親族が管理する里山に所用で出かけた。山道を歩いていると風に乗って甘く爽やかな香りがする。初め、クチナシの香りかと思った。
辺りを見回してみると少し離れたやぶに、白と黄色の花が咲いているのが見えた。もしやと思って近づいてみると、スイカズラの花であった。忍冬(ニンドウ)とも呼ばれる。いわば日本のハニーサックルである。
この場所は何度も通っていたのに、今まで全く気がつかなかった。「栽培されている」という認識があると注意して見るのに、自生しているとつい見逃してしまうのだろう。
暗い薮を背景にして花色が際立つ。開花時から花色が変わっていくのはハニーサックルの仲間では良くあることだが、スイカズラもなかなかいい感じである。
今、圃場でもハニーサックルが次々と咲き、香りを楽しませてくれている。それにしても香りの系統のなんと違うことだろう。普段接しているハニーサックルは爽やかで割とシャープな明るい香りがするのに、こちらのスイカズラは爽やかではあるが、しっとりと深みがある。最初クチナシを連想させたように、非常に日本的なのだ。花の咲き方も、perlclymenum系とは大分違うし、庭などでも楽しめそうだ。
冬に機会があれば、一度、冬に耐え忍ぶ忍冬の姿を見てみたい。