1月の寒波

1月下旬の寒波は全国的に影響があったようで、たくさんの方から問い合わせをいただいた。

例年には見られないような被害があったり、今まで青々としていたハーブが寒さで急に茶色くなってしまったというお問い合わせが多かった。

当店の圃場でも、ここ数年では記憶にない影響があったので、今後の参考のためにも記録に残しておこうと思う。

ちなみに、松江気象台の記録では、1月24日のマイナス4.9℃が最低となっている。圃場では、マイナス6.9℃を記録していた。

まず、圃場脇の花壇のメキシカンブッシュセイジ

今回の問い合わせで多かったのもメキシカンブッシュセイジについてだった。「秋遅くから元気に新芽が伸びていたのに、寒さで一気に傷んでしまった」というものである。
メキシカンブッシュセイジ
当店の圃場でも、毎年のように一旦新芽が伸びて、降雪や霜によって枯れる。
今回もこのような感じであるが、根が傷んでいなければ問題なくまた春に新芽が伸びてくる。この株は恐らく大丈夫だろう。

次に、レモンティートゥリー

レモンティートゥリー

毎年冬に葉が傷むが、せいぜい、枝の先端の方の柔らかい葉が茶色になるぐらい。今年は、かなり大きな葉まで茶色くなっている。これほどの被害は初めてだ。おそらく傷んだ葉は一旦落ちるだろうが、内側の方は大丈夫なようなので、暖かくなったら新芽が出てくるだろう。新芽が出てきたら、傷んだ葉のところから剪定するなり、しごき落とすなりすれば良いと思う。
ローレル
少しは被害があるかと思っていたローレル(月桂樹)。全く傷んでいなくてちょっと意外だった。

次に、ティートゥリー

ティートゥリー

ごく小さな葉は茶色くなっているが、あまり問題はないようだ。ここよりももう少し内陸の大東町では、毎年葉がカサカサになって落ちてしまうが、株はダウンすることはない。

この寒波の前後で大きく様子が変わったのが、パイナップルセイジ

パイナップルセイジ

それまでは、葉も少し残って、枝もまだしっとりとした感じだったのだが、枝も葉も完全に枯れ果ててしまったように見える。昨年伸びた枝からはあまり良い葉が出てこないので、いずれ剪定してしまうから問題ないのだが、少し心配ではある。
食用ホオズキ
寒波の前までは、まだグリーンが残っていた食用ホオズキも、この通り。中にあった実も凍みてしまったのか、ぐちゃぐちゃになっていた。恐らく株はダウンしないと思うので春には土の下から新芽が出てくるだろう。

最も心配なのが、マートル

マートル

例年葉の先が傷んだり、葉が赤みを帯びることはあっても、このように変わってしまうのは初めて見た。道路際で風の通り道になったのかもしれない。

マートル

ただ、ところどころに緑の葉も残っているから、多分大丈夫とは思うが。

おおよそ、大きなダメージを受けたものは以上である。

アボンビューラベンダー

ラベンダーの仲間は写真のアボンビューラベンダーのようなフレンチ系をはじめ、問題はなさそうだし(レースラベンダーピナータラベンダーは無加温のビニールハウスの中でも葉が傷みはした)、ローズマリーやタイムの仲間、ミントのように冬地上部がなくなるものは全く心配なさそうだ。

おそらく、今後はこれほどの寒波は来ないような気がするが、もう一度となると、レモンティートゥリーや、マートルは少し対策しておく必要があるかもしれない。

白い巣箱

年明けに製作を開始した百葉箱(のようなもの)、8割がた完成して、いったんそのままになっていたが、これからまた気温も下がりそうなので早く設置したいところ。

アルミ
屋根のてっぺんの棟包みをどうしようかと材料を探していたら、壊れたアルミの角材が見つかった。ちょっとゆがんでいるが、ハンマーで叩いたり、万力で広げたりしてみた。
軒包み
屋根の上に乗せてみると割といい感じ。これでいこう。

そして、大事な塗装。
塗装
百葉箱らしく、ここは真っ白に塗装。売り物ではないので、少々塗りムラがあっても問題なし。たぶん、数年したら剥げてくるからどうせ塗りなおすことになるだろう。
完成
軒包みもビスで取り付け、本体はこれで完成。
土台
次は、固定する台の製作。少々の雨風ではビクともしないよう、しっかりと杭を打ち込み、支えを取り付ける。
固定
幸い、ベースになった鉢カバーには足が付いている。足の部分に穴を開け、板で挟むように針金で固定しておく。修理や改造するときの着脱も容易だ。
巣箱
これで全て完成。ここまで手をかけたのだから、圃場の飾りにならないよう、こまめに気温の記録をつけねば。

