タヌキの口角

「ありゃりゃ・・・またやられた!」
これで何回めだろうか。ビニールハウスのビニールを押さえている紐がまた切られていた。

マイカ線
犯人はタヌキではないかと推理しているのだが、大抵は夜中の犯行なので現場をおさえることができない。

しかも、見ていたかのように新しく付け替えた紐ばかりが狙われるのだ。

この紐、華奢に見えるが、中には芯線も入っていて、相当丈夫である。もちろん、素手などでは決して切ることはできない。カッターナイフか、しっかりしたハサミが必要だ。

マイカ線
切り口を見てみると何度も歯でかじったような跡が見える。ときどき、完全に切り離せず、跡だけたくさん残った紐もあったりするので、噛むのが目的かもしれないと、以前、わざと新品の紐を置いてみたりしたのだが、全く効果がなかった。こういうのって、とても悔しい。

ただ、こんな行為、自分にも思い当たることがある。アイスクリームを食べるとき、木のスプーンが付いていると、食べ終わってから、なぜかこのスプーンをガジガジ噛んでしまう癖が私にはある。別に味が残っているわけでもないのに、気づくといつの間にか噛んでいる。なんとなく気持ちが良いのだ。かといって、酢昆布やするめに惹かれるわけではない。

当然、ガリガリ君みたいなアイスバーのスティック?というか、持ち手の部分も同じ運命をたどる。

もちろん、人前ではみっともないので気をつけるようにしているし、万一当たり棒だったりしたら持っていくのが恥ずかしいしね。

先日、考え事をしていて、口がへの字になっていたら、スタッフに「口に割り箸をくわえて、口角を上げましょう!」と言われた。フフフ、これは一石二鳥かも。

なので、もし私が割り箸をガジガジしていても、それは口角を上げるためですから、気にしないでくださいね。

ごむぱっちんの物語

ゴムの台

苗を発送する時に重要な役割を果たすのがこの段ボールの台である。当店から苗を受け取った方にはおなじみかもしれない。

でも、「実はこの台、子供たちが作っているんです」と聞いたらきっとびっくりされる事だろう。
子供たちの手作りの台
一体なぜ子供たちがこの台を????

それにはこんないきさつがあったのである・・・。

通信販売で苗を送るとき、一番気を遣うのが苗の転倒。上下がひっくり返るのは言うまでもなく、横に倒れるだけでも種類によっては大きなダメージを受ける。

通販をスタートして以来、どうしたら苗が倒れたり、ずれたりする事無く、お客様の元へ届けることができるかについて工夫を続けてきた。

箱の中に仕切りをつけてみたり、新聞紙で包んでみたり、試行錯誤が続いた。

そして数年前から、このような段ボールの台と輪ゴムで固定して発送するようになった。決してこれで完成型とは思っていないのだが、いまのところ、他の方法よりは総合的にメリットが多いようだ。

ごむぱっちん

さて、この台、もちろん自作であるが、発送する際に作っていたのでは間に合わない。そこで冬など、比較的時間に余裕がある時にストックを作るようにしていたのだが、毎年オンシーズンになって慌てて作るというのが常態化しつつあって、悩みの種であった。時には一日で百枚単位で使うこともあるので、少々のストックではあっという間に尽きてしまうのだ。

実際の作業としては、輪ゴム4本をかけていくだけという非常に簡単な作業なのだが、これがなかなか取りかかれない。簡単だからこそ、いつでもできそうで優先順位がさがりやすく、つい後回しにして行くうちに忙しい時期がやってくるというパターンである。

検討した結果、どこかへ外注しようと言う話になった。が、一体どこへ頼めばいいのか想像もつかなかった。

たまたま、プリザーブドフラワーを作る方と話している時に、ごく簡単な花材の処理を福祉作業所に外注しているという話をうかがう機会があった。そこで、福祉のNPOを運営する友人に相談してみたところ、「たぶん、どこでも引き受けてくれるでしょう」と言われ、近所の「放課後等デイサービス・ピピ」さんを紹介してもらったのである。

