あしあと

雪が降った翌朝、圃場に行くとちょっとした楽しみがある。

小さな山に囲まれているここは、夜中結構動物たちが出没しているらしい。むろん普段はあまりその存在に気づくことはないが、雪の後はしっかり足跡を残してくれる。

あしあと

犬や猫はもとより、タヌキは頻繁に出没しているようだ。野うさぎらしい足跡も見つけたし、正体不明の足跡もあった。町に近いのに、結構野生動物は豊富にいるようだ。近年はヌートリアの被害も周囲の畑にあると聞く(今は冬眠中だろうか?)。イノシシや猿が出没したことさえある。

今まで一番驚いたのは、圃場から50メートルも離れないところに大きなクジャクが羽根を広げていたのを見たときだ。さすがに目を疑った。もちろん野生ではなく、どうやら誰かが飼っていたのを捨てたらしかったのだが。

でも、さらに驚いたのは、近所のおばあさんがまるでニワトリを捕まえるようにそのクジャクを捕まえたことだ。こちらは鋭いくちばしでつつかれないかとヒヤヒヤしていたのに「おおよしよし」とかいいながら接近して難なく捕獲。連れてかえってしまた。その後のクジャクの消息は不明である。スタッフの間ではもしかしてその晩食卓に上ったのでは・・・と噂になっている。

がじがじ

長年、それほど気にも留めていなかったけれど、なんとなく腑に落ちないことが、今朝ようやく判明した。

畑に落ちていた一枚のラベル。確かに先日自分が苗の横に差したものだった。
「おや、昨夜はラベルが飛ぶほど風が強かったっけ?」
と最初思ったのだが、最初に差していた場所とはずいぶん離れたところに落ちていて、しかも先の方がぐしゃぐしゃになっている。

ラベル

いままでも何度かラベルの一部が同じように傷んでいるのを見かけたことがあるけれど、いつも、落ちたラベルを靴底かなにかで踏みつけたのか、どこかに挟まってぐしゃぐしゃになったのだとばかり思っていた。

でも、ラベルに穴があくようなスパイクを履いている者はいないし、耕耘機で土と一緒に耕してもこのような形には変形しそうにない。

今朝このラベルを見たとき、以前スタッフが言っていた
「ビニールハウスを固定しているビニール紐をタヌキが齧っているようだ」
との言葉を思い出したのである。

もちろん誰も現場を見た訳ではないが、時々ビニールハウスの固定紐に穴があいていることがある。どうやら猫の爪研ぎのようにビニール紐を噛んでいるのではないかという推理だ。

よく見るとこのラベルも紐と同じような被害状況。困ったものだが、年に数枚程度の被害、今のところ作物への害はないようなのであまり目くじらを立てることもないか・・・。

もだえ喜びつつも

今年もツマグロヒョウモンの食害に悩まされているニオイスミレや各種ビオラの苗たち。毎朝、見るようにはしていても、完全にはチェックしきれず、この有様だ。
ツマグロヒョウモンの食害

まあ、それはそれはおいしそうにお食べになっていて、栄養もいいのかあっという間に大きくなり、加速度的に被害も増えていく。残念ながらこの種類はしばらく販売休止しなければならない。

ツマグロヒョウモンの食害
ここまで食べなくても・・・

少し前、あるお客様からパセリの在庫についての問い合わせがあったとき、よそで購入したパセリの葉を食べてアゲハの幼虫がもがき苦しんだとお伝えいただいた(怖いね)。そういうこともあって、当店の無農薬の苗を使ってみようと思われたのだろう。

ここのツマグロヒョウモンは農薬を心配することもなく、毎日もだえ喜んで葉っぱを食べているのだが、別の敵が目を光らせている。さて、どっちが幸せかねぇ?

戦火の後

日々、一応その動向を注意していたアシナガバチの巣。スタッフが、スズメバチに襲われていると言うので行って見ると、もうすでに戦いは終わった後だった。この数日の雨の日のうちに戦火が繰り広げられたのだろうか。恐らく巣の下には死骸が累々と横たわっている事だろう。

ハチの巣
一月たつとだいぶ大きくなるものだ・・・

スズメバチが一匹、巣の上をはい回っている。残っている幼虫を探しているのだろう。まだアシナガバチも数匹残っているが、もう戦う気力はないようだ。あれほど怖がっていたアシナガバチでも、こんな光景を見ると可愛そうにも思えてくる。

時々、ハウスの回りでも見捨てられたような巣を見かける事があるが、スズメバチの襲撃が原因なのだろう。蜂にとってもなかなか生きていくのは大変なようだ。

不思議な事に、一度襲われた巣には、蜂が戻ってきたのを見た事がない。人間には分からない都合があるのだろう。

人間も世界各地で戦いの火をあげているが、地球の外から見たら似たようなものかも知れない。

冤罪

お盆ごろから腕や首に湿疹が出だした。はじめ、今年二回目のあせもかと思ったのだが、どうやら様子が違う。一時は枕か何かのダニではないかとも疑ったし、いま流行っている手足口病かもしれないと考えたけれど、やはり違うようだ。

しばらくしてそう言えばこれは・・・チャドクガか何かが原因では?と思い当たった。徐々に広がっていくので毛虫だとは考えもつかなかったけれど、こいつらの毛は衣服について患部を広げるのだった。そのように考えれば納得が行くし、チカチカする痛みも3年ほど前の症状を思い出させた。早く分かっていればガムテープで針を抜き取ったのに。今や遅しである。

ただ、どこでやられたのかがはっきりしない。お盆前には何軒もお庭を回ったけれど、とりあえず見かけなかったし・・・。

ふと思いついたのが、毎日畑のオクラを収穫する時にお目にかかる緑色の毛虫。ほぼ毎年オクラの葉を破れた傘のようにしてくれる大食漢だが、目についた時に収穫鋏で払い落とすぐらいだった。もしやこいつが?と、疑いを持ち、恐る恐る近寄って撮影。いままであまり気にしなかったのに、急に態度が変わってしまう。細い毛までが、ネトルのように恐ろしいものに見えてくる。ところが調べてみたらどうやら無害のようだった。

フタトガリコヤガ

ちなみに正体は、フタトガリコヤガの幼虫。もう少し大きくなると黒い点々が目立つようになる。アオイ科の植物が大好きなようだが、あまりマロウについたのを見た事が無い。オクラのほうがおいしいのだろうか。

オクラの花
オクラ・・・花もまた良し。実はサッとゆでて味噌汁に入れるのが好み。なぜか嫌がる人も多い・・・

それにしても、早口言葉に使えそうな名前である。フタトガリコヤガ、フタトガリコヤガ、フタトガリコヤガ・・・。