秋の黄色

黄色い花はあまり好きな方ではないけれど(以前にも書いたかな?)、ブルー系の花の中にちょっと加えると明るい雰囲気になるし、良く目立つ。

どちらかといえばブルー系の花が多いセイジ、サルビアの中でも秋に開花するサルビア・マドレンシスは背丈を越すサイズになることもあって花壇の中でも特に目を引く。

サルビア・マドレンシス

惜しいのは、適切に剪定して早くから分枝させないと株元から数本の茎がビューン、ビューンと伸びてしまい、とても不安定になってしまうことだ。写真の株も先日の台風で揺すられてしまい、株がやや持ち上げられてしまった。対策はそれなりに行なっていたのに・・・

そういった育ち方をするので、切り花にするには、やや大きすぎる。またこの種類も粘つくので、小さな虫がくっついてしまうのは残念だ。庭にドーンと咲かせるのが一番だろう。

イエロー系のサルビアも上手に使いたいところであるが、黄花アキギリは少し小さくまとまりすぎるし、この種類は大きすぎる。この間のサイズで濃いめの黄色いサルビアがあるとありがたい・・・

さて、日本ではイエローマジェスティーと呼ばれることも多いようだが、 Salvia guaraniticaのパープルマジェスティーとはだいぶ違う。それにしても上手に名前を付けるものですね。

幸せの香り

咲いていると思わず花を近づけたくなるハーブ。それがグレープセンテッドセイジだ。あまーく、食欲をそそる香りはいつ香っても気持ちが穏やかになる。作業中にもホッと一息入れさせてもらうことも多い。

グレープセンテッドセイジ

どちらかというと、秋に咲くことが多いが、機嫌が良いとあまり季節を選ばず咲く。松江だとガンガンの日なたよりも半日陰ぐらいのほうがコンディションがよいようだ。

一つ難点はサルビア属の中では良くあることだが、茎や葉にやや粘りがあるため、小さな虫がひっつくとそのままになってしまうことである。加えて言うなら、他のサルビアに比べると少し育ちが悪い。大きくなった株は大事にしたいものである。一方で剪定には割と強いので、花が終ったり、落葉した時にはきちんと形を整えると次の枝がきれいに揃う。

数年前になるが、市内のお庭で背丈を遥かに越えた株を見たことがある。開花すると近所のひとが見に来ると言うことだったがさもありなん。幸せを感じさせてくれる香りなのである。えっ、私だけですか?

気にしない、気にしない

セイジの仲間、特に花色に特色があり美しいものに限って写真に写した時に本当の色が出てこない。

サルビア・アズレア

秋の初めの空を思わせるサルビア・アズレアのブルー、今年も写真に収めたがやはりだめだった。曇りの時に取ると良いよとか、朝方にとったほうがとか、ホワイトバランスを合わせてとかいろいろなアドバイスをいろいろな人から聞いたがやはりうまくいかないのである。

そもそも、我々が感じる色も結構曖昧だ。毎日見ているビニールハウス前のモーツアルトブルーローズマリーでさえ、夕暮れどきにはその色にハッとさせられることも多い。

また、カメラに詳しいひとからは「デジカメを買い替えなきゃ」との意見もいただくが、一番支持したいのは、パソコンマニアからの言葉。
「どうせ、見るひとのモニタによって色なんてまちまちだから、気にしない、気にしない」

本当の花の色が知りたければ育てるしかないようである。

ところで、このサルビア・アズレア、背が高いうちに細身である。単独で育てては全く面白くないし、倒れやすい。いくつかまとめてもやはり場所によってはだらんとだらしなく育ちがちである。先日、市内のイングリッシュガーデンでいい感じで植えてあった。周りにブッシュ状の植物が囲むように植えてあり、その間から顔をのぞかせるように咲いていた。株が蒸れないか少し心配もあるが、見た感じはなかなか良かったのである。

メキシコのおヒゲ

ここ数年お気に入りのサルビアが、これ。シナロアセイジ。あんまり大きくならないのも有りがたいし、葉色に特徴があって花が無い時も良い感じ。

シナロアセイジ

花色が好みなのは無論である。その上、下側の花弁にある白い斑点が良いアクセント。白い髭でも生やしているかのようだが、この斑点がなかったらちょっと地味な感じだったかも。

初夏にも咲いてくれて、夏は割とお休みがちであるが、秋になるとまた開花を始める。夏、あんまり暑かったり、乾燥しすぎると葉が焼けやすいのが難点。

株が小さい時には冬に地上部が消えてしまって結構心配することもある。松江では鉢植えで軒下にでも置いておけば確実に越冬してくれる。地植えだとぎりぎり。調子が良いと越えてくれる感じだ。かつて冬前にポット上げして一割も残らなかった苦い経験もある。

それにしてもメキシコのサルビアは魅力的なものが多い。十年ぐらい前、メキシコに行った友人から「メキシコっておっきな帽子をかぶった人とサボテンしか居ないと思ってるでしょ!」と指摘され、素直に頷いたことがあるが、いまなら素敵なサルビアも咲いていると思っているゾ。

萼を楽しむ

観賞用として楽しめる花が多いサルビア、およびセイジの仲間。観賞用として楽しみが多い種類である。そう言った花は、なるべく開花期間が長い、花もちが良いものが有りがたい。

コモンセイジも、一般には料理用、薬用としての側面がクローズアップされることが多いが、花もなかなか見事である。だが、残念ながら花が終ってしまったあとの花穂は寂しい限りだ。

その点、萼も色づく種類はお得である。写真のカナリーアイランドセイジは、花も大きめではあるが、むしろ花が落ちた後、鮮やかなピンクパープルの萼がいつまでも目を楽しませてくれる。綿毛に覆われた枝や葉とのコントラストもなかなか良いものだ。

※半日陰でちょっと花、萼の色とも薄めです。
※半日陰でちょっと花、萼の色とも薄めです。

他にもクラリーセイジの萼は特に見事だし、マウンテンセイジも色づく萼があってこそ大きい花がより引き立つように思う。

メキシカンブッシュセイジなど、萼がなかったらひどく間の抜けた様子になってしまうんじゃないだろうか・・・・