ラベル一枚で一年を棒に振る

5月になった日、待ちに待った一株のセイジの蕾がふくらみ、ようやく花が咲いた。

おそらく植えたのは昨年かその前の冬だと思う。これで一年以上曖昧だったことにようやく決着がついた。ピンクフラワーセイジで間違いない。

わざわざ植えたのだから、原種でありきたりのブルーのセイジとは思えない。おぼろげな記憶ではピンクか白だと覚えているけれど、それがはっきりしない。葉の感じから、白ではなさそうとはいえ、こればっかりは断言できにくい。

もちろん、植えた時に株元に何本か名札のラベルを挿したり、埋めたりしているはずだ。しかし、昨年夏頃にいくら周囲を探しても見つからなかった。

草取りの際には特にラベルには注意するように皆に周知してある。ところが何かわからないが、野生動物がラベルにいたずらをするのだ。

何かにかじられた跡

被害にあったラベルは上の方にかじったあとがある。おそらく、我々がガムを噛むように、噛むと気持ちが良いのだろう。それはいいが、引き抜いて投げ散らかされるので困ったものだ。

酷い場合は割れてしまう

その対策のために、一部のラベルは埋めるようにしている。なので、ラベルが見えなくなったらとりあえず周囲を少し掘ると大抵出てくるものだ。ところがこの株の場合はいくら探しても見つからなかった。そのため、秋に挿し木の親木にしようとしても、種類がわからないので見送らざるを得なかった。

今回もラベルをしっかりと埋めておく

以前、この場所はラベンダーを何種類も植えていた。その時はさらなる安全策としてノートに植えた種類を図で記載するようこころがけていた。今はいろいろな種類を植える場所になったため、ノートの記載までは怠っていたのも悪かった。

一週間ほど経ち、今、開花も真っ盛り。咲き終わったらしっかり剪定して株の充実を図り、秋にはまた挿し木の親木として働いてもらいたい。夏の蒸れとコガネムシの幼虫の食害がなければ・・・だが。

バジルまだですか

気がつくともう4月の20日。小さな体に対してとても大きなランドセルを背負った子供たちが登校する姿も、ようやく見慣れてきた。ゴールデンウィークも目の前だ。

とはいえ、3月半ばぐらいから気温がそれほど高くない、というか朝など本当に寒いので今が4月の下旬という気分にはなかなかなれない。

それでもこの時期になると例年同様、店頭でも「バジルまだですか」とのお問い合わせが入り始めた。ああ、この季節が来たなぁという気分になる。

通販の方にも同様のお問い合わせが届く(原則として発売予定についてはお答えできない旨お断りしているのだが・・・(笑)。

実際去年など、バジルは6月に入ってからの発売となってしまったので急いでおられる場合は、よそで探していただくしか方法はない。事実、ここ松江のホームセンターでも青々としたバジルが店頭に既に並んでいるとのことだし。

かつては春になるとバジルは二重のビニールハウスに入れ、さらに温床で加温までして栽培していた。

加温環境での育苗は日々の温度の管理もなかなか大変だし、暖かい場所なのでアブラムシなど害虫も早くから顔を見せ始める。閉ざされたビニールハウスの中ではてんとう虫やカマキリなどの天敵を頼みにすることはほぼ不可能。手作業で対応するより他になかった。

それほど苦労しても4月の終わりになんとか(ちょっと頼りない)バジルの苗ができるのがやっとだった。そう、確か最速はもう20年ぐらい前だろうか、今日4月20日に発売したような覚えがある。

この辺のホームセンターに並んでいるバジルは、九州や四国などで栽培されたものと聞く。もともと気温が低いこの地、しかも貧弱な栽培施設では、そんなバジルと競おうとしても、そもそも相手にならない。

