮮やかに彩っているのが、サルビア・マドレンシス(別名、イエローマジェスティ)である。
サルビア・マドレンシス
サルビア・マドレンシスは秋に咲くサルビアの仲間でも特に大型になる(というか、背が高くなる)。はじめて育てた時など、見上げたさらに上に花が咲いてしまい、写真を撮るのにも苦労した覚えがある。

第一、分枝しにくいのでそれほど大きくなってしまうと、秋の台風で折れてしまうことも多い。こういった反省から夏の間に一度か二度剪定をして枝分かれさせて、背丈を程々にとどめておくようにしている。

おそらく、夏の間に出来始めた花芽が剪定によって失われたことも開花時期が遅くなった一因だと思う。今年は台風も多かったので、よけいに強めに刈り込んだこともあって、腰まで届くか届かないかで花が咲いた。青空に黄色い花が映えるのも悪くはないけれど、これぐらいが邪魔にならなくてちょうど良い。青空をバックにするより、葉のグリーンをバックにしたほうが写真映りもいい感じだ。

ところで、このマドレンシスに限ったことではないが、サルビアの仲間には花茎が粘つくものが多い。育てたりする上では困らないが、花に近寄って写真を取ろうとすると、小さな虫がくっついたまま死んでいて見た目が悪いことこの上ない。

サルビア・マドレンシス

大きなガガンボみたいな虫までこの通り。黄色い色に誘引される昆虫も多いというが、こういうシーンを見て吸着タイプの捕虫シートは作られたのだろうか?

サルビア・マドレンシス