ところが・・・
畑の真ん中に突如現れた白い物体はとても目立つ。

早速、近所の人に
「鳥の巣箱ができたね〜」
と言われてしまった。

ま、そう見えるわな。
鳥の巣箱になってしまわないよう、しっかり活用したい。

夕方の天気予報

ビニールハウスの横には、ビニールを開閉するための装置がある。これを回して、側面のビニールを開けたり閉めたりして換気する。
ビニールハウスの開閉
閉めっぱなしだと冬でもそこそこ内部の気温が上がって、苗は成長するのだが、その代わり、病気や害虫の悩みは増える。

なので、冬でもできる限り開けるようにしている。

とはいっても、それは昼間だけで、さすがに夜は閉める。朝開けて、帰る時に閉めるという、わかりやすいパターンだ。

ところがこの冬はちょっと状況が違ってきた。

昨秋から、例年になく気温が高めの日が続いている。圃場にあるアップルミントの親木、例年ならばもっと葉が硬く、黄色味がかって、地面に張り付くように冬を耐えている。
アブラムシとアップルミント
ところが今年は青々とした葉がどんどん上に伸びている。まあ、それはいいのだが、先日、この時期にはあまり見なかったアブラムシが結構見つかってびっくりした。暖かさで、普段の年なら葉の隙間で目立たずにじっと冬を耐えているはずのアブラムシが、春先のような様子を見せている。

そんなこんなで、冬なのに育苗ハウスの開閉も気温次第でということになった。こんなことは初めてである。

夜でも気温が高めの時は開けっ放しにし、気温が極端に下がりそうな時だけ閉める。そのため、夕方の天気予報のチェックが欠かせないようになった。

明日から1週間ほどは最低気温が零度前後になりそうな感じ。久しぶりに天気予報のチェックをしなくて済むかもしれない。

アブラムシたちも少しおとなしくしてもらえるといいのだが。

百葉箱

ハーブに限らず、植物を育てるときには、記録が大事だということをいろいろなところで書いたり言葉にしている。

それなのに、かなり大事な情報である気温については、忙しさを理由にそれほど熱心に記録していなかった。さすがに、毎日のように猛暑日が続くようなときや、「今日はこの冬一番の寒さ」なんていうときには温度計を見たり、日記にちょこっと書き付けてはいるのだが。

そもそも、温度計が置いてあるのは無加温とはいえビニールハウスの中。外の畑のハーブたちのことを考えても、屋外の気温を日々チェックしないとな・・・とずっと思っていた。

とはいえ、屋外での気温を測るには雨・風・雪・直射日光など、防がねばならないものがたくさんある。

理想は百葉箱なのだが、調べてみるとこれが結構高価である。本格的なものは数十万。簡易型のものでも数万というお値段。「この地の気温を正確に記録して後世のために役立てたい」というぐらいの気持ちがなくてはおいそれと手は出せない。

とりあえず、雨風を防げて、屋外で気温が計測できればよいという条件を満たすにはどうすればよいか・・・と。ここ1年ほど考え続けていた。

いっとき、自作で百葉箱を作ろうかと考えてもみたが、木製の箱を作るとなると、かなり本腰を入れねばならない。雨風が防げ、かつ、通気性のための隙間も空いていなければならない。百葉箱の独特のデザインには理由があるのだ。日々の作業の片手間に作るにはちょっとハードルが高い。

せめて、箱状のものがすでにできていれば・・・。と、ふと横を見ると、あったのだ。
鉢植えセット専用カバー
初心者用ハーブ鉢植えセット専用鉢カバーである。木製だし、もともと通気性良くできている。

