寒いGWのスタートと苗たち

ゴールデンウィークがスタートしたが、ここ数年で稀に見る気温の低さ。

今朝も作業の取りかかりは防寒用にパーカを羽織らねばいけなかった。

天気がいいので最後に残った作業場の薪ストーブを片付けようとしたら、スタッフの一人が「昨日の夕方寒すぎて点けた」という。確かに我が家でもストーブをつけていたぐらいだから、片付けはもう一週間先延ばしにすることにした。

白花モッコウバラ

畑の端にある白花モッコウバラも、もう一歩まで蕾が膨らみながら咲かない。

白花モッコウバラ
4月12日の白花モッコウバラ

4月の12日にこんな感じだったので、GWを待たずに咲くのではという感じだったのだが、その後、気温が高い日が少なかったのだろう。

そういう調子なので、苗の育ちも非常にゆっくりだ。

バジルの苗

毎日のようにお問い合わせをいただいているバジルもまだこんな調子。少し前「GWが終わった頃には・・・」と答えていたのだが、それも怪しい。何年か前、4/20頃に発売したことがあるが、嘘のようだ。

先週、スタッフミーティングで「去年はもうレモンヴァーベナやレモングラスを発売していた」という話が出ていたのにこれも今年はまだまだ。

レモンヴァーベナもようやく枯れ枝から新芽が出てきてもう一歩。例年ならもう枝が3倍ぐらいに伸びている。レモングラスもまだ葉の伸びが弱々しい。

レモングラス

高い気温が好きなものだけではなく、冬に地上部がなくなって春に伸びてくるホップも普段の年よりのんびりとしている。

ホップなかにはまだ膨らんだ芽が地際に見えてきたというぐらいの株もあったりする。

もちろん、加温したり、ビニールハウスを密閉して温度をあげればもっと早く育てることはできるのだが、それは「病害虫さんいらっしゃい」と同じことなのでじっと我慢して気長に待っている。(ブログを見ていただいている皆様も、気長に待っていただくことになりそうです。暖かい地域の方は、お近くで手に入る苗をお求めいただいた方がいいかもしれません。)

一方で涼しいのが好きな種類は絶好調。

暑さや群れに弱い、レッドセイジ、ゴールデンセイジもおもわずニヤニヤするぐらいいい調子だし、イタリアンパセリやチャービル、コルシカンミントなども気持ちよさそうに育っている。

イタリアンパセリ

チャービルコルシカンミント

今年のGWは、涼しいのが好きな種類が満喫しているようだ。

慎重派たち

急に暖かくなったかと思ったら、先日はアラレが降ったり、山間部では積雪と、とても4月とは思えない。

暖かめの冬をのんびりと過ごしたハーブたちもこの寒さに気を引き締めているのではないだろうか。

一方で、本当に寒さに強いハーブたちは慎重派というかすぐには気を緩めないようで、先日ようやくコモンコンフリーが土の中から芽をのぞかせ始めた。

コモンコンフリー

ホップも未だに芽が出てこないので心配していたが、ようやくしっかりとした芽を出し始めた。ホップ

大抵は土の中から伸び始めるが、一つは古い茎から芽を出した。

ホップ
力強いホップの新芽

といっても、親指のような、茎というよりも地下茎に近い太さのところからだった。

この冬は雪が少なかったせいもあって、ビニールハウスをしめた日は片手で数えるぐらいだったと思う。そのせいだろうか、コンフリーとホップの苗も同じようなタイミングで芽を見せはじめたのがおかしかった。

ホップの苗
こちらはコンフリー

ホップは苗の場合、全部が全部春に芽を出すとは限らないのだが、コンフリーはそういうことがないので、かえって芽が出ないので心配だった。

例年なら、大雪が降ったりするとビニールハウスを閉めることが何度かある。その間、晴れ間で気温が一時的に上がったり、夜の気温があまり下がらないので苗も春の目覚めが早いのかもしれない。

外の大株と競うようにこれから一気に伸びるのではと思っている。

ソープワートの株分け

桜の開花発表があったものの、それからしばらく曇天で寒い日が続いた。明日からまた不安定な天気ということで、今日は屋外の作業に集中して取り組む。

まずは、先日草取りをしていたらソープワートの新芽がたくさん出ていたのを見つけたので、この株分けから行うことにした。

ソープワートの新芽ソープワートは、種子からでも増やせるし、たくさん増やすなら挿し木が速い。だが、この時期は横に伸びた地下茎がひょっこり顔を出すので、それを掘り上げて株分けをすると株の刺激にもなっていい。また、あまりに横に広がって収拾がつかなくなることを防ぐためにも有効だ。

2年ぐらいほったらかしにしていたので、最初に株があったところから、1メートルぐらい離れたところから顔を出している芽もあった。幾つかは隣のハーブの足元から顔を出していた。できれば毎年整理した方が良さそうだ。

ソープワートの新芽
ラベンダーの株元には嬉しくない

 

さてどこにあるでしょう?

