秋の蚊

彼岸を過ぎてからの蚊は強力無比である。最後の一踏ん張りという感じで何が何でも血を吸ってやろうという気迫に満ちている。その上夏よりも数が増えている感じもする。涼しくなってトンボなどに食べられるのが減るからなのだろうか。開けっ放しの圃場ではあるが、むしろ夏の間はあまり蚊が気にならないのである。

夏の間では考えられないことだが結構強い風が吹いていてもしつこくたかってくる。そのうえ、服の上からでも強力に刺してくる。しかも痛い。

蚊取り線香
更に困ったことに、秋の蚊には虫よけが効きにくい。蚊取り線香も、虫よけスプレーも、シトロネラキャンドルもお手上げである。それでも無いよりはましなので蚊取り線香もつけっぱなし。それなのに先日蚊取り線香を補充しにホームセンターへ行ったらもう既に販売終了であった・・・。もう少し実情を見据えた品ぞろえをして欲しいものだ。

シトロネラキャンドル

まあ、それでも真夏にこんな強力な蚊にアタックされたら暑い上にイライラさせられて仕事にならないだろう。せめて今の時期だということに感謝するべきなのか?

モデル料として最後の晩餐はたっぷりとサービス
モデル料として最後の晩餐はたっぷりとサービス

レモングラス虫

夏に株分けをして、ポットの中でようやく根が張ってきたレモングラス。まだ寒くなるには時間があるし、これなら越冬も安心・・・とホッとするのが今の時期。しかし、あまり油断はできない。
レモングラス

苗の株元を注意して見ると、小さな穴が見つかることがある。そんなときはたいてい中に虫がいる。仲間内では「レモングラス虫」と呼んでいる。詳しい名前は不明である。

レモングラスの害虫

茎に穴を空けて中心部を食い荒らし、下に向けて食べ進んで行く。たいてい少し下のほうを切って見ると犯人が見つかることが多い。喰いカスが根元に散らばっているので見つかることもある。テッポウムシのように細い針金か何かを差し込んで退治しても良いかも知れない。

この虫が入った茎はたいていダウンしてくるが、レモングラスは株さえ残っていれば上の葉を切ってもいくらでも芽が出てくるのであまり心配はいらない。この虫の退治が終るとようやく越冬体勢に入ることになるのである。

まだまだ頑張る中年バジル

10月になったというのにまだバジルが青々としている。例年ならばもっと黄色みがかってきて葉も厚くなっている頃だ。つい先日もパスタに使ったら結構美味しかった。たいてい、この時期のバジルは甘さよりもスパイシーさが際立ってくる。それが気になり始めるのをきっかけにその年のバジルの終わりを決めることが多い。

スイートバジル

だが今年はこんな調子である上に、種子ももう少し先になりそうだ。

それでも秋を迎えたバジルの姿は老化を感じさせる。春、伸び盛りの新苗の頃はプクプクとした赤ちゃんのほっぺたを思わせる柔らかい葉だったのが、今ではシワだらけで反り返り、硬く、水分もやや不足という感じである。それなのにまだまだ頑張るぞ!という気持ちだけがにじみ出ているようだ。なにやら人間と重なるところが多く、片付けようという私をためらわせるのである。

ぐにゃり

涼しい日陰が大好きなラングワートは夏が苦手。今年はそれでも楽な方だったかも知れないにせよ、やはり葉は傷みやすい。

育苗中の大きめの苗も涼しくなって新しい葉も伸びはじめたので傷んだ葉を整理していた。中には結構株が太ってきたものもあったのでついでに株分けしようとポットを持ち上げようとすると。
「ぐにゃり」
思わず手を引いてしまう不快な感触。ナメクジである。年がら年中そこそこ湿り気のあるビニールハウスでは一年を通じてお付き合いせざるを得ない方たちだが、相変わらずあまり好きにはなれない。

ナメクジ

触ったあとに残るネバネバは少々洗ったぐらいでは取れないし、そのまま作業しているとその部分だけに泥がひっついて気にかかる。ハーブたちを食べてしまうのはある程度黙認してあげているので、せめて仕事の邪魔はしないで欲しい。

ところで、ナメクジの卵、見たことがありますか?初めて見たときは、こんな美しい卵、何の卵だろうと驚いた。美味しそうに思えるほどだったのに、まさかナメクジの卵だったとは。でも、殻付きのナメクジの親戚も大喜びで食べる人間様、どこかの国では珍重される食材だったとしてもおかしくは無いが・・・・

勇気がいる技

この秋はカメムシが多い。自宅にも何度か侵入してきて先日も大騒ぎであった。どうやら干していた洗濯物と一緒に入ってきたようだ。

圃場でも野菜畑で、特にピーマンやナスビに付いているのを良く見かけた。さほど害はなかったものの、ニラがカメムシ除けになるようなので来年はコンパニオンプランツとして植えて見るