躊躇し続けた秋

この秋、発売しようと思って夏に育てる苗はもちろんたくさんあるが、それが全部発売できるとは限らない。

今年のような過酷な夏の場合は、無事夏が過ごせることがまず前提条件だ。水切れもあるし、害虫被害、成長不良などクリアするべきことは山積みだ。

この白花イブキジャコウソウも8月の半ばぐらいまではとても順調に成長していた。予定では9月の受注再会と共に発売する予定だった。

ところが、暑さのピークを過ぎた頃、育てる側の気が抜けてしまったのか、油断からか軽い水切れを起こしてしまった。いや、軽くなかったかもしれない。

 

枯れてしまうほどではなかったので剪定をして様子を見ていたところ新芽も少し伸び始めた。ほっとして、この調子で秋には・・・と思っていたのだが、その後の復活があまり調子よく進まなかった。

「もう少し様子を見て・・・」と思っているうちに9月が過ぎ、10月が過ぎ、11月も終わりが見えてきた。

ようやく今になって諦めがつき、植え替えをする事にした。ポットから出してみると、根はそんなに悪くなかったのだが、予想に反して土のコンディションがイマイチだった。

一部は株分もできたし、これで冬の間に復調してくれると思う。春には発売できると思うので(?)、お待ちの皆さん、今しばらく。

ナンエンソウは生えないけれど

今日も畑の裏の山では小鳥たちが大騒ぎ。

何をしているのかと見にいくと、センダンの木に群がっている。どうやらヒヨドリのようだ。黄色くなった実をしきりについばんでいる模様。

上の方がよく実っているのか、安全のためなのか上の方ばかりの実を食べているようだ。

このセンダン普段は他の木々に隠れて全く目立たないが、今頃になると黄色っぽい木の実が目立ってくる。

実には毒性もあるということなのでとても口にする気にはならないが、鳥は大丈夫なのだろうか。ヒヨドリは野菜でもなんでも食べてしまうがきっと胃腸も丈夫なのだろう。食べながらたくさんのフンを落としている。

落語のなかではシャクセンダンの木の下にナンエンソウという草が育つことになっているが、センダンの下もしっかり栄養が行き届いて草も生えやすそうだ。ナンエンソウは生えることはないけれどセンダンの種子がいっぱい芽を出すのではと心配している。

実生は気長に

ハーブの場合、増殖方法はいろいろある。当店では主に挿し木で増やすことが多いが、株分けも結構するし、種子(実生)で増やすことも多くはないが行っている。

もちろん、種類によって適した増殖方法も違うし、容易さや確実性、完成までにかかる時間などでどの増殖方法を選択するかが決まる。

実生が少ないのは、比較的時間がかかりやすいという理由もある。ローズマリーやラベンダーなど、種子からスタートするとその年に苗ができないことも多いのだ。

一方で気長に楽しむという面では実生栽培はおすすめだ。

今、ビニールハウスの前で大きな実をつけている八朔の木は、種子(食べた後の残り)から育てたものだ。実がなるまで実に15年ぐらいかかった。

もちろん、果実が目的ならばさっさと接木苗の大きなのでも植えておくのが賢明だが、子供が小さい時に種子を蒔いたものなのだ。まさか発芽するとも思わなかったが、捨てることもできず、苗となり、大きくなったので地面に植えたら実がなったというわけ。気長に待った甲斐はあった。

場所が良かったのか、昨年は30個以上の豊作。今年も20ぐらいは実がついているので、家族で食べるには充分なほど。子供の小さかった頃のことを思い出したり、この20年近くを振り返ったり、種子の成長とともにその期間をしみじみと味わえる。早く収穫を・・・と接木苗で育てるよりもそれは大きい。

収穫はもう少ししてからだが、そのあと一ヶ月ぐらい置いておくと美味しく食べることができる。こちらも春まで気長に楽しむのだ。

もっとアピールを

この時期、虫の声がほとんど聞こえなくなるからだろうか、逆に鳥の声がよく聞こえるようになる。

昨日も一番上の畑の付近で小鳥たちが大騒ぎをしていた。木についた実でも食べているのだろうか。今あるのは、キミズミのオレンジ色の実や、サンザシの赤い実、あとはキウイの実ぐらいだろうか。キウイに穴を開けられるのは勘弁してほしいが、他はどうぞどうぞ。

幸い、いままでのところ、キウイが小鳥とかに齧られたのはみたことがない。色味からして美味しさを感じないからだろうか。

同じように、マートルの果実も真っ黒で目立たない。この時期にはかなり大きくなってきて果実らしくなってくるのだが、色が真っ黒、葉ももちろん残っているので余計に見えにくい。

小鳥などに食べてもらうならばもっとアピールするべきでは?と思うが、なんらかの戦略があるのだろう。中東の方ではスパイスに使うこともあるという。小鳥にとってもあまり美味しくないのかもしれない。

咲かない秋のラベンダー

理由はさだかではないが、毎年ならばもっと咲いてくれる秋のコモン系のラベンダーの開花状況が非常に悪い。

暑さが長く続いたため?秋が暖かいため?夏の暑さで株の疲れが蓄積されたため?

この株はようやく1つだけ

決して咲かないわけではなく、いくつかの株はぼちぼち開花しているが、昨年までならば少し目を楽しませてくれる咲き方だったので少し寂しいものがある。

この株は、いくつか咲いたが、ボリュームはいまいち。この花穂ももう一歩か。

ま、開花すると言うことは調子が良い証拠でもあるのだが、一方で花を咲かせるということは株にとっても少なからず負担がある。きっと自分で自分を労わるためにこの秋はじっと咲くのを我慢したのだろうと考えることにした。

ま、それに開花してしまうと、秋冬の挿し木に影響もあるのでその点は良しとしたい。