ビニールハウスでプリンターを

過酷な環境ということならばこの上ないビニールハウス内。贅沢を言わせてもらえるならばプレハブでいいから事務所になるような小さな建物が欲しいが、そこで事務仕事ができるとは考えにくい。事務仕事はやはり環境の整った事務所でするのが能率も良い。

それに、プレハブができたら次はエアコン、ネット環境・・・とエスカレートしてしまうに違いないだろうし。

堅牢な建物がないそのような現状ではデリケートな機器にとっては居心地の悪い空間なのは否定できない。よって、最低限の機器しか置かないようになる。

連絡関係はスマホがあるので全く問題ないが、今でも必要なのはプリンターだ。お客様からいただいた注文は圃場にいるスタッフのスマホに連絡は行くようになっているが、やはり小さな画面での確認は何かとミスやトラブルが多い。

そのため、残念ながらいまだに紙媒体を使って、注文内容をプリンタで印刷せざるを得ない。近年、ネット(モバイルWi-fi)を経由してプリントできるサービスがプリンタのメーカーから提供されるようになったのはありがたい。とはいえ、そのプリンターをどうやって過酷な環境から守るかはこちらが頭を捻る必要がある。

とりあえず、なるべく地面から離れたところにおいて、雨風が当たらないようにすることだ。今は、ほぼ背の高さぐらいの場所に置き、さらに厚い木製のケースを作ってもらい格納している。プリント用紙が排出されるところも、元は大きく開いていたが、その口を通ってアシナガバチが巣を作ってしまい、今は更にプラスチックで最小限の隙間にしている。それでも、昨年だったか、中にアリが入り込んでしまい、大変なことになったこともある。

箱の中にはプリンタ。もちろん、環境としてはメーカー非推奨間違いなしだろう。良い子はマネしてはいけません。

いまのところ、2年ほどこの体制でうまくいっているので、しばらくは続けることになるだろう。少なくともプレハブ事務所は夢のまた夢だろうし。

実生は気長に

ハーブの場合、増殖方法はいろいろある。当店では主に挿し木で増やすことが多いが、株分けも結構するし、種子(実生)で増やすことも多くはないが行っている。

もちろん、種類によって適した増殖方法も違うし、容易さや確実性、完成までにかかる時間などでどの増殖方法を選択するかが決まる。

実生が少ないのは、比較的時間がかかりやすいという理由もある。ローズマリーやラベンダーなど、種子からスタートするとその年に苗ができないことも多いのだ。

一方で気長に楽しむという面では実生栽培はおすすめだ。

今、ビニールハウスの前で大きな実をつけている八朔の木は、種子(食べた後の残り)から育てたものだ。実がなるまで実に15年ぐらいかかった。

もちろん、果実が目的ならばさっさと接木苗の大きなのでも植えておくのが賢明だが、子供が小さい時に種子を蒔いたものなのだ。まさか発芽するとも思わなかったが、捨てることもできず、苗となり、大きくなったので地面に植えたら実がなったというわけ。気長に待った甲斐はあった。

場所が良かったのか、昨年は30個以上の豊作。今年も20ぐらいは実がついているので、家族で食べるには充分なほど。子供の小さかった頃のことを思い出したり、この20年近くを振り返ったり、種子の成長とともにその期間をしみじみと味わえる。早く収穫を・・・と接木苗で育てるよりもそれは大きい。

収穫はもう少ししてからだが、そのあと一ヶ月ぐらい置いておくと美味しく食べることができる。こちらも春まで気長に楽しむのだ。

もっとアピールを

この時期、虫の声がほとんど聞こえなくなるからだろうか、逆に鳥の声がよく聞こえるようになる。

昨日も一番上の畑の付近で小鳥たちが大騒ぎをしていた。木についた実でも食べているのだろうか。今あるのは、キミズミのオレンジ色の実や、サンザシの赤い実、あとはキウイの実ぐらいだろうか。キウイに穴を開けられるのは勘弁してほしいが、他はどうぞどうぞ。

幸い、いままでのところ、キウイが小鳥とかに齧られたのはみたことがない。色味からして美味しさを感じないからだろうか。

同じように、マートルの果実も真っ黒で目立たない。この時期にはかなり大きくなってきて果実らしくなってくるのだが、色が真っ黒、葉ももちろん残っているので余計に見えにくい。

小鳥などに食べてもらうならばもっとアピールするべきでは?と思うが、なんらかの戦略があるのだろう。中東の方ではスパイスに使うこともあるという。小鳥にとってもあまり美味しくないのかもしれない。

唯一の天敵

お客様から注文があった苗の準備で、必ず行う作業の一つが、育苗ポットから苗を取り出して根の確認をおこなうこと。

時には何百という数を行うこともあるので、なんて面倒なことをとも思えるかもしれないが、慣れというのは不思議なもので、もう20年以上行っていると自然に体が動くもので、なんとも思わなくなる。初めは面倒だと思っていたスタッフも、そのうち慣れてしまう。

根のコンディションを確認することが第一の目的で、それからポットの中に虫がいないかとか、ポットの縁に生えた草などを取り除くということもある。

根のコンディションは植物や育ち具合、時期によっても違うし、育てる側としてもとても勉強になる。なかなか地上部だけ見ていてはわからないことも多いのだ。

今日もポットから苗を抜き出したら側面にキラキラした粒々を発見。ナメクジの卵だ。大きくなると決してそうとは言えないが卵はむしろ美しささえ感じる。

この卵、周年見かけることがあるが、秋から冬にかけても変わらず見つかる。実際、冬でも活動しているのを見るので、産卵や孵化も気温が低くてもできるのだろう。

もしかしたら、天敵のカエルなどが眠っている間の方が何かと都合がいいのかもしれない。唯一の天敵は我々なのだろう。

お母さんナメクジには申し訳ないが、このままお客様のもとに連れていくわけにはいかないので、取り除かせてもらった。

咲かない秋のラベンダー

理由はさだかではないが、毎年ならばもっと咲いてくれる秋のコモン系のラベンダーの開花状況が非常に悪い。

暑さが長く続いたため?秋が暖かいため?夏の暑さで株の疲れが蓄積されたため?

この株はようやく1つだけ

決して咲かないわけではなく、いくつかの株はぼちぼち開花しているが、昨年までならば少し目を楽しませてくれる咲き方だったので少し寂しいものがある。

この株は、いくつか咲いたが、ボリュームはいまいち。この花穂ももう一歩か。

ま、開花すると言うことは調子が良い証拠でもあるのだが、一方で花を咲かせるということは株にとっても少なからず負担がある。きっと自分で自分を労わるためにこの秋はじっと咲くのを我慢したのだろうと考えることにした。

ま、それに開花してしまうと、秋冬の挿し木に影響もあるのでその点は良しとしたい。