お気に入りのゼラニウム

ニオイゼラニウムと言えば、「色々な香りが楽しめる」というハーブの中でもとりわけバラエティに富んだ一群である。花の香り、柑橘の香り、ナッツの香りなどなど、とても楽しい。寒ささえ少し気をつければ(この辺りでは)育てるのもそれほど難しくは無いし、栽培はたやすい方だろう。

ハーブを育て始めた頃手に入れたペパーミントゼラニウムは特にお気に入りだった。ベルベットのような葉は、見た目にも、触ってもまた良い感じだし、ニオイゼラニウムらしからぬ爽やかな香りがするのも良い。花は控えめな方だったが、いかにもと言う感じで大きな花を咲かせるのでは無いのがまた良かったのである。

ただ一つ不満は、当時、株を上手に増やせなかったことであった。育てたことがある方は分かると思うが、他のゼラニウムに比べると枝が太く挿し穂の数が確保しにくい。節間も大きかったり、極端に短かったりして挿し木がしにくいことこの上ない。まあ、今から考えると小さな鉢で育てていたので株が小さすぎたのである。ある時など挿し穂をとりすぎた親木がダウンして途方に暮れたこともあった。

現在圃場にあるのはひとりでは持ち運べないぐらいの大きな鉢で一株。普段は店頭を飾る鉢の一つである。ちょっと剪定すれば、当分必要が無いぐらいの挿し穂がとれる。

ペパーミントゼラニウム

現在は昨年の葉が枯れ落ち始めて、みすぼらしい状態である。また、一年間ほったらかしなので、葉も小さくなってしまった。ペパーミントゼラニウムは柔らかくて大きな葉を優雅に繁らせるのが一番の魅力。もう少し暖かくなったらばっさり刈り込んで少し植え替えてやる予定である。なお、このゼラニウムは半日陰のほうが葉のサイズ、手触りともに良好になる。店先の少し奥まったところがベストポジションなのである。また今年も初夏になれば指定席にお戻りになるだろう。

悩みのエルダー

加温もせず、夜間は氷点下になるとは言え、冷たい風から守られるビニールハウスの中はひと足早く色々な植物が芽吹きつつある。枯れ枝から新芽が伸びてくる様子はいつ見ても喜ばしいものだ。見慣れた株だと言うのに、新芽が動き始めるとついつい見入ってしまう。

昨年、鉢植えにしてかなり大きく育ったエルダーも、ついこの前まで枯れ枝ばかりだったのに、赤みを帯びた春の芽が節に見え始めてきた。

エルダー

大きくなるので鉢植え向きではない植物である。なぜここにいるかと言うと、地植えにする良い場所が見つからなかったのだ。この冬のうちに・・・と思いながらもついに新芽が出てくる季節を迎えてしまった。既に一株、畑の脇に植えてあるし。どうしようかと悩んでいる。

枝先では葉が展開しつつある
枝先では葉が展開しつつある

さて、このエルダー、実際にとても丈夫である。ところが、ハーブを育て始めた頃、何度育ててもうまく行かなかった。また、当時、同好の士もやはりエルダーがうまく育たないと言う。ちなみに、他の地域の方に聞いて見ると「あんな丈夫なものが?!」と言う返事。そこで、その時「山陰ではエルダーはなぜかうまく育たない」という結論に達した。以来しばらく育てていなかったが、数年前から育て始めたら全くノートラブル。育ちすぎて困るぐらいである。その時の苦労は一体なんだったのだろうか。たまたまうまく行かなかったのだけだったのか。

その時同じ結論に達した方はその後どうだったのやら。尋ねる機会があれば聞いてみよう。覚えているかな?

ほんのり桜色

苗の手入れをしていたら、ゴールデンリーフストロベリーの花がずいぶん上がっていた。この寒いのにご苦労様である。

ゴールデンリーフストロベリー

なかに、うっすらピンクに色づいた花があった。昔なら、「もしかして色変わりが現れたか!」と小躍りするところだが、なんてことはない、寒くて一時的にこんな色が出ているだけのようだ。同じ株も春になると色は消えてしまう。

開花してしばらくしたものに色が出やすいようで、膨らみ始める赤い実を予感させる。

ちなみに写真の後ろのほうに少し見えるのだが、ゴールデンリーフストロベリーはやはり葉が少し弱くてこの辺りでは真冬は葉が傷みやすい。そういうこともあって一番美しいのは春暖かくなってから出てくる新芽である。

真冬のムカデ

冬は片付けごとをするには良い季節である。時々ふと手持ち無沙汰になったりすることもほかの季節より多く、ちょっとした時間潰しには丁度よい。また、少々重労働になっても汗をかくわけではないし、雑草ややぶ蚊に煩らわせられることも無い。

と言うわけで、秋までに散らかり続けていた圃場が少しづつ片づいていくのが冬なのである。先日もずっと気になっていた鉢を少し整理した。

ヨイショと大きな鉢を持ち上げて出てきたのが中サイズのムカデ。噛まれたことの無い自分は怖い物知らずなのかそれほど嫌悪することはない。でも、スタッフのひとりは非常に嫌う。以前よほど痛い目にあったのだろう。

ムカデ

そういう自分も昔、嫌な目にあったことがある。蒸し暑い夏だったと思う。そのころはアパートの4階住まいであった。夜中、枕元でガサガサと音がする。何か嫌な予感がして明りをつけてみると大きなムカデがそこに。さすがに狼狽して大騒ぎになった。古い建物とは言え、4階にまでムカデが上がっているとは思わなかったのでよけいにびっくりした。

まあ、このムカデも真冬に明るい場所に引っ張り出されるとは思わなかっただろう。キミの友達も僕を脅かしたことがあるから、まあ、おあいこだね。

ちなみに、ムカデと良く似ていて間違えられるヤスデは、噛まれる恐れも無いし、分解者としてそれなりの役割を果たしているようなのだが、見た目の悪さで嫌われている。落ち葉を分解して土に戻してくれるので、もう少し大目に見てやって欲しい。

香りよりも色よりも

春をイメージする色は?と聞かれれば暖かい陽光を思わせるイエローと答えるだろう。少なくとも自分にとってはピンクではない。

イエローと言っても鮮やかなのではなく、オレンジがかった暖かみのあるイエロー。そう、例えばイエロースイートバイオレットのような色だ。

イエロースイートバイオレットは他の紫やピンク、白に比べるとやや遅くなってから咲きはじめることが多い。同じビニールハウスの中でもこの頃になってようやく花を見せはじめるようになった。

イエロースイートバイオレット

また、詳しくは調べていないが、他の色に比べると香りも弱い。私にとっては香りよりも色を楽しむニオイスミレがイエロースイートバイオレットである。距と萼の部分が濃い色なので花びらとのコントラストがはっきりしているのもまた良い感じなのである。

残念ながらこの写真の花はナメクジ?に花びらをかじられている。ナメクジ、カタツムリの類いはニオイスミレが大好きなようで、この寒いにも関わらずお食事にいらっしゃっているようだ。香りよりも色よりも味を楽しんでいるのだろう。