それにしても器用なことだ

挿し木作業は、この仕事を始めた頃からカミソリを使って行っている。

いろいろ試してみたが、ごく普通(といっても、この頃は購入できるところも限られてきたが)の換え刃を超えるものにまだ出会わない。鋭利さ、使い勝手、コスト・・・使い捨てというのだけが気にかかるが、それでも一枚で相当数の挿し穂を処理できるので目を瞑るしかない。

刃が両方についているので、当然慎重に扱う必要がある。慣れてきたとはいえ、膨大な差し穂をつくる以上、年間に一度ぐらいは自分を切ってしまうことがある。

今回も、気が焦っていたのだろう。急いで作業をしていたら手元が狂ってスッパリ。もちろん、そう慌てることもなく、すぐにカットバンで止血して作業に戻った。

作業をしながら、それにしても器用なことだと半ば呆れた。カミソリを持っているのは右手。それなのに右手を切ってしまうとは・・・。

コットンの季節

ファッションにはあまりこだわらない方だと思うが、着ていて快適かどうかだけはいつも考えている。特に作業時は時に汗だらけ、時に泥だらけになるので服のチョイスは適当にはできない。

なので、気温が高くて汗をかきやすい季節や、汗をかいたら冷えて困る冬はどうしても化繊の機能性ウェアを選択することが多い。

とはいえ、やはり自然素材の肌触りは格別だと思うし、特にコットンの柔らかさは肌が喜ぶ感じがする。

暑さがおさまり、本格的な冬がやってくるまでの短い間はコットンを楽しむ貴重な期間だ。この時期だけはTシャツもコットンを積極的に着るし、ジーンズもしっかり楽しむ。

若い頃からジーンズは好きで、真夏、汗だらけになってギッチギチになっても痩せ我慢して履いていた時期もあったが、いまとなっては初夏以降は登場しなくなるし、寒くなると情けないがタイツを重ねばきするのでジーンズの風合いを肌で感じることもない。

もともと作業着として生まれたジーンズだが作業で履くジーンズは、普段履きをして、だいぶ傷んだものを作業用に下ろす。穴あきの補修もずいぶん上手になった。

穴が空いていても作業時には人に会うことはあまりないので構わないのだが、やはり少し手を入れるとむしろ愛着がわいていい。

今、これを書きながら履いているジーンズは、春先に購入してまだ色も濃い。写真のような色合いになった頃には作業用として履く事になるだろう。

使わずに済むのが吉

防災食など、劣化する防災用品はローリングストックすべきと言われるが、普段から実行するのは難しい。

一応そのつもりで買っておいても、つ期限を忘れてしまう。たまに、料理をするときに材料が不足してストックから引っ張り出すことはあるが、普段の料理ではつかわない非常食用のお米や缶詰はうっかりしていると賞味期限を過ぎてしまうものだ。

今年の夏も、賞味期限オーバーのトマト缶やアルファ米を恐る恐る口にした。どちらも大丈夫だったが。いずれにしても賞味期限を迎えるまでの期間、使わずに済んだことを素直に喜ぶのが大事だ。

圃場でも、この夏使わずに済んだ防災用品がある。

水運搬用のタンクだ。

毎年梅雨の間に準備して万一の渇水の時に利用できるようにしておくのだが、この夏はもう1日か2日雨が降らなかったら使うことになったかもしれない。

幸い、水を汲むポンプも準備して、さあ、明日か明後日からは水運びか?というタイミングで恵みの雨が降った。

もうさすがに出番はないので、埃や蜘蛛の巣を払い、ざっと拭いて片付け準備も完了。使わないで済んだことを改めて喜ばなくてはならない。

それほど使わなくても、劣化するパーツもあるのでチェックは欠かせない。本体は強いが、キャップ類は案外弱いので、来年かその次には交換が必要そうだ。

本当は軽トラの荷台などで使うべきだと思うが、詰むのは軽バンしかない。キャップ類がヘタって荷台が水浸しというのは勘弁願いたい。来年また取り出すときには再チェックが必要だ。

過酷環境なので

休憩所にある電気ポット、夏の間はそれぞれが冷たい飲み物を持ってくるので使われることがなかったが、徐々に温かいものが欲しくなる時期を迎え、先日久しぶりにコンセントに刺してみた。

何度かは普通にお湯が沸いたが、その後プラグを刺しても電源がつかなくなった。マグネットのところが汚れているのかと、掃除をしてみるがやはり電気が通じないようだ。

ひっくり返してみると、驚いたのが96年製であった。28年前の品。お客様からお古を譲ってもらったのだが、それもだいぶ前のことだ。その先代の電気ポットもスタッフの家で使っていたお古だ。ハードな環境で傷みやすいので、お古で十分なのだ。

休憩所とはいえ、ビニールハウスのなかである。紫外線は降り注ぎ、夏は40度を超え(今年は50度を超えたかもしれない)、冬はマイナス。湿度も30%台から100%にもなるだろう。土埃も多いし、昆虫などが侵入することさえもある。とても新品など使う気にはならない。

本体の表面もプラスチックが劣化。ボタンを保護しているプレートも熱のせいか変形して浮き上がってしまっている。引退も仕方なさそうだ。

この機会にと、他の手段も候補に上がった。電気ポットは案外消費電力が多く、電気代にも影響がある。1日一度、多くても二度の湯沸かしなので、ポータブルコンロでも十分かもしれない。

ただ、休憩もかならず10時きっかりにするわけでもない。キリのいいところで早めにスタートしたり、遅くなったり。また、急の来客でお湯がなくて困ることも稀にある。タイマーをつけて節電につとめつつ、夏以外はお湯が沸いているとと安心なのだ。

さて、またお古を探すか・・・と思ったが、そもそも電源が入らないようなので、もしかしたらヒューズ切れ?と頭に浮かんだ。さすがに暑さのせいでヒューズが切れるとはおもえないが、経年劣化ということも考えられる。

検索してみると、分解も簡単なようで、試してみることに。ヒューズを取り出してみたら、案の定切れていた。残念ながら、近くのホームセンターでは手に入らず、ネットで注文したが300円ほどで手に入れることができた。交換もそれほど難しくなく、見事に電源も入り、お湯を沸かし始めた。

とりあえず次の代が見つかるまでの繋ぎというつもりでしばらく使うことにした。

しかし、これほどの過酷環境、耐久テストの場所としてメーカーに使ってもらえないだろうか。担当者さん、いつでも連絡お待ちしております。

複数条件

農業はタイミングがとても大事だ。種まきのタイミング、挿木のタイミング、ポット上げのタイミング、定植のタイミングなど、植物と気温や季節で然るべき時に然るべき作業を行う必要がある。

また、設備のメンテナンスも案外タイミングに頭を悩ませられる。ビニールハウスの張り替えなどは、雨が降らず、風が弱く、かつ、人数が集まる時という最低条件が必要だが、理想を言えば、暑くなく(パイプが熱いと作業が大変だし、作業自体も辛い)、忙しくなく、土も乾いている・・・とか言い出せばキリがない。

ずいぶん前に取り外した寒冷紗も、片付けのタイミングを見計らっているうちに、ずいぶん日が経ってしまった。外してとりあえず適当に丸めて放置していたが、横を通るたびに気になっていた。

この、寒冷紗をたたむ作業も、人数が確保できて、天気で、風が弱く、道路が乾いていて、道路を車が通らない日(時間帯)という条件が揃うと作業が楽だ。

ということで、この日の作業となった。今日は比較的小さい寒冷紗なので、頑張れば一人でも作業はできるがやはり複数いた方が早く綺麗な作業ができる。

まずは、クシャクシャにしていた寒冷紗を広げて、引っかかっているゴミや虫の死骸などを叩いて落とす。そして道路に広げて畳んでいく。

畳むのは特にルールはないのだが、きちんと畳むのとそうでないのではずいぶんサイズが違ってくる。小さく畳めば小さな袋にも容易に入る。

大事なのは、袋に取り付け場所を記入しておく事。これがあるのとないのでは来年の夏前の作業がスムーズにいくかどうかに大きく関わるのだ。もう記憶力があてにならないからね。