食べごろ

去年の秋に種子を蒔いたロケット(ルッコラ)。毎度のことながら始めは小さな間引き菜を恐る恐る引き抜いては食べていた。

冬を迎える頃から徐々にしっかりとした株になってきて、安心して食べられるようなサイズになっていった。ところが年明けからの雪でしばらく様子を見に行かなかった(鳥害・虫害予防のネットを外すのが面倒だったのだ)。

久々にネットをあけて見てびっくり。どの株も目一杯育っていた。中には花芽を付けかけているのもある。早く食べねば葉が硬くなってしまう。
ロケット
早速一部を収穫して帰ったが、思った通り大変歯ごたえのあるサラダになってしまった。火を通した方が良かった。次はパスタにでも使おう。

この通り、山陰では冬でもしっかり育ち、春先には花芽をつけてしまうことが多い。4月ごろロケットを求めて来店いただくお客様も多いが、時既に遅し、なのである(一応、かなり慣れていればその季節からでも何とか育てられる)。山陰の場合種まきは秋である。同じアブラナ科、大根の少し後ぐらいならほぼうまくゆく。

律義な球根

クロッカスは律義である。ある日ふと気がつくと今まで何もなかったところに大きな花が出現して驚かされるが、毎年大きく時期を外すことはない。また、似たような種類でも毎年必ず同じ順番に開花する。
クロッカス・ブルーパール
ビニールハウスの横にもう5年以上植えっぱなしのクロッカスだが、毎年この「ブルーパール」から咲きはじめる。続いて黄色の「クロッカス・クリームビューティー」。そして最後に「アドバンス」が咲いて終演を迎える。

まだ寒い中ブルーパールが咲くと、やや冷たい色が寂しく感じることが多い。ちょうど雨やみぞれの日が多いからだ。

でも、希に今日のような日が射す日には同じブルーでも柔らかく感じるから不思議である。

切り戻し

秋から冬にかけてはだらんと伸びてしまったラベンダーを切り戻すには良い機会である。

圃場でも大きめのポット苗の切り戻しを行った。ただ、気を付けるのは株元から新芽が出ていること。この新芽が出ていないと、切り戻したが最後、芽が出ずにオシマイということも希ではない。
グロッソラベンダー
グロッソラベンダーも比較的形良く育つラベンダーではあるが切り戻しをするとしないとでは夏前の形が大分違ってくる。

やはり株元から新芽がぎゅっと詰まって出ている方がラベンダーらしい(風通しと言う点ではアップライトシェイプの方がもちろんいいのだが・・・)。もう少し暖かくなるとこの新芽が驚くべき勢いで伸びていくだろう。

もう一つのスノードロップ

雪の中から姿を現し、春を告げる花として知られるスノードロップ。私も好きな花の一つである。厳寒の中で雪さえものとせずに花茎を持ち上げる力には驚かざるを得ない。ただ、その姿からも冷たさ、硬質さを感じてしまう。春の花というよりは冬の花に思えるのだ。

さて、ビニールハウスでは今の時期思わぬ陽気に早く目覚めてしまったハーブたちが現れはじめた。写真のアネモネ・シルベストリスもその一つ。本当ならもっと暖かくなってきてから花を見せるのだが。
アネモネ・シルベストリス1
この、アネモネ・シルベストリスには「スノードロップアネモネ」という別名がある。純白の花と開花前に首をもたげた姿からそう呼ばれるのかも知れない。スノードロップに比べると春の雪を思わせる柔らかさがあり、個人的にはこちらの方が好きである。
アネモネ・シルベストリス2
割合育てやすい種類で、コンディションが良いと秋にも開花してくれるのがまたお得さを感じさせるアネモネである。

朝日に誘われて

久しぶりに朝から晴れである。このような日はビニールハウスの中は天国。外の気温が低くても、中は春のようになり、上着を脱ぎたくなるほどだ。山陽のほうでは毎日こんなふうなのだろうと思うといつもうらやましく思う。自ずから植物の成育にも少なからず影響があるだろう。

さて、本日発送分の苗の準備をしているとルイジェリーラベンダーの苗にバッタを発見(トノサマバッタ?)。思わぬ暖かさに出てきたのだろう。しかしいったい今までどこにいたのやら。
バッタ
葉をバリバリ食べる大食漢。夏ならば有無を言わさず退去いただくところだが、今日のところは大目に見て、そのかわりに被写体になっていただく。暖かい季節ならここまで近寄って撮影するのは難しいだろうし。朝日を浴びながら何を考えているのだろうか。

子供のころは良く追いかけていたトノサマバッタではあるが、大きなショウリョウバッタに比べると人気度はワンランク落ちていた。それでも緑色の鮮やかな大物がとれると誇らしく感じたのをおぼえている。ものすごいエネルギーを蓄えていて、いつ手の中から飛び出してしまうかはらはらしながら虫かごに入れていた。

身を冬の色に替え、動きも緩慢な今の時期はおじいさんに見えてしまい、手を伸ばす気も起こらない。