それなのに高い電気代を払ってまで1日でも早く育てようとしていたのは若さゆえの意地だったのかもしれない。

だが、これから気温が上がればいくらでも育つ季節になるというのに化石燃料を消費し、多大な手間をかけてまで早く育てることへの疑問をいつの頃からか感じ始めてきた。

以来、バジルについても他のハーブと同様、育つ気候になってから無理せず育てるようになった。

本日(4月20日)のバジル

というわけで、今年の今日4月20日のバジルというと、まだこんな感じである。これでは今年も大きくなるのはずいぶん先になる予感。

というわけで

【バジルをお探しのお客様へ】

以上のように、今年もバジルの発売はまだかなり先になる見通しです。お待たせして申し訳ございません。

お急ぎの方は、暖かい土地ならば種子からスタートしてもすぐにこのバジルを追い越すと思います。ぜひ種子から育てることを試してみてください。また、お近くで育った大きいバジルを植えられても良いでしょう。

それで万一上手くいかなかったら、また当店のバジルをお試しください。その頃にはおそらく大きく育っていると思いますので。

どうぞよろしくお願いいたします。

土の下からこんにちは

冬の間、地面に蓄えられてきたエネルギーが一気に顔をだすようなこの時期だ。ここ一週間ほどで近所の方、そしてスタッフから、いくつもたけのこをいただいた。自家菜園のアスパラもようやく顔を覗かせるようになった。

ハーブの仲間も同様で、冬の間、昨年の葉が枯れて哀れな姿になっていたコンフリーも葉が出てきたかと思ったらあっという間に花を咲かせた。この時期は朝夕の低い気温せいだろう、花のピンクがとても鮮やかだ。

コモンコンフリー
春は特に色鮮やかなコモンコンフリー

苗も徐々に土の下から葉をのぞかせ始めている。結構毎年心配しながら冬越しをしているアフリカンブルーバジル。

毎年この芽をみるとほっとする

きっちり防寒しない(する場所が十分に確保できない)ので、1/3ぐらいは芽を出さすに終わってしまうこともあるが、大抵はこのように、株元から新芽が出てくる。しっかり防寒していると枝からも芽が出るのだが、伸びすぎた枝はいずれは剪定して形を整えることになるので、こちらの方が都合は良い。

寒さに強いとはいえ、それでも心配するのが、ホップの苗。寒さに強い分、地上部はすっかりなくなってしまうので、やはりこの時期新芽が確認できると安心する。

春になって地面の下から葉が出てくるような種類の場合、特に斑入りの種類には注意が必要だ。ゼラニウムは、斑入りや葉の形が変わった種類の場合、斑が消えたり、元の姿に戻りやすい。

春に斑がない葉が出ることがあるシルバータイム

タイムもこのシルバータイムや、斑入りのレモンタイムなどは、グリーンにもどりやすい。もちろん、斑が入っていない方が、葉緑素も多いので成長が早いから、斑入りの枝の方を圧倒してしまいがちなので、早めに剪定してしまう。

斑入り系でもまず安心なのが、ゴールデンホップ。

ゴールデンホップ 。春一番の葉から黄色味がかっている

これだけは本当、今までグリーンの葉に戻ったことがない。安定しているのだろう。まだ日差しはあまり強くないので、日陰にまで置く必要はないが、一時的でも極端に水切れすると一気にシワシワになりやすい。水やりにはこれから注意が必要だ。今まで何度かそれで発売延期にしてしまったこともあるし・・・。

三月の終わりに

今日で三月も終わり。一月二月はゆっくりだったが、さすがに三月は駆け足で去っていった。

お花見シーズンも駆け足で去っていきそうで、結局圃場の裏の家の桜を眺めるぐらいで終わりそうだ。

ビニールハウスの中や畑、花壇でも植物たちが春の動きを見せはじめた。

レモンヴァーベナの苗
レモンヴァーベナの苗

毎年、この姿を見るとホッとするのがレモンヴァーベナの苗。いままでマッチ棒のようだった枝から急に柔らかなグリーンが見え始める。特に今年は、場所の都合もあり、ほとんど防寒できないところに置かざるをえなかったのでなおさら安心した。まだまだ全体のうちの一部なので完全に喜ぶわけにはいかないけれどそれでもやはり嬉しい。

斑入りエルダー
斑入りエルダー

いっぽう、鉢植えで育てている斑入りエルダーの親木、きれいな斑入り葉が広がり始めた。あまり日差しが強く、暑くなると葉が傷んでくるのでむしろこの時期の柔らかな葉が一番いい感じかもしれない。

