野山と庭と

ずいぶん昔のことになる。ちょうど今ごろの季節だろうか、当時借りていた貸農園が山の上にあったので山道を車で登っていた時のこと。山かげの道端にブルーの花が群生して咲いていたのを見つけた。何だろうと思って近づいて見たのがアキチョウジであった。当時はまだハーブはともかく、山野草のことも全く知らなかったのでなおさら目に留まったのだろう。

その後、庭で育てたり、鉢植えなどでも試して見たことはあるが、やはり最初に見た野に咲いている姿の印象が強かったのだろう。庭や花壇ではどのように植えて見てもなかなか納得いく姿にならない。

その一方で、園芸種の桃花アキチョウジは華やかで、花壇などで他のハーブと混植しても違和感が少ない。花もかなり良く咲くので、秋の花壇を彩るには結構使いやすい。でも、これが山際に咲いているとちょっと派手すぎるのではないかと思ってしまう。

桃花アキチョウジ
いずれも冬には潔く地上部が枯れてくれるので、片づけもあまり深く考えずに済む。上手に活用したい種類である。

秋の黄色

黄色い花はあまり好きな方ではないけれど(以前にも書いたかな?)、ブルー系の花の中にちょっと加えると明るい雰囲気になるし、良く目立つ。

どちらかといえばブルー系の花が多いセイジ、サルビアの中でも秋に開花するサルビア・マドレンシスは背丈を越すサイズになることもあって花壇の中でも特に目を引く。

サルビア・マドレンシス

惜しいのは、適切に剪定して早くから分枝させないと株元から数本の茎がビューン、ビューンと伸びてしまい、とても不安定になってしまうことだ。写真の株も先日の台風で揺すられてしまい、株がやや持ち上げられてしまった。対策はそれなりに行なっていたのに・・・

そういった育ち方をするので、切り花にするには、やや大きすぎる。またこの種類も粘つくので、小さな虫がくっついてしまうのは残念だ。庭にドーンと咲かせるのが一番だろう。

イエロー系のサルビアも上手に使いたいところであるが、黄花アキギリは少し小さくまとまりすぎるし、この種類は大きすぎる。この間のサイズで濃いめの黄色いサルビアがあるとありがたい・・・

さて、日本ではイエローマジェスティーと呼ばれることも多いようだが、 Salvia guaraniticaのパープルマジェスティーとはだいぶ違う。それにしても上手に名前を付けるものですね。

危険な忘れ物

ガーデニングをしていると思わぬツールが結構役に立つことが多い。

山菜掘り

この山菜掘りもずいぶん前に面白そうだなと思って購入してから手放せなくなったものの一つである。この辺りでもホームセンターやJAなどで安価に手に入る。

草取りをする時に、ちょっと深い根を掘り出したい時や、移植の時などにも普通のスコップより深く刺せるので重宝している。特に深めの鉢の植え替えの時には無くてはならない。また、根が締まった株を分けようとする時など、思いきって力が入れられて効率が良い。ハサミで切れないような大株の時はなおさら都合が良い。

問題はパッと見、危険な外観をしていることだ。少し前に問題になった両刃のナイフのように見えても仕方がない。

あるとき、作業で訪れた幼稚園にこの山菜掘りを忘れて帰ってしまった。花壇の木の株元に忘れていたようだが、それを園児が見つけて大騒ぎになった。後で園長先生にきつく注意されてしまった。

それ以来、せめて少しでも目立つようにと紐をつけたのだが・・・。おき忘れ防止には今一つのようで、まだ何か良い方法がないか思案中である。

どうでも良いことだが、以前海外の園芸用品サイトで同じようなもの(同一品かも)が、ものすごく高価なプライスがついて販売されていた。Japanからの優れたガーデニングツール!というような売り文句がつけられていた。

秋の蚊

彼岸を過ぎてからの蚊は強力無比である。最後の一踏ん張りという感じで何が何でも血を吸ってやろうという気迫に満ちている。その上夏よりも数が増えている感じもする。涼しくなってトンボなどに食べられるのが減るからなのだろうか。開けっ放しの圃場ではあるが、むしろ夏の間はあまり蚊が気にならないのである。

夏の間では考えられないことだが結構強い風が吹いていてもしつこくたかってくる。そのうえ、服の上からでも強力に刺してくる。しかも痛い。

蚊取り線香
更に困ったことに、秋の蚊には虫よけが効きにくい。蚊取り線香も、虫よけスプレーも、シトロネラキャンドルもお手上げである。それでも無いよりはましなので蚊取り線香もつけっぱなし。それなのに先日蚊取り線香を補充しにホームセンターへ行ったらもう既に販売終了であった・・・。もう少し実情を見据えた品ぞろえをして欲しいものだ。

シトロネラキャンドル

まあ、それでも真夏にこんな強力な蚊にアタックされたら暑い上にイライラさせられて仕事にならないだろう。せめて今の時期だということに感謝するべきなのか?

モデル料として最後の晩餐はたっぷりとサービス
モデル料として最後の晩餐はたっぷりとサービス

レモングラス虫

夏に株分けをして、ポットの中でようやく根が張ってきたレモングラス。まだ寒くなるには時間があるし、これなら越冬も安心・・・とホッとするのが今の時期。しかし、あまり油断はできない。
レモングラス

苗の株元を注意して見ると、小さな穴が見つかることがある。そんなときはたいてい中に虫がいる。仲間内では「レモングラス虫」と呼んでいる。詳しい名前は不明である。

レモングラスの害虫

茎に穴を空けて中心部を食い荒らし、下に向けて食べ進んで行く。たいてい少し下のほうを切って見ると犯人が見つかることが多い。喰いカスが根元に散らばっているので見つかることもある。テッポウムシのように細い針金か何かを差し込んで退治しても良いかも知れない。

この虫が入った茎はたいていダウンしてくるが、レモングラスは株さえ残っていれば上の葉を切ってもいくらでも芽が出てくるのであまり心配はいらない。この虫の退治が終るとようやく越冬体勢に入ることになるのである。