子供たちが通うデイサービスで、そのような作業を引き受けてもらえるのか、また、そんな事お願いしてもいいのだろうかと最初は思った。しかし、「ぜひやらせてください!」と快い返事を頂いたのである。

そもそも、お金を払って発注する仕事である。「子供たちに仕事をさせるのは問題ないのだろうか」というのが、率直な疑問であった。

ところが、「お金を払って仕事をお願いする」と言うことが大事だったのである。

私の疑問に、ピピのスタッフさんから後日、丁寧な回答を頂いた。

ピピでは、ハーブショップSORAMIMIさんのご厚意に甘えて「ごむぱっちん」のお仕事をしています。
「ごむぱっちん」は12㌢くらいの正方形のダンボールに縦2本・横2本輪ゴムをかけるお仕事です。
できあがったごむぱっちんは、ハーブの苗を送るときの苗の固定のために使われます。

こどもたちは、このゴムパッチンを1枚1円として10枚1セット(1セット=1ポイント=10円)で取り組んでいます。
その日の調子ややる気によって1セットする子もいれば、3セットする子もいます。

ピピは放課後等デイサービスという福祉サービスをする事業所です。
文字通り、子どもたちの放課後(学校が終わってから)の時間に開いています。
利用しているのは、障害がある子どもたちです。
ですので、ピピは子どもたちの放課後の時間に療育をするところになります。

療育というととても範囲が広いのですが、子どもひとりひとりの将来を見据えて今必要なことを楽しみながらやっていくことではないかと考えています。
子どもたちの将来を見据えた時の願い・・・これは障害があろうがなかろうが
「元気にたのしくはたらく大人になってほしい」ということではないでしょうか。
現在はキャリア教育という言葉もよく耳にするようになりました。おとなになってはたらくってどういうことなのか それを子どもたちがイメージできるような体験を用意する教育のことです。
学校によっては、町探検だったり見学だったりといった時間がそれにあたるとおもいます。

ここで大切なのは、子どもたちがイメージできる・将来の自分と重ねあわせることができるような体験だと思います。
ピピを利用している子どもたちが苦手なことの一つに、この『イメージする』ということがあります。
そして、得意なことの一つに『経験やくり返しの中で得たことは確実に自分の力にしていく』ということがあります。

ピピが活動の中でお仕事に取り組んでいる理由はここにあります。
「自分が働いた分がお金になり、自分の好きなものが買える」
これを経験することで、なんのためにはたらくのか・お仕事をするってどういうことなのかを自分なりに理解してもらい、元気にたのしくはたらく大人になるお手伝いがしたいと考えています。

ですので、ピピのお仕事の活動は「お仕事をしてポイントをためて、ほしい物を手に入れる」ところまでがセットです。
毎日少しずつポイントをためて、アイスを食べに行ったり、駄菓子屋さんで好きなおやつを買ったり、行きたいイベントの入場料をはらったり。自分の働いたお金で楽しんでいます。

ピピでは、ごむぱっちんの他にペットボトルのラミネートはがしもお仕事として用意しています。
これはピピでのお仕事の時間に取り組んだことがお家でのお手伝いにつながるといいなぁと考えているお仕事です。6~10本で1ポイント(10円)です。
「ペットボトルのラミネートはがし」と「ごむぱっちん」のお仕事の違いは、働くことでお金になって好きなモノが買える だけでなく『はたらくことがだれかの役に立つ』というはたらくということのもう一つの大切な意味を子どもたちに伝えてくれるところです。

ごむぱっちんの納品に行った時「ありがとう!たすかった!」と店長さんや奥様に言っていただいた時の子どもたちのうれしそうな笑顔。
「いつもありがとう」のメッセージと一緒にプレゼントしていただいたおやつをたべる時のこどもたちのちょっと誇らしそうな瞳。
自分たちがしたお仕事がお店の人に喜ばれている・役に立っている これをいつも子どもたちに伝えてくださるSORAMIMI店長さん奥様に心から感謝しております。

