種子蒔きのお手伝い

秋も深まり、雑草もどんどんと種子を落とす準備を進めつつある。それよりひと足前に圃場の回りの草刈りをしておかなければならない。種子ができてからでは、草刈りをしたところで種子を蒔いてやる手伝いをしているようなものだ。

それでも、冬を前に精一杯花を咲かせている姿を見ると少し躊躇してしまうこともある。

ミゾソバ

ビニールハウスのすぐ横で育っているミゾソバもいまが最盛期。溝のあるようなところに育つソバのような花と言う名前のようだ。花が咲くまでは全くパッとしない姿なのに、開花すると辺りが明るくなる感じがする。育つときには一気に大きくなるようだが、困るようなしつこさは無いし、少し寂しさを感じさせる季節にあると嬉しい花色なのでどちらかと言えば残しておきたくなる。

ミゾソバ

花も近くで見るとなかなか可愛いのだ。もう少し目を楽しませてもらって、来年分の種子ができてから片づけても良いかな?なんて気にさせるのである。

冬のデビューに向けて

秋は植え替えの季節でもある。夏の間に傷んだ株や、大きくなりすぎたものを植え替える仕事が山積だ。暑さや蒸れで調子が悪くなったハーブの鉢物は、涼しさが戻ってくるとそれなりに調子も良くなってくるとは言え、植え替えた方が手っ取り早いことが多い。

まして、徒長した株は剪定するだけでなく、植え替えもしてやるとなお、良い葉がでやすい。

シルバータイム

このシルバータイムもお手本のような徒長株である。そのうえ斑が消えてしまった枝も結構あるのでこのままでは見た目が悪い。シルバータイムはむしろ冬に葉色が鮮やかになるので是非今のうちに新しい芽がでるきっかけを作っておきたい。実際、斑の方が目立ちすぎて花が咲いた時もそれほど花が目を引くこともないのである。

普通ならばっさりと剪定してしまうことからスタートするが、長いままの方が斑が消えた枝が見つかりやすいので先にその始末をして、株元近くまで切り戻す。まだ比較的小さめの株なので(というか、鉢が小さいのでこれくらいしか大きくならないのだ)、すでに株元から新芽が出つつある。思いきってそのすぐ上辺りまで切り戻した。あとは一度掘り上げて回りの土を少し落とし、新しい用土を加えて植え直したらできあがりである。

シルバータイム

この鉢も使いはじめて10年近く。買った当時、少し値段が高く感じたのだが、頑丈でようやくいい味を出しはじめたことを考えると今になって良い買い物だったと思えるようになった。

一月もすればそこそこ見栄え良い葉が伸びてくるだろう。その頃には店頭に飾ってやろうと思っている。

園芸作業の友

圃場で挿し木やポット上げなど、諸々の作業をするとき、側に無くてはならないのがラジオである。この番組を聞かなくては・・・と言う程ではない。それなのにいつのころからかラジオを流しながら作業をするようになった。個人で作業をすることが多いのも理由になるかも知れないけれど、何人かで作業する時もつけっぱなしである。案外何かの話題のきっかけになったりして和気あいあいと作業をするために良い潤滑油の役目をしているのかも知れない。

といっても、ラジオから流れる内容を、しっかり聞いているわけでも無い。興味のあるニュースが流れている時に、ラジオの近くにいるスタッフに
「で、なんて言ってた?」
と訪ねたところで、
「いや、聞いてなかった」
と返事が返ってくるのが落ちである。

圃場のラジオ、3代目か4代目になる。過酷な環境で頑張ってくれている。
圃場のラジオ、3代目か4代目になる。過酷な環境で頑張ってくれている。

不思議なことに、同じような業種の圃場などに行っても必ずと言っていいほどラジオがかかっているので、なにやら可笑しく思えてくる。

園芸が好きなひとは孤独を全く苦にしない人が多いという意見には賛成だが、ラジオは側にあったらきっと嬉しいだろう。

園芸を趣味とする人へのプレゼントとして携帯ラジオ。結構喜ばれるのではないだろうか。

はじめまして

春先に種子を蒔いたユーカリの苗がだいぶ大きくなってきた。新しく仲間入りしたEucalyptus niphophilaである。今まで育てた種類にはあまりない感じで、葉の色がとても鮮やかである。今回初めてのお目見え。照れて赤くなっているのかも知れない。

Eucalyptus niphophila

まあ、ユーカリの場合、小さい頃の葉っぱの様子でイメージしていると後でびっくりするほど変わることも希ではないのであまり当てにはならない。葉の香りも今はそれほど強くないが、案外大きくなったら良く香るかも知れないし・・・。

あまり極端に大きくならず、株の形と葉色がよく、切り戻しにも強く、寒さも大丈夫と言うのなら言うことなし・・・。なんてのは望んではいけない。何か一つ二つ良いところを見つけて紹介できればと思っている。

台風のあとで

ここ、山陰地方は先の台風18号の直撃こそ免れたので、あまり大きな被害は無かったようだ。我々のところもテレビやラジオで繰り返し警戒を呼びかけられたこともあり、毎年手薄になりがちなビニールハウス回りの対策もそこそこできた。実際に手洗い場の戸が倒れたぐらいで目立つ被害は少なかった。

それでも、いくつかお客様の庭で心配になったところもあり、翌日何軒か様子を見に回った。

一番心配したのが、来月の行事を目の前にして開花状態も気になる市内の幼稚園の花壇だった。台風の前日には株元が弱い種類に支柱を立てたり、紐で株同士を固定したりして応急的な対策をしておいた。

危なそうで対策を施した株は被害は少なかったのに、これは大丈夫だろうと思っていた株が思わぬ被害を受けた。

特に、咋秋に植え、形も良く育ち、夏には早速花をしっかり咲かせたインプレスパープルラベンダー。よほど風に揺すられたのか、株元が浮き上がってしまっていた。根がだいぶダメージを受けたのは疑いが無い。いまのところは見た目にはあまり変化は無いようだったが、このままではいずれ葉が枯れてくるようなことになりかねない。

向こう側に倒れ、株元が見えるぐらいになっている
向こう側に倒れ、株元が見えるぐらいになっている

応急措置として、株元をしっかり盛り土をして固定、せっかくいい感じに茂った葉は残念だったが、3/4ぐらいに切り詰め、すこし枝も透かすことにした。

これから、シーズン的にはあまり心配が無いとは言え、しばらくは観察が必要だ。何とかダウンしないよう祈るばかりである。