苦手なアルパイン

ハーブが好きなひとは、割と小さめの花が好きなように思う。そして大きくなる植物よりも小さく可愛らしくまとまる草花も好まれるようだ。

まあ、自分にしても同じようなタイプだ。ただ、好きであることと育てるのが上手ということは別問題。

園芸にはAlpine Plantsというカテゴリがある。高山植物である。コンパクトで愛らしく、えも言われぬ美しい花を株を覆い尽くすように咲かせるというイメージだ(私にとっては)。

アルパインフォックスグローブの園芸品種

非常に魅かれる植物群なのに、育てるのは苦手である。写真のErinus alpinus(Fairy Foxglove、イワカラクサ)の園芸品種。何年もかかってようやく2株ほど開花するまで育てることができた。当然大きな障害は夏である。まあ、他のハーブと一緒に育ててしまうのが問題なことは明らかで葉がカリカリに焼けてしまう。

適度に遮光するとか、ロックガーデンに植えるとか、用土を調整するとかすればもっといい結果が出そうではあるが、そこまで特別扱いはしない。そもそも、種子を購入する時、「Alpine plants」だとか、学名の「alpinus」という文字を見ておきながら注文してしまうのだから世話無いのである。

もう少し年を取って引退したらロックガーデンでも作って楽しむのだ。それまでは準備期間として細々と育てて見よう。

それにしてもなぜFairy Foxgloveと呼ばれるのだろう。フォックスグローブとは似てもにつかぬこの姿。妖精のようなかわいらしさというのは頷けるけれど。ロックガーデンで育て、本性が表れると分かるのかも知れない。それもまた楽しみである。

頭でっかち

ラージフラワーカラミントが開花しはじめた。地植え株や、大きな鉢での株はまだ後少し先となりそうなのに、ひと足早く、苗の株が小さめの蕾から一気に大きな花を咲かせた。

ラージフラワーカラミント

学名がCalamintha grandifloraと付けられているように、他のカラミント(カラミンサ)に比べて大きな花である。葉っぱも大きめで、そのうえ、柔らかい枝をしているため、やや枝折れしやすい。苗ならなおさらで、発送の時には結構気を使う。発送前にポッキンとなって圃場へ取りに帰ることもそう希ではない。

地植えでがっしり育てればそれほど心配は無いだろうが、風が強い時などの被害はあるだろう。

さて、これらのカラミント(カラミンサ)、もちろんミント(Mentha)とは別属だ。ところが、ミントと名前がつくだけで毛嫌いされることが多く、花が咲いていない時はやや影が薄い。店頭でも、説明する時に「ミントじゃないんですけれどね」とひと言断ってから紹介する。でないと、ミントのように爆発的に増えると思われて敬遠されがちなのである。

まあ、レッサーカラミント(Calamintha nepeta)は種で爆発的に増えることもあるけれど・・・。

寒冷紗

日差しが強い時期、ビニールハウスでは遮光シート(寒冷紗)を張る。植物のためには早くとも梅雨が明けてから張るのが例年の習わし。まだまだ先である。

それに先駆け、か弱い我々用の遮光シートを作業スペースの上に張った。ごく薄い一枚のシートとはいえ、有ると無いとでは暑さがものすごく違う。「木漏れ日の下」と言うほどの風情はないにせよ、今から秋初めまではこれなしではやっていけないほど重宝している。

寒冷紗

非常に優れ物のこのシート、遮光率もいろいろラインナップされており、用途によって使い分ける。種を発芽させたり、挿し木を管理するビニールハウスでは年中軽く遮光されるタイプで覆って乾燥を防ぐ。遮光度合いの高いタイプは真夏、ポット上げしたばかりの苗を育てるビニールハウスで短期的に使う。同じ時期、大きな株のハウスでは薄い遮光シートである。

薄くて軽く、小さく畳めるのでパーソナルな園芸でも活用の場は多いと思う。

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学習効果

お客様から今年はチュウレンジバチが多いと言う話を伺った。庭でたくさん飛び回っているとのこと。

確かに、先日庭の手入れにうかがったあるお客様の庭では、HTが十数本有るコーナーで既に幼虫を見つけた。毎年のことなのであまり驚かないし、被害が少ないうちならそれほど心配することも無い。

なので成虫についてあまり気にかけることもなく、どんな姿なのかおぼろげにしかとらえていなかった。実際、こういう場合図鑑やネットで見たところで自分のものにはなりにくい。

話をうかがったお客様の御主人がわざわざ成虫を捕まえて持ってきてくれた。一目瞭然。やはり昆虫は動いているところを見るのが一番だ。

その後、ビニールハウスの一角でチュウレンジバチが飛んでいるのを見つけた。やはり今年は多いのかも。普段も飛んでいるに違いないが今までは認識できていなかったのだろう。学習効果がでたようだ。

ミントは口に合わぬ。
ミントは口に合わぬ。

先のローズのお庭では油断していると大変なことになるのに、ビニールハウスのほうではさしたる被害も無い。たまにローズ系の枝に産卵した後を見ることはあっても幼虫が葉を食い荒らした形跡もない。天敵はアシナガバチだと言われているから、天敵の多いこの地には適していないのかも。

マヌカも硬くて嫌じゃ
マヌカも硬くて嫌じゃ

それとも、肥料たっぷりで育った美味しいローズの葉を探してきては見たものの、あるのはハーブと貧相な原種ローズばかり。食欲が湧かないのかも知れない。

ニートな葉

5月になると日差しも強い。朝や夕方はともかく、真昼は日陰のほうがかえって気持ち良いぐらいになってきた。

ハーブたちも強烈な直射日光を嫌う種類はそろそろなにか対策を始めなくてはいけない時期である。斑入りの種類については葉が焼けてくるものもぼちぼち出はじめる。

パイナップルミントも葉焼けに弱い種類の一つだが、春先にはさらにこんな葉も出てきたりする。

アップルミント

普通は縁取りのように斑が入る。ところが、たまに葉全体が真っ白になってしまったものが出ることがある。

かつてはこれを何とか増やせないかといろいろ試して見たこともあったが徒労に終った。写真でも分かるように葉の縁のほうから徐々に焼けてくる。5月の初めでこうだから、その後どうなるかは明らかである。可愛らしい葉ではあっても葉緑素不足ではあまりに弱いのだ。

この葉で光合成しないのであれば、他の葉で作ってもらったエネルギーでようやく成長しているのだろうか。早く自立しなさいと言いたいところだが、自分もかつてこの葉と似たりよったりであったことを思い出すと沈黙せざるを得ないのである。