はたらくということが、ポイントをためること(お金を稼ぐこと)だけではなく その向こうにある自分のお仕事を待っている 喜んでくれる人を思い浮かべることができる貴重な経験をこどもたちは「ごむぱっちん」のお仕事の中で積んでいます。

そして回りの大人たち(親御さんやスタッフ)にも「この子たち 元気にたのしくはたらく大人にきっとなってくれるんじゃないかしら」とこどもたちの将来のイメージを抱かせてくれています。

うまくいったりいかなかったり、やる気がいい方向に発揮されたり空回りしてしまったり
日々いろんなことがありますが、子どもたちの今が確実に将来へ向かっていると実感させてくれる取り組みがお仕事の「ごむぱっちん」です。

子どもたちが楽しみながら取り組んでいます。
今後共どうぞよろしくお願いします。

放課後等デイサービス ピピ

児童発達支援管理責任者 高橋歩美

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外注を思いついた当初は、簡単な仕事なのだから外注などせず、自分たちで時間を工夫して作ってコスト削減に努めるべきではないかという考えも強かったのだが、こんな子供たちの姿を伝えて頂くと、お願いして良かったと素直に思える。

さて、ピピではこのお仕事、「ごむぱっちん」という名前で呼ばれているとの事。いつしか当店でも「ごむぱっちん」と呼ぶようになってきた。

とにかく、ピピの子供たちの仕事はとても丁寧である。

当店で台を作ると、作っては箱にポンポン投げ入れるだけなので、ぐちゃぐちゃだし、取り出しにくい。

ピピで作ってもらうと、丁寧に10枚ごとにカラー輪ゴムでまとめてあり、しかも取り出しやすい。初めて受け取った時には正直、感動した。

初回納品の時には製作に携わる子供たちも、勢揃いで納品にきてくれた。

ごむぱっちん納品
自分たちの作った製品を渡す時の誇らしい顔!

ごむぱっちん納品

納品の挨拶はちょっぴり恥ずかしそうだったりするのも微笑ましい。

せっかくきてくれたので、ごむぱっちんを使って、どう言う風に苗を送っているのかを実演。
ごむぱっちん

ごむぱっちん

皆、興味深く使われかたを覗き込んでいた。

ごむぱっちん製作マニュアル
スタッフさん製作の丁寧な製作マニュアルも見せていただいた。

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春からごむぱっちんの仕事をお願いして、半年が過ぎた。夏休みの間も、頑張って作ってくれたようだ。また、自分たちで働いて得たお金でアイスクリームを食べに行ったりしたとの事、きっと格別の味だったろう。

夏の終わりに、感謝の気持としてわずかではあったがお菓子をプレゼントさせて頂いた。

持って行った時の「わ、なにこれ、なにこれ」と驚く子供たちの様子が嬉しかった。これからも、苗の発送を陰で支える重要なスタッフとして頑張ってもらいたい。クリスマスには何を持って行こうか、今から考えているのである。

放課後等デイサービス・ピピのブログより
*ごむぱっちんの納品に行った時のこと
http://d.hatena.ne.jp/guriguripipi/20140328#1396440323

*おしごと「ごむぱっちん」コーナー登場のときのこと
http://d.hatena.ne.jp/guriguripipi/20140402#1396441727

*アイスを食べに行った時のこと
http://d.hatena.ne.jp/guriguripipi/20140804#1407148176

*駄菓子屋さんへいったときのこと
http://d.hatena.ne.jp/guriguripipi/20140807#1407492791

老眼を自覚するとき

2,3日前に確認した時には何ともなかったのに、今日見ると、ポットマリーゴールドの苗に異変が。

ポットマリーゴールドの食害
「あ、やっぱりやられたか・・・」
毎回の事ではあるが、調子良く大きくなり、そろそろ発売しようと思った頃に必ずと言っていいほど苗の中心が食害される。

多分、メイガとか、蛾の幼虫だと思うのだが、正体までは確認できていない。正体が分かるまで放っておくと相当食べられてしまうだろう。ただ、新芽が少々食べられても、ポットマリーゴールドはまたすぐ横から新芽が伸びてくる力強さを持っているのであまり心配はしていない。

