以前にも紹介した市内の幼稚園の花壇でマロウが花盛りになっている。実はこれ、当店の苗ではなく、先生がどこかで買ってこられて小さな花壇に植えておられたものである。
大きくなったらはみ出すような小さな花壇だったので、我々が手がけている花壇に昨冬移植したのである。
その時は、これほど見事な花が咲くとは思っても見なかった。恐らくゼニアオイが咲くのだろうと思っていた。マロウは良い系統を維持するのが難しいとされ、種子を採って蒔いても花びらが貧弱になることが多い。いままでも、お客様から、「マロウ」の苗を買ったのに(もちろん当店のじゃないですよ)、ボリュームのない花ばかり咲く、と言う話を何度も聞いている。
また、良い系統の株であっても、株が充実しないと良い花が咲きにくい。十数年前、ベランダの小さな鉢で必死で育てても「なんだこりゃ」と言うような花しか咲かなかったこともあった。また、株が老化してくると、やはり貧弱な花になりやすい。全くもって面倒な花である。
いわゆるゼニアオイならこの辺りでも良く咲いている。仏様用の花としては人気があるようで、ある時お客様から、普通のゼニアオイが欲しいと言われ、がっくりしたこともあった。そのうえ、畑の隅に生えているゼニアオイの中に、時々見事なボリュームのものがあったりするのでますます混乱させられる。
圃場では「ブルーマロウ」として、Malva sylvestris ‘Mauritiana’を栽培している。この種類も一度貧弱な環境で育ててどんな花が咲くか試してみるのも一興かも知れない。