花壇では、なくなる寸前だったイエロースイートバイオレットがようやく復活。

イエロースイートバイオレット
イエロースイートバイオレット

本当なら株を充実させるために早めに花も取り除きたいところだが、せっかく咲いたので・・・となかなか剪定する気にはなれない。他の種類に比べると香りは弱いが、この時期の柔らかなアプリコット色はいい感じだ。すぐ隣に咲いているドワーフコンフリー、毎年絶好調。ちょっと花の終わりは残念な姿になりやすいが、一斉に咲くとこれはこれで見事だ。

ドワーフコンフリー
ドワーフコンフリー
ホップの新芽
ホップの新芽

店舗の西側の花壇では、ようやくホップが土の中から顔を出し始めた。これからはあっという間に伸びていくので、きちんと誘引して日陰をつくるようにしたいが、毎年のように忙しい時期に重なるので、気がついた頃にはもう遅し・・・と今年もなるんだろうな。

 

ミントのアブラムシ
ミントのアブラムシ

植物たちがイキイキとしてきたら、当然、昆虫たちも活動を始める。そろそろミントの新芽にもアブラムシがつき始めた。

アシナガバチ
アシナガバチ

朝のうちは、越冬場所と思われる角材やパイプの保管場所でじっとしているアシナガバチ、お昼に近づくとかなり元気に飛び回り始めるようになった。

虫の心配をしなくていい季節はもう終わり。これからは生き物たちと密に関わっていくシーズンだ。明日から4月、怒涛のシーズンの始まり始まり。

一年続いたら

ハーブに限らず、植物を育てるとき、ネームラベルはとても大事な役目を果たす。その植物の名前を記入しておくことがまず第一の役目。ハーブの中には、ラベルがなくなってしまうと、判断に困るぐらい似ているものもあるので、名前は欠かせない。

さらに栽培、育苗の場面では、栽培データを記入する役目も果たす。種子を撒いたり、挿し木をしたときには最低でも日付ぐらいは書き残しておきたい。

できれば種まきのおおよその数量、挿し木の本数なども記入しておくと、のちのち、その時期だとどれぐらいの発芽率や活着率があるかが参考になる。

一応、以前からそれらの情報に加えて、ポット上げの日と数量、完成日と数量、売り切れ日についてはラベルに記入していたが、残念ながら、それを活用するまでには至っていなかった。「今回は発芽率悪かったなぁ」とか、「いまごろならローズマリーは結構発根するだろう」という程度しか活用できていない。

旧型ラベル
旧型ラベル

何年も前からもう少しきちんとしたデータが取れないかと思い続け、まずそのためにラベルについて改善してみることにした。

とにかく面倒なのは、得られた栽培データの入力。今ここが一番ネックになっている。そこで、バーコードで管理できないかと、「水に強い」と謳われたタックシールを使ってみることにした。

なぜか溶け始めるラベル

最初はいい調子だったのだが、夏ぐらいから溶け始めた。暑さや直射日光のせいなのかと思った。ただ、よく見てみると、一様に溶けるというよりはフチの方から削られている感じ。

すでに判別不明になってしまった

とある朝、ラベルにひっついているなめくじを発見。どうやらラベルの紙(のり?)を食べているようだ。せっかくの記入データもまったく無意味となってしまった。まさかの原因に肩を落としてしまった。農業ではこういう全く不意に襲ってくるトラブルが頻発する。まあ、それを楽しんで笑い飛ばすぐらいの余裕が必要なのだが(「ハーブをかじられなくてよかった」とか)。それに、トラブルを解決することに頭をひねるのもまたよいものだ。

新型のラベル。きれいに貼るのが難しい。

そこで昨年の秋、仕切り直しとして、ラミネート加工のシールが印刷できるラベルライターを導入。ランニングコストは高めだし、ラベルを作るのは面倒だが、今の所は、かじられることも、文字が消えることもなく問題なく使えている。

一方、いま現在で、いくつか難点も出てきた。一つは文字が小さくて老眼が進んできた多くのスタッフに見えづらいこと。もうひとつは、ツルツルの面なので、マジックペンしか受け付けてくれないこと。いままでは、濡れていても全く問題なく使えていた鉛筆が使えなくなったのだ。

とりあえずそんなところだが、使い続けてまだ半年、一年続いたら引き続き使ってみようと思う。