生贄

ようやく今年初めてのバジルが出せるようになった。バジルを育てるようになってから最も遅い記録かも知れない。

例年だと4月の終わりから、遅くてもGWあけ頃が初出荷になることが多い。この頃はバジルの茎がまだ柔らかく、店頭に並べる時には強い風に気を付けなくてはならない。その点今年は、ゆっくりと育ったし、もう半分諦めの感があったので、頑丈な苗になるよう心がけた。がっしりとした良い苗ができたと思っている。

ただ、いつでも気を付けなければならないのはナメクジの害である。バジルを店頭に出すと、「待ってました」とばかりにナメクジが集合してくるようで、一晩放置していると穴だらけになる。そのため、バジルだけは閉店と同時に奥の乾燥した所へ非難させるよう心がけている。

ところが、昨夜、スタッフが引っ込めるのを忘れたようで、今朝見てみると案の定たくさんかじられていた。ナメクジがいるところに夜中放置しておくなんて、生贄をさし出すようなものである。

バジル

幸い、このバジルは御理解を頂いた上で、お客様に引き取られていった。

生贄と言えば、子供が小さい頃、「○○を生贄に□□を召喚!」なんてカードゲームに相当付き合わされた。出来立てのバジルが生贄では召喚コスト高すぎである。

気になる鳥

ここ数ヶ月ほどだろうか、なにかと目につく鳥がいる。ある時は道端で、またある時は店の周りで見かける鳥だ。背中は青っぽく、ちょっと目を引くけれど、ものすごくきれいと言うわけではない。それでも何となく気になっていた。

今日もビニールハウスから出てみると、駐車場の砂の辺りでしきりに何かをついばんでいる。どうやら毛虫をつついているようだ。毛が嫌なのでつついては離しているようにも見えるし、ネコが小動物をもてあそぶように、ただ遊んでいるようにも見えた。

イソヒヨドリ?

どうやら夢中のようなので、これはチャンスとカメラを持ってきてそっと近づく。それほどこちらを気にする素振りもなく、夢中で毛虫と遊んでいた。

イソヒヨドリ?

何枚かの写真を撮り終えた後もしばらく遊んでいたようだ。そのうち、毛虫も一緒にどこかへ消えていた。

帰って調べてみるとイソヒヨドリと言う鳥ではないかと思った。「イソ」とつくからには海の近くの鳥のようだけれど、時には内陸のほうにもやって来るらしい。ここから海までは結構ある。ビルなどを崖地と思ってすむこともあるとか、それで高速道路の橋脚の下で見たのかも知れない。

出撃準備

今年はなんとなくナメクジの被害が多い感じがする。皆様の所はどうですか?

スミレの仲間の葉も穴だらけになったし、バジルの新芽もかじられた。そしてなんといっても発芽したばかりのナスビときゅうりが一夜にして消失してしまったのには腹が立った。

そして、今標的になっているのが、ニオイアヤメである。どうやら終った花を目当てに食べに来るようだ。咲いている時もかぐわしい花だからきっと食欲がそそられるのだろう。

開化を終えた花。これだけを食べてくれるのなら良いのだが・・・
開化を終えた花。これだけを食べてくれるのなら良いのだが・・・

終った花を食べに来るぐらいならば目をつむる所だが、ついでに葉までかじって帰られたのではたまらない。それでもと思い、朝早い内にチェックして捕殺するようにしているが次から次へと現れる感じできりがない。

葉に大穴が・・・
葉に大穴が・・・

ところが、夕方様子を見に行ってみると、株元にカエル君がいつの間にかいらっしゃる。ナメクジが出てくる時間にむけて出撃準備か?と思いたい。心なしか目つきも鋭くなっているような・・・?

カエル

そもそもの間違い

毎年のように遅れてしまう夏物野菜の種まき。今年は普段の年よりもはやめに出来たのに、発芽が非常に遅くなり、発芽しても大きくならない。気温のためなので仕方がないと思いつつも、ついにしびれを切らして、昨日きゅうりやトマト、ナスなど、いくつか苗で購入してしまった。実際、自家用なので一株、二株と言う単位で充分だから種子を蒔くよりも苗を買った方が手間やタイミングの点から見ても有利なのは分かっているのに毎年繰り返す愚行である。

急きょ植え場所を確保するために、畑の様子を見に行くと、昨年トマトを植えた周りにたくさんこぼれ種で発芽している。愕然。

トマトのこぼれ種

ただ、昨年植えたのは接ぎ木苗だった。接ぎ木苗からの実生だから、これを植えた所で昨年ほどのなりは期待できそうもない。トマトに詳しいスタッフも、「だいぶ収穫量は落ちるでしょう」と断言。

でも、せっかく芽を出したのを耕してしまうのはもったいない。とりあえず10株ほどをポット上げして、そのうちいくつかは植えてみようと思う。これがそもそもの間違いだとは心の奥では気づいているのだが・・・。

かわいいアジサイ

「お引っ越しの忘れ物」で話題にしたヘリオトロープがようやく復活して花も咲かせ始めたので店頭に持ってきた。

ヘリオトロープ

風の具合によっては甘い香りが辺りに漂う。花もさる事ながらやはりヘリオトロープの命はこの香りである。今でも最初に嗅いだ時の感動は忘れられない。

なるべく多くのひとに見ていただきたくて、店頭でも目立つ所に据えた。香ってみて「次の苗ができた時には是非」とのご希望も頂いたりするとなおさら嬉しい。

中に、「あら、かわいいアジサイね」という反応が結構あったのにはびっくりした。まあ、パッと見にはそうも見えるよね、とスタッフと笑いあった。とはいえ自分もこの世界に足を突っ込まなかったら、「かわいいアジサイ」としか思えなかったのかも知れない。どころか、ただの「花」ぐらいの認識だった可能性も高い。今は幸せである。