なかには、通路部分までに広がって、雑草と見分けがつきにくくなっているものもある。

ここでした

地下茎を掘ってみるとかなりしっかり伸びているのもわかる。

15分ほどで、これほど株分け素材が集まった。

早速ポット上げ。春の新芽は勢いがいいから、すぐに根付いてくれることだろう。

ポット上げ

エキナセアも株分けしたくなるような新芽がたくさん出ていたが、残念ながら今日は間に合わなかった。また雨が一段落したら行うことにする。

エキナセアの新芽
エキナセアの新芽

幼虫検索

三寒四温とはよく言ったもので、一気に暖かくなりそうな予感を感じさせたこの春も、気温が上がった翌日、また冬のような寒さに逆戻りという日を何度か繰り返している。

それでも天気予報で来週は気温が上がると言っているので、急に本格的な春が訪れるのかもしれない。

毎年、春らしい陽気を感じて慌てて「あ~、冬の間に◯◯を終えてなかった!」と反省するのだが、今年はどうなるのだろうか。

今、ビニールハウスの中でも、冬越しした、寒さに弱い苗のメンテナンスが進んでいる。レモングラスなど、成長はしないのだが、ポット苗にはいつの間にか雑草が生え、いち早く大きくなりつつある。今後は更に急激に成長するだろうから、今のうちに草取りをしたり、土を入れ替えたりする作業が必要だ。

そんな作業中のスタッフが、「いつもベチバーをかじる芋虫がもう動いている」と教えてくれた。ベチバーの葉の縁をギザギザに噛んで食べる芋虫だ。

チャバネセセリ

やわらかく青々と太った姿は、冬の間もずっとかじっていたのではないかと思えるぐらい。

ただ、種類は何かがよく分からない。手に乗せてみると、クルッと丸まった姿が、夜盗虫に似ていたので、「夜盗虫じゃないの?」と話していた。芋虫、毛虫の類は同じ種類でも成長具合によってずいぶん色や形が変わる。◯齢幼虫という姿まではとても把握できない。そもそも覚える気力も、覚えるための脳のスペースも減る一方なのだ。

チャバネセセリ
手に乗せて丸くなる姿は夜盗虫にも似ていた

ただ、後になって、なんでも食べそうなヨトウムシとはいえ、イネ科のベチバーまで食べるのだろうか?いや、食べるものがなければ食べるだろう・・・。でも、妙に特徴のある顔をしていたな・・・と、妙に気になっていた。

午後、ちょっと時間が空いたので、ネットで調べてみることにした。こういう時頼りになるのが「幼虫図鑑」。この手の芋虫、毛虫嫌いの人は見ないほうが良いサイトである。大抵の芋虫や毛虫はこれで見つけることができるが、今回はなかなかヒットしない。

雰囲気が似ているヨトウムシの仲間、スズメガやシャチホコガの仲間などを見てみるが、どうしても見つからない。

そこで、考え方を変えてみて、食草から当たってみることにした。一旦このサイトから離れて、「イネ科 イモムシ 幼虫」で画像検索してみると、見事同じ顔つきのイモムシを発見。どうやらチャバネセセリの幼虫だったようだ。成虫は花の蜜を吸うそうなので、花が咲き始める頃には成虫になっているのかもしれない。

チャバネセセリ
チャバネセセリの幼虫。特徴のある頭部

それにしても、暖かくて、外敵もあまりいなくて、食べ物が豊富なビニールハウスの中という、卵を産み付けるには最適の環境を見つける力には脱帽せざるを得ない。

後ほど、「幼虫図鑑」でも「チャバネセセリ」を調べてみたらきちんと載っていた。探し方が悪かったのだろう。

春を迎える気持ち

この春はおそらく例年より早く気温が高くなるだろうと思われたので、冬の間の作業である肥料作りを早め早めで進めてきた。

気温が低い方がゆっくりと肥料が発酵するので発酵しすぎが防げるし、春、暖かくなると蝿が出始めて油断ができない。幸い、2月の終わりにはほぼ発酵段階の作業は終了できた。暖かかった分、この冬は大雪による影響もなかったのが大きかったように思う。例年、大雪で雪かきに追われて、一度や二度は肥料作りが中断するが、今年は一度もなく終わりを迎えることができた。

いまは肥料の水分を飛ばして保存用に乾燥させる作業と、乾燥した肥料を袋詰めする作業が残っている。

肥料袋
完成した肥料は米袋に詰めて保存

ここ数日は袋詰めして、番号を振り、棚に収める作業を少しずつ進めている。積む前の棚を掃除をしていたら、重ねていた紙袋の間で動くものがいる。

春のアシナガバチ
暖かい季節なら不意を突かれて一撃受けていただろう

アシナガバチだ。一応反射的に身をすくめてしまうが、まだこれぐらいの気温では全く動きが鈍い。飛ぶこともままならず、突然起こされて戸惑うかのように影を見つけて隠れようとゴソゴソするばかり。

昨年の秋は本当にアシナガバチをほとんど見なかったので、むしろ心配していたぐらいだ。正確にはわからないが、巣がなくなってしまった蜂がこのように数匹固まって冬を過ごしているのは時々見かける。彼らは春になったら、誰かが女王蜂となって巣を作るのだろうか。近い仲間のアリは、巣に戻れないと生きてはいけないという話を聞いたこともある。彼らも冬を越したあと、巣に頼らずに生きるのは大変なのではないだろうか。どのような気持ちで春を迎えるのだろうか。

きっと、袋詰めした肥料の隙間にまた身を隠してもう少し暖かくなるのを待つのだろう。気温が高くなったらこの周りで作業するときには注意せねば。きっとそのときは容赦なく向かってくるだろうし。