好物は最初に

食事の時、どういう順番で食べるかは個性が現れやすい。好きなものは最後にとっておく人、まず最初に好物を食べる人、バランスよく食べ進む人。特に小さな子供ははっきりしていているので見ていて面白い。

自分はどっちかなと改めて考えてみると、好物は最後の楽しみにしておくタイプのようだ。

さて、人間に比べ、虫たちははっきりしている。まず、好物から箸をのばす。

タイムの仲間はハーブの中でもあまり害虫に悩まされる方ではない。でも、夏の暑さがピークを迎える今ごろ、しばしば小さなイモムシのターゲットになる。

シルバータイムとイモムシ

似たようなタイムでも明らかに好きな順番があるようで、たとえば
シルバータイム>レモンタイム>コモンタイム
といった順番のようだ。
斑入りのもの、より柔らかいものを好むらしい。小さな苗を並べていると、おおよそ食べ尽くすと次に移っている。

また、匍匐性のものより、立性のものがいいようだ。雨が降った時など濡れるのが嫌なのか、地面から離れていた方が天敵などから逃れやすいのかそれは分からない。感心するのは卵を産み付ける親のほうだけれど。

さて、食べられてしまう側のタイムだが、ちょうど暑さや蒸れでしんどそうな思いをしている頃である。これを機に刈り込んでやるのもまたよし。丁度よい刺激になるようで、また元気に伸びてくるからあまり心配はしなくて大丈夫だ。

都市鉱山

昨日、スタッフが苗の剪定をしていたところ、妙なものを見つけたと言うので見せてもらった。モッコウバラの苗に付いていたサナギ。なんと、棘のようになっている所が金色に光っている。金属のような輝きである。雰囲気としては金色のハンダ付けをしたような感じだ。

サナギ

昨日はまだぴくぴく動いていたという。はっきり言ってサナギがぴくぴく動いている姿は実に気持ち悪い。この姿でぴくぴく動かれては相当不気味に感じたかも知れないが、今日はもう静まっている。

体の中のどういう成分をどうやって使うとこんな光沢が出せるのだろう。「まさか、金じゃないよね。もしかしてレアメタルだったりして?」としばし話が盛り上がった。都市鉱山と呼ばれる携帯電話よりも量的には多そうだ。

正体をすぐに調べてみたい所ではある。ネットで検索をかければすぐに分かると思うが、敢えて調べずにしばらく観察してみようと思う。

追記

後に分かったのだが、ツマグロヒョウモンのサナギだった。残念ながら羽化は見逃してしまっていつの間にか抜け殻だけが残っていた。

ちょっとこの頃、昆虫図鑑と化しているとの指摘があったので、来月からはちょっと気をつけます。

戦慄の集団

とあるお庭へ作業に言った時、アカメの葉が何かにかじられていた。一つの葉を裏返してみて、瞬間、緊張が走った。イラガである。思わず退いてしまう。

チャドクガの幼虫

仲良く美味しそうに葉をかじっている。こういうのを見つけるともう駄目である。作業は一旦中止。一緒に作業をしている皆に知らせ、他にいないかチェックした上でないと作業が再開できない。普段庭仕事で遭遇する危険昆虫の中でもスズメバチに続いてタチが悪い。その次がチャドクガといったところ。

さて、後になってこの写真を見て気づいたのだが、この時、周囲を探しても他にイラガはいなかった。この周りの葉はこの方々が食べられたとしか思えない。この隊列のまま移動するのだろうか???

やっぱり悪いヤツ

お客様のお庭に行くと普段お目にかかることのない昆虫に出会う。別に遠方へ行くわけではなく、同じ市内であっても環境や植生が違うとそこに住む昆虫の違いがよくわかる。

今日もとあるお庭へバラのお手入れに伺うと、タンポポの綿毛を背中に背負ったような小さな虫が葉にいた。きっと今の時期バラの葉にいるぐらいだからきっと悪いヤツなんだろうなと思ったが、なかなか愛嬌がある。

ベッコウハゴロモ

「でも、こういうヤツに限ってタチが悪かったりするんだよね」とスタッフ。

ベッコウハゴロモ
愛嬌のある正面

あとで調べてみると「ベッコウハゴロモ」というヨコバイに近い昆虫の幼虫だった。枝から汁を吸うと言う。やっぱり悪いヤツだった。葛のあるところに良くいるそうなので、圃場の周りでみてもおかしくないはずなんだけど。小さいからね、普段目に留まっていないのだろう。バラの葉を一枚一枚チェックするようなつもりで葛を見ればきっと見つかる。

しかしこの毛は一体何のために?ピョンと飛ぶので、そのあとこの毛でふわりと浮かんだりするのかなぁ?

旬に合わせて

主に春先に開花するスイートバイオレット、花の後はしばらくお疲れ気味で、ほかのハーブが旺盛に育つ初夏はすこし元気がない。もしかしてこのまま梅雨、そして暑い夏を迎えたら相当調子が悪くなるのでは・・・・。と心配になるが、梅雨の中ごろから、急に元気を取り戻すことが多い。寒さに強いスイートバイオレットなので、夏はさぞかし苦手と思いきや、強烈な日照さえ遮って、乾ききらないように気を付けてやるとかえって5月ごろより元気に見える。

新しい葉も出てきて、まるで第二の旬を迎えたような雰囲気さえ漂わせる。そして、旬を逃すまい!と、ツマグロヒョウモンの幼虫もしっかりと現れる。旬のものは美味しいと言うことを知っているのだろう。今年は、ピンクスイートバイオレットが特に調子が良かったら、しっかりこの種類に大発生した。

ピンクスイートバイオレット

もちろん、年によって旬の時期は前後する。それなのに、毎年遅れることなく出てくるのには感心する。

ツマグロヒョウモン
この方たちは、葉を豪快に食べるので、葉が齧られるのがよくわかる。その上、保護色なんて気にしないと言う態度なのか、葉の間にいてもとても目立つ。おかげでつかまえるのもとっても簡単だ。

ツマグロヒョウモン

初めて目にした時にはおっかなびっくりハサミでつまんでいたが、毒もないことが分かり、今では全く平気である。スタッフはまだ素手ではつかめないようだが、そのうち克服できるかな?