木守り

一番奥のビニールハウスの前には、ハッサクの木が大きく育っている。今シーズンも30個近くの実をつけ、年末に収穫、二ヶ月ほど熟成してちょうど今食べごろ。毎日のように食事の後のフルーツとして楽しんでいる。

さて、このハッサクの木のてっぺんに、一つだけ実が残っている。

それを見て、以前、庭師さんが、「木守りですか?」と言われた。意味がわからなかったが、どうやら、木を守るために、わざと果実を残しておくことのようだ。

もちろん、そんな意図があって残したのではなく、収穫バサミがどうしてもこの実には届かなかったためだ。実際、こうして写真を撮るのもうまくいかない。

「まあ一つぐらいはいいか、小鳥たちの餌にでもなれば」という感じだったのだ。それに、このまましておいたらどうなるのだろうという興味もある。

ただ、この実が収穫できなかったように、ハッサク自体かなり樹高も高くなり、剪定が必要な状態だ。

木守りが残っている枝を剪定するか、そのままにするか、毎日のように眺めては悩んでいる。

ハーブ的な考え方で

ビニールハウスの入り口に、ヘイゼル(ヘイゼルナッツ)が育っている。十年以上前だろうか、種子を蒔いたところ、いつのまにか6メートルぐらいまでに大きくなった。

もちろん、ヘイゼルナッツが食べられるといいがという程度の気持ちで植えているのだが、花は咲けども、なかなか結実しない。樹木医さんのアドバイスで剪定してみたりもしたのだが、あと一歩が進まない感じだ。

収穫が期待できないこんな時「あきらめて他のものに植え替えてしまおう」という選択肢もあるが、夏から秋までは葉が繁ってよい影を作るし、秋の黄葉はなかなか綺麗だ。それだけでもまあ、植えておいてもいいかなと思える。

なにかで読んだが、枝はダウジングのロッドに使えるという。いつかまた井戸でも掘ろうという時には役に立ちそうだ(ないとは思うが)。

まっすぐに伸びる枝は、杖にも使えるそうだ。今から少しずつ老後のために準備しておいても良さそうだ。

また、仲間である日本のハシバミの枝は工具の柄にも使われるとのこと。ヘイゼルも使ってみても良いかもしれない。今まで剪定枝は薪に使っていたが、形の良いものは乾燥させて少しとっておこう。

こうしてみると、実がならないからといって切ってしまうのは惜しい。むしろ、食べるよりも他の面での活用が重みを増してくる。実がならなくても、いいじゃないか。そんな気持ちでいれば、そのうち実もつけてくれる日がくるかもしれない。

霜を愛でる

気温は低めだが、風もなく、晴れて穏やかな1日だった。

もちろん、風がなくて寒い朝だったので、地面には霜がびっしり。ようやく伸びてきたハーブたちの新芽についた霜も見事なほどだ。

こちらはフィバーフュー。霜がつくと、なんだかわからないような姿になっていた。だが、とても綺麗だ。

冬に植え替えて、どうやら根づいたと思われるレモンタイムの葉にも霜がびっしり。これぐらいの寒さではびくともしないはずだが、ちょっとだけ心配になる。

この霜も10時ぐらいにはすっかり消えて普段通りに戻った。

こちらは綺麗だとかといって目を楽しませているが、植物たちにとっては迷惑な話かもしれない。

ストーブの横の春

連日の雨も止み、少しは天気も回復したが、お日様が出なければやはり気温は低いまま。

畑の雑草たちも、冷たい風に耐えてまだ冬の姿だ。

唯一例外なのが、薪ストーブの置いてある休憩所の隅。

休憩所には防草シートが敷いてあるが、シートの隙間がある端の方は土が剥き出し。そこからホトケノザが伸びて、少し前からピンクの花を咲かせている。奥にはヒメオドリコソウも花をもう咲かせる体勢に。すぐ脇にはミントも顔を出している。

この場所はストーブが邪魔して手も届かない安全地帯なのだ。

暖かくて安全。これ以上の場所はないだろう。

ようやく顔をだす

ここ数日間、ずっと冷たい雨続き。時には相当強く降ることもあり、ビニールハウスの中では会話も聞こえにくくなるほどだった。

まあそれでも雪よりは・・・と自分自身に言い聞かせつつ作業を行う。

寒さに強い種類ほど、しっかり寒さに耐える姿で冬を越すのだが、チャイブも見事に地上部をなくす。前年終わりから徐々に葉が枯れていき、年が明ける頃には地上部は枯れ葉だけとなる。

枯れた葉を取り除くと・・・

そしてようやく今頃になって春を感じて土の中から尖った芽が顔をみせる。

寒さでダメになることはないし、毎年のこととはいえ、それでも顔を見ればホッとする。

根はぎっしり

この小さい地上部に比べて、地下の根はギュウギュウに詰まっている。この根のパワーで春に一気に伸びていくのである。