とはいえ、発売前の苗、食べられるまま放置しておくわけには・・・・

と言う事で犯人を捜しはじめるのだが、まだ被害がスタートしたばかりだと、相手も小さい。
ポットマリーゴールドの食害
目を近づけても分からないし、近頃老眼が入ってきたのか、むしろメガネを外したほうが見えやすいのが悲しい。

ポットマリーゴールドの害虫
結局はルーペを引っぱり出して探索続行。ここまで来るともう意地である。

卵を産みつけるほうも律儀というか、丁寧に一株にひとつ産みつけているようで、幼虫が2匹いることはほとんど無い。しかも一番柔らかい中心部分に集中している。

見つけたら先の尖った竹串で捕まえるのだが、ルーペを使いながらの作業、気分は外科医である。

幼虫
さて、食害している幼虫、今の段階ではこのサイズ。指紋と同じぐらいの太さである。だが、気を抜いて放っておくと、一気に大きくなり、それに比例して食害の量も増えてくる。今回、この程度なら最小限の被害で食い止められたと思っても良さそうだ。

加齢のわびしさを感じつつ、作業する事数十分。全ての苗のチェックが終った。

ああ、肩が凝る。

こんなのが欲しい。

サージカルルーペ

気の長い話

ハーブをふやすには色々な方法がある。種まき、株分け、挿し木などが良く知られているが、どのハーブをどの方法でふやすかはとても大事だ。

挿し木でつきにくいものを一生懸命挿し木しても徒労に終わりやすい。ローズマリーは、種を蒔いて育てることもできるが、普通、挿し木の方が、完成まではずいぶん速い。タイムも、種を蒔いて何百本と発芽したら、普通の人なら途方に暮れてしまうだろう。

雄雌の区別が必要なものは、普通、区別がついた株を挿し木などで増やすのが一般的だ。種子で蒔いていたら、花が咲いたり、実ができるまで雄雌が分からないことも多い。

なのに、昨秋、蒔いてみたのがジュニパーの種子。ずいぶん昔、いちど種を蒔いたことがあったが、そのときは全く発芽しなかった。そもそも、手元に雄雌の分かった株がある。増やしたいのなら、それを元に挿し木をすれば良いのである。

それをいまさらなぜ種子で・・・といったところだが、種子から育てると一体どれぐらいかかるか知りたいというのが本音である。ついでに、以前種を蒔いて一つも芽が出なかったことへのリベンジだ。

ダメ元で、今回は砂に蒔いてみた。もちろん、種子の質も関係していたかもしれないが、気温の上昇とともに一斉に発芽を始めた。発芽してみると、まさかこんなに芽が出るとは思わなかったので、ちょっと慌ててしまった。当然雄雌も分からないので、苗のサイズまで成長しても販売するわけにはいかない。ま、全部が全部うまく育つわけはないのだが・・・。

ジュニパー

さて、これから育苗して(しかも、成長がゆっくりだ。挿し木でも結構かかる)、定植して、大きく育って、開花、結実するまでどれぐらいの月日が必要なのだろう。そもそも、実が熟すまで数年を要するという。スローモーな植物なのだ。こちらもあせらずに気長に待つ必要がありそうだ。

気が長いと言えば、ずっと前のことだが、植物を育て始めるようになってしばらくした頃、親に、
「あんたは性格が変わったねぇ」
と言われたことがある。自分ではいまだにそんな風には思わないのだが、それまではもっと気が短かったとか。

今後もずっと植物を育て続けるなら、ますます気が長くなっていくのかもしれない。でも、いくら気が長くなったとしても、生きているうちにこれらの株の雄雌が分かるかどうかは別の話。
「じいさんは、『この木が雄か雌か分かるまでは死ねん!』と言ってたのに、先に逝っちゃったねぇ・・・」
なんて言われる日のほうが早いかもしれない。

 

