3つまで

今年はゼラニウムの開花もずいぶん遅れた。ビニールハウスの親株は観賞用ではないので花が咲くとさっさと剪定してしまう。次の新芽を伸ばして差し芽に備えるためである。

鮮やかな色が目にまぶしいミセステイラーゼラニウム
鮮やかな色が目にまぶしいミセステイラーゼラニウム

ゼラニウムの花の剪定はあまり深く考えずに、伸びた花茎ごとパチパチ切っていけば良い。なので自分が忙しい時は手の空いていそうな他のスタッフに頼むことも多い。

「ゼラニウムの親木、花を剪定しといてね。ついでにその奥のほう、水が切れかけてたからちょっと見といて。そうそう、腐葉土が無くなりそうなら注文しといて。それから・・・」
と言いかけたところ、
「3つまでだで!!」
と拒絶されてしまった。

私も含めて、スタッフは皆、このところ物忘れが激しくなりつつある。口頭で伝えても覚えておける数には限界がある。だから頼みごとがそれ以上になると、メッセージボードに記入しておくようにしている。

といっても、大抵、3つ目は忘れられてしまうんだよなぁ

どうやって増やそう

ハーブの増やしかたは種子や差し芽や株分けなどいろいろあるけれど、多くの種類は「これがベスト」という方法が大体決まっている。種子では増やせない(増やしにくい)ものは差し芽や株分けで行なうなど、その他の方法をとるし、そうすれば大体問題ない。

ただ、中には、種子でも、差し芽でも株分けでも増えるなんていう有難い種類もある。ミントなどがこれに当り、どれでも良く増えてくれる。とは言え、種類や増やしたい数に応じて方法は使い分ける。

問題は、どの方法でもとり合えず増えるけれど、これと言った確実な方法がない種類だ。

レッドキャンピオンなど、シレネの仲間が自分にとってはそうだ。一般的には種子が良くできるので、種子で増やすと言うのがこの種類のスタンダードである。とりまきどころか、こぼれ種でもガンガン増えると言うし、実際にそうだと思う。ただ、自分は腕が悪いのか、タイミングが悪いのか、種子増殖はどうも相性が良くない。

レッドキャンピオン

で、差し芽や株分けにも挑戦してみた。差し芽はまずまず発根する。ところが、ポット上げして苗にしようとすると花がすぐ上がってしまい、葉が充実しにくい(シーキャンピオンはうまく行く)。そのまま地植えなら問題ないだろうけど。と言って花を切り戻すだけでは販売できるような充実株にならないのだ。

だったら、株分けは?というと、キャンピオンの細かすぎる根と案外貧弱な株元が邪魔してこれもイマイチだったりする。

今年は株も充実しているし、この後たくさん種子が採れそうなのでまたチャレンジしてみるつもりだ。

春菊みたいなもの

除虫菊タンジーほどではないにしても、近い仲間であるフィバーフューにも昆虫が嫌う成分が含まれている。そのため、虫媒花の作物の周りには植えない方が良いとされる。

とはいえ、虫が全く寄りつかないかと言うとそれほどでもない。気温が上がって乾燥してきた時など、少し水やりに油断をしてしまうと、鉢植えやましてやポット苗の場合、結構ダニが発生する。ダニはフィバーフューがお好きなようだ。

フィバーフューとハダニ

また、それほど多くは無いけれど、ハモグリバエ(いわゆる字書き虫)も葉を食い荒らすことがある。ハモグリバエはナスタチウムの葉に良く見つかる。まあ、こちらは人間が食べても美味しいナスタチウムなので納得できる。でも、決して美味しいとは思えないフィバーフューの葉を食べるなんて・・・と思ったが、そうか、我々が春菊を食べるようなものか。

いくつか文献をたどってみると、若葉をサラダにすると言う記述もあった。ただし苦いとか・・・。あまりたくさんは食べない方が良さそうである。

ぬか喜び

店の花壇を見ていてふと足が止まった。少し前から咲き始めているクリーピングボリジ、一株にピンク色の花がいくつも咲いている。

クリーピングボリジ

この株は前年からのこぼれ種によった株のはず。もしかして・・・。と大きな期待が湧いてくる。白花ならまだしも、ピンク花とは珍しい。すごいぞ。まてまて、もうしばらく経ってみないと分からない。と、自重しながらも、今後どうやってこの色の株を残していくかを検討する。周りの普通の色の株は移植して、とりあえず種子で増やしてみよう・・・etc.。

ところが、残念ながら翌日見てみると、花色はブルーに変わっていた。咲き始め特有の色だったのだ。

クリーピングボリジ

もちろん、開花当初、花色がピンクがかることは知らない訳ではない。それでも勘違いした原因は、一株についた花がどれも一様にピンクに染まっていたからだ。その上、周りにある他の株がいずれもブルーだったので余計に惑わされてしまった。

久しぶりにワクワク、ドキドキしたのに、ちょっと気が抜けてしまった一日となった。白花でもいいからいつの日か出てこないかなぁ。

用意、ドン!

水やりをしていると、フルーツセイジの枝の間に、何かモヤモヤとしたものが浮かんでいる。近づいてみると、小さなクモの子が集まっていた。というか、これからクモの子が散っていこうとしているのだろう。

クモ

これほど多くのクモの子がビニールハウスに散らばっていってくれれば、さぞ良い働きをしてくれると思うけれど、きっと自然淘汰もされるだろう。この中で残ってくれるのはどれほどだろうか。

カメラの性能もあるかも知れないけれど、ピントが合わせ辛かった。ピント合わせに四苦八苦しながら小さなクモたちがざわざわと動き回っているのを見ると少し気持ちが悪くなってきた。いや、クモ自体はそれほど嫌いではないのだが、小さなものが多数動き回っているのが苦手なのだ。だから蟻は昆虫の中でも結構嫌いな部類に入る。

ま、いずれにせよ、ハウスの隅々まで広がって欲しいものだ。