夕方の天気予報

ビニールハウスの横には、ビニールを開閉するための装置がある。これを回して、側面のビニールを開けたり閉めたりして換気する。
ビニールハウスの開閉
閉めっぱなしだと冬でもそこそこ内部の気温が上がって、苗は成長するのだが、その代わり、病気や害虫の悩みは増える。

なので、冬でもできる限り開けるようにしている。

とはいっても、それは昼間だけで、さすがに夜は閉める。朝開けて、帰る時に閉めるという、わかりやすいパターンだ。

ところがこの冬はちょっと状況が違ってきた。

昨秋から、例年になく気温が高めの日が続いている。圃場にあるアップルミントの親木、例年ならばもっと葉が硬く、黄色味がかって、地面に張り付くように冬を耐えている。
アブラムシとアップルミント
ところが今年は青々とした葉がどんどん上に伸びている。まあ、それはいいのだが、先日、この時期にはあまり見なかったアブラムシが結構見つかってびっくりした。暖かさで、普段の年なら葉の隙間で目立たずにじっと冬を耐えているはずのアブラムシが、春先のような様子を見せている。

そんなこんなで、冬なのに育苗ハウスの開閉も気温次第でということになった。こんなことは初めてである。

夜でも気温が高めの時は開けっ放しにし、気温が極端に下がりそうな時だけ閉める。そのため、夕方の天気予報のチェックが欠かせないようになった。

明日から1週間ほどは最低気温が零度前後になりそうな感じ。久しぶりに天気予報のチェックをしなくて済むかもしれない。

アブラムシたちも少しおとなしくしてもらえるといいのだが。

援軍の到来

さて、いよいよローズのつぼみが膨らんでくるようになると、ゾウムシとともにいやでも目にすることが多くなるのがアブラムシ。もうすぐ開花を迎えそうなつぼみにびっしりとたかられるとさすがにいい気分はしない。庭の持ち主のお客様も、姿が見えにくいゾウムシと違い、見えやすいので心配されることが多い。

アブラムシ

つぼみが少なければ直接手でつぶすのが確実だし、こまめに木酢などで予防するという手もあるにはあるが、大きなツルばらなどではそういうわけにもいかない。

幸い、いくつかのお庭では今年、強力な援軍がやってくるようになった。ひとつはナミテントウ。ツルばらの葉の間をごそごそと動き回り、あまりアブラムシを食べている様子を見ることは少ないが、卵を産んでくれれば幼虫は特に強力な助っ人である。

ナミテントウ
もう一つはヒラタアブ。これも幼虫は大食漢のようで、すでにつぼみの奥のほうへ頭(?)をつっこんでいるからお食事中なのかもしれない。

ヒラタアブ

専門家がやってきたので、しばらく我々は手を出さず、アブラムシについてはあとはお任せすることにした。我々の仕事は、庭の持ち主に援軍の到着を伝え、彼らのために、薬剤などまかれずにしばらくは様子を見てほしいとお願いすることであった。

葉上の手がかり

春先の代表的な害虫と言えばアブラムシ。もう少し暖かくなって、天敵が出てくればそれほど頭を悩ますことは無いが、天敵も少なく、柔らかな新芽がどんどん出てくる今の時期はアブラムシにとっては天国である。

こちらとしては、ようやく暖かくなって葉が伸び始め、安堵しているところを襲われるのだからしゃくに障る。

一気に増えるアブラムシ、とにかく早期発見が第一である。とはいえ、何千とある苗を逐一調べていくこともままならないので、水やりや苗の手入れの時にあわせて見つけるしか無い。

手がかりは、葉の上に落ちた脱皮殻。アブラムシもいろいろな種類がいるけれど、このミントにつくアブラムシだと、こういう白っぽい粉のようなものが落ちているので見つけやすい。

昔は、排泄物だとばかり思っていた
昔は、排泄物だとばかり思っていた

葉の裏をみると、しっかりいらっしゃる。有翅成虫もついでに。

葉裏のアブラムシ

薬剤は使わないので、水で洗い流すなどの駆除が有効だが、ミントの場合、ばっさり剪定してしまえば、脇芽も増えるし、新しい良い葉が出やすいのでむしろ簡単なのだ。

朝飯前

5月も半ば近くなると言うのに、早朝はさすがに肌寒い。朝飯前の一仕事に、ビニールハウスに出かけたものの、外の菜園の様子を見にでかける時には、長袖をはおりたくなる。

年初の雪のダメージであまり成長が芳しくない菜園のソラマメ。新芽にはアブラムシがびっしりとついてしまって心配している。そもそも、植えたのが十株に満たないし、まあ、今年の収穫はお話にならないだろうからそのままにしていたら、少し前からテントウムシが数匹やって来た。
テントウムシとアブラムシ
美味しいものを探してどこからでも飛んでくるアブラムシにはそう驚かないが、アブラムシを探して毎年必ずやって来るテントウムシの嗅覚?にはびっくりする。

日中は忙しく行ったり来たりしてレンズに捕えるのも一苦労のテントウムシだが、寒いのか、それとも眠いのか、まだ動きが緩慢な時間だ。どうやら彼(彼女?)も、朝食はもう少し後になってからのようだ。

クリスマスローズとアブラムシ

クリスマスローズ(Helleborus niger)の蕾がゆっくりと開いてきた。ちなみにこの株はスタッフが趣味で育てている。強健なorientalisもよいのだが、冬に蕾を見せはじめるnigerのほうが清楚な中にも芯のある力強さを感じる。この株もクリスマスには間に合わなかったけれど昨年暮れ頃から地際に蕾が見えはじめた。

クリスマスローズ

その蕾がようやく開きはじめたのがつい先日であった。覗いて見ると、既にアブラムシ様がいらっしゃる。冬のビニールハウスはアブラムシにとって天国とは言え、いつの間に!

アブラムシはきらきら光るものを嫌うという。こんなに明るい蕾の中は嫌ではないのだろうか。でも、寒さの中、昆虫でなくてもなるべく日差しのあるところへ行きたいものだ。アブラムシだって冬は明るくて暖かいところのほうが良いのかも知れない。

ちなみに、アブラムシがついているからと言って自分の持ち物ではないので、手は出さないのである。