棘との戦い

天候が回復して庭作業を集中して行なっている。このところはお客様のお庭のローズのお手入れ。冬の剪定と蔓バラの誘引である。

知り合いのロザリアンは鋭い刺を持つ蔓バラの誘引も全て素手でこなすと言うので感心する。自分もゆっくりと手間をかけて慎重にやるのなら素手でできるかも知れない。でも、お客様の前であまり悠長に作業を進めるわけにもいかないからこの作業に欠かせないのが革の手袋だ。ローズの強力な棘に素手で立ち向かっていけるほど手の皮は厚くないし。

革の手袋

もう5年以上使っている革の手袋も所々破れたりしてボロボロである。足も大きいが手も大きい自分は市販されているLLサイズの手袋では小さくて仕事がし辛い。指の股(というのかな)のところまでしっかりと入らないのだ。

愛用している皮手袋はLLBeanから個人輸入したものでもう4代目ぐらいになる。指の長さも充分だし、厚手で丈夫。しなやかで使いやすいのだ。だが、残念ながら今のカタログにはこのシンプルなデザインのものは載っていない。次の候補が見つかるまでは直し直し使う事になりそうである。

まだまだ頑張ってもらわなくてはならないのでローズのお手入れが一段落したら破れ目などを補修してやるつもりだ。

こんな厚い手袋をしていてもローズの棘は容赦なく手を突き刺してくる。紐で誘引するときにはさすがに手袋は取らなくてはならないし、終ったときには手は傷だらけ。夜、お風呂に入るときが大変なのである。

タランチュラ出没!?

昨年のちょうど今ごろだったと思う。普段お庭の手入れをさせていただいている方から電話がかかってきた。

「庭のバラに、大きな青い蜘蛛がいて、気持ち悪くて・・・」
お年を召された女性の一人暮らしなので、なおさら不安なのだろう。すぐに伺うことにした。

お庭に向かう車中でスタッフと「大きな青い蜘蛛」とは一体何かという話になった。電話の話によると縞模様もあるという。

「もしかして、タランチュラとかの毒グモとか?」
「このごろは木材とかについてやって来るのもいるらしいし・・・」
「こんな島根に?」
と、喧々諤々であった。でも、いざと言う時に誰が捕獲するのかという話には決してならなかった。

到着して恐る恐る問題のバラのところに行ってみると、正体はゴマダラカミキリであった。鮮やかなブルーと、大きな触角。青い蜘蛛に見えても仕方がない。結局この時は5匹も捕まえた。残念ながらバラの枝は既に何箇所もかじられていてその先の花芽がダウンしていた株もあった。

今年も同じ庭で、やはり同じようにゴマダラカミキリを見つけた。少し早かったのか一匹しかいなかったし、バラの被害も最小限だった。

ゴマダラカミキリ

小さな頃は、宝石のように見えた体の色も今ではあまり愛着は湧かない。昨年は知人宅の小学生にプレゼントしたのだが、今年は山に囲まれた圃場に連れて帰って放してやった。

学習効果

お客様から今年はチュウレンジバチが多いと言う話を伺った。庭でたくさん飛び回っているとのこと。

確かに、先日庭の手入れにうかがったあるお客様の庭では、HTが十数本有るコーナーで既に幼虫を見つけた。毎年のことなのであまり驚かないし、被害が少ないうちならそれほど心配することも無い。

なので成虫についてあまり気にかけることもなく、どんな姿なのかおぼろげにしかとらえていなかった。実際、こういう場合図鑑やネットで見たところで自分のものにはなりにくい。

話をうかがったお客様の御主人がわざわざ成虫を捕まえて持ってきてくれた。一目瞭然。やはり昆虫は動いているところを見るのが一番だ。

その後、ビニールハウスの一角でチュウレンジバチが飛んでいるのを見つけた。やはり今年は多いのかも。普段も飛んでいるに違いないが今までは認識できていなかったのだろう。学習効果がでたようだ。

ミントは口に合わぬ。
ミントは口に合わぬ。

先のローズのお庭では油断していると大変なことになるのに、ビニールハウスのほうではさしたる被害も無い。たまにローズ系の枝に産卵した後を見ることはあっても幼虫が葉を食い荒らした形跡もない。天敵はアシナガバチだと言われているから、天敵の多いこの地には適していないのかも。

マヌカも硬くて嫌じゃ
マヌカも硬くて嫌じゃ

それとも、肥料たっぷりで育った美味しいローズの葉を探してきては見たものの、あるのはハーブと貧相な原種ローズばかり。食欲が湧かないのかも知れない。