ジュニパー

こんな場所にはこのハーブ-スノードロップ

(スノードロップは、普通ハーブとして利用されることはありませんので、タイトルとは少しずれてしまうのですすが、ハーブと組み合わせる植物としての紹介です。また、ハーブ好きの方ならきっとスノードロップもお好きな方が多いでしょうから、参考になればと思います)

どこか他でも書いたように思うが、植物を育てているとセオリーどおりに行かないこともある、というよりも、そんなことがしょっちゅう起こる。

春先は花壇の色味に乏しい。ハーブならせいぜい冬から咲いているローズマリーが咲いているぐらい。もう少し暖かくなるとスイートバイオレットなども咲くのに・・・という時期は本当に寂しい限りだ。

まあ、そんな寂しさがあるからこそ、暖かくなって少しずつ花が咲くのが一層嬉しく感じられるのだが。

とはいえ、多くの人の目に留まる花壇ではそう言うわけに行かない。冬もそれなりに色合いが欲しい。

この花壇は、今まで何度か登場しているが、前後左右にまったく遮蔽物がなく、風通し日当りとも抜群。おまけに周りは道路と駐車場で夏はからっからに乾いてしまう花壇である。ハーブをいくつか育てたことがある方なら、「匍匐性のタイムやコモンセイジがご機嫌に育ち、ラベンダーも間延びしにくい」と言えばどんな環境かお分かりいただけるかもしれない。
スノードロップ
春先の花としてここにスノードロップを植えようなんて、スタッフが言い出した時には「ちょっと無謀かな?」とも思った。スノードロップと言えば、木漏れ日の下で楚々として咲くイメージを抱くことが多いだろう。早春、落葉に覆われた柔らかな土から白い花が姿を見せる・・・と言う感じがぴったりではないか。ところがここは、ザラザラの荒い砂で覆われた花壇。確かに球根なので、かなり幅広い環境に耐える力はある。しっかりした球根ならワンシーズン目に咲かないことはまずありえない。なので、一昨年前の秋に球根を初めて植えたとき、次の春に咲くことは全く心配しなかったし、事実、たくさん花を咲かせてくれた。

ところが球根は、とても強い種類だったり条件が良い場合は増えていくこともあるが、デリケートな種類や、場所に合わないと少しずつ減っていくことが多い。なので、次の秋(昨秋)にまた追加すれば良いかも・・・ぐらいに考えていた。ところが、昨年、ちょうど同じところに植わっているエキナセアを植えかえる時に、そこそこ球根が残っていたので驚いた。このまま咲くかどうか、取りあえず様子を見ようと、球根を追加することも見送った。しかし、まさかこれほどたくさん咲いてくれるとは・・・。

水はけが抜群なのは言うまでもない。周りにはレイタータイムがビッシリと育つぐらいである。花壇の高さは40cmほどもあり、おそらく夏の暑い時期も、地中はそれほど温度が上がらないのだろう。まして休眠していれば、外界の変化もそれほど感じないのかもしれない。

 

スノードロップ

ちなみに、もう十年以上前になるのだが、「スノードロップにふさわしい」庭に、球根を植えたことがある。塀に囲まれ、落葉樹やバラが茂り、涼しくしっとりとした庭の片隅だった。良質な腐葉土もたっぷりすき込み、丁寧に丁寧に植え付けた。

最初の一年こそ、そこそこ咲いたのだが、葉は妙に間延びするし、毎年毎年歯が抜けるように減っていき、いつしかいなくなってしまった。「ここはうまくいくはずなんだがなぁ・・・」と頭をひねったことは今でもおぼえている。お客様の庭での苦い経験は、「スノードロップは気難しい」との印象を私に植え付けてくれた。

しかし今回、拍子抜けするほど順調に育ち、いままでの印象もがらりと変わった。今年の秋はもう少し増やしてもいいかなと思っている。今からすでに、次の春が楽しみである。

ただ一つ難点なのは、山陰の曇りや雨の多い冬の天気。寒風吹きすさぶ曇天の下、冷たい風にただ一人で耐えているような姿は、健気であり、かわいそうにも思えるのである。でも、これだけはどうしようもないんだよなぁ・・・。