鉢植えセット専用カバー

底も水が抜けやすいよう大きく開いている。なので屋根さえつければ百葉箱らしきものができるかもしれない。

年末から鉢カバーを手に取っては、ひっくり返したり、横に倒してみたり、いろいろ考えながら百葉箱への改造方法を思案する。

屋根をとりつけるための妻部分ができればなんとかなりそうな気がした。

材料も、わざわざ用意しなくても、手持ちにあるものでまかなえそうだ。

使わずにとっていた端材や、薪ストーブで燃やそうとしていた木の切れ端を集めたら十分間に合った。

材料

鉢植えセット専用鉢カバーは、余裕を持って一番大きい8号用のを使う。幸い、試作品でまだ塗装もしていないのが残っていた。

木切れは鉢カバーに合わせて切断。設計図も引かず、現場で合わせて切っていく。屋根の形が左右微妙に違ってしまった。

表面がザラザラだが、塗装したらそこそこ見えるようになるだろう。
百葉箱
妻の部分さえ完成したらあとは楽だった。実質作業時間約2時間。材料を探したり、選んだりするのに一番時間がかかった。材料費は0円である。釘は揃いのものがなかったので、いろいろなサイズや形のをごっちゃ混ぜだが、別に構わない。
百葉箱
設計図もなしで作った割にはまずまずかなと、一人で満足する。
百葉箱開閉部
かなり適当な細工だが、中に入れる温湿度計を取り出すための開き窓もつけた。蝶番も丁度良いサイズのが見つかった。

百葉箱開閉部

サビついていて動きにくいのを潤滑油をさしたらスムーズに開閉できるよういなった。

置き場も今日のところはとりあえず、かつて鳥の餌台を置いていた杭の上に乗せてみた。

設置

結構いい感じである。でも、第一印象は、百葉箱というよりは高床式倉庫。

明日以降、塗装したり、しっかり固定できるよう、台を改造しようと思う。屋根の頂部が空いたままなので、雨が入らないようカバーも付けたい(棟包みというらしい)。

横殴りの雨などでは中に雨が吹き込むかもしれないけれど、また様子を見て手を加えたい。
温度計
これで明日から気温をしっかり記録していけそうだ。記録する習慣がついたら温湿度計もグレードアップしたいと思っている。

たどり着く場所

園芸作業には、結構いろいろな道具が必要だ。ハサミやジョウロから始まって、細かいものまで数え上げれば膨大な数になるだろう。

そんな道具たち、はじめの頃はもちろん市販品を購入して使うのだが、そのうち何かしら不満な点が出てくることが多い。

買い替えたり、他の道具と組み合わせたり、改造したり。行き着くところは自作である。

例えば、種まきや発芽した種子を小さいプラグに植え直すときの作業。

一般的には指でそっと行なうか、さもなければピンセットのようなものを使うところである。

ピンセット
片側にはご丁寧に移植用のヘラまで付いているのだが・・・

ご丁寧に、そういう作業のための商品も売られている。相当昔に購入して、最初使っていたのだが、なんとなく使いにくくて、「買ったのに使わない」アイテムになってしまった。ま、他にもたくさんあるんだけど。

そのうち、ピンセットを使わず、鉛筆を使うようになった。鉛筆のサイズというのは子供の頃から「字を書く」という細かい作業を続けてきたので、同じような細かい作業をするのに都合が良い。ラベルに記入するときに使っているので、いつも手元にあるものだし。

だが、鉛筆では先端の尖り具合や、ちょっとした使い勝手に満足がいかなくなり、似たようなサイズに竹を切ったものを使うようになった。

ヘラ

そして現在、更に使いやすいよう徐々に改良を重ねてこんな形にたどり着いた。
へら
先端が尖った方は、発芽したばかりの細かい種子を分けたり、小さな種子や発芽をプラグに入れるのに役立つし、平たい方は種まきの穴を開けたり、種子を蒔いた後に土をよそうときにちょうどいいようにしてある。

へら

竹を削っただけの極めてシンプルな形なのだが、上記のピンセットよりもはるかに使い勝手が良い。

ところが、今年、これと非常によく似た製品を見つけてびっくりした。

PCを分解するときに使うへらである。「Spudger」と言うらしい(なんて読むんだろう)。

ノートパソコンのハードディスクを入れ替えようとしたときに、分解解説のしてあるサイトで推奨されていて購入。

商品紹介の画像で見たときも「似ているなあ」と思ったのだが、手にしてみると更にびっくり、自作のへらとサイズや形、持った具合までがよく似ていた。尖った先と、平たくなったもう一方の側といい、驚きであった。

もちろん素材は全然違うのだが、発芽した苗の移植と、PCの分解。細かい作業には変わりない。突き詰めていくと同じような形にたどり着くのだろうか。

このPC用のへらも、誰かが市販品に不満を持って作り出したのではないかと思うとなぜか親近感が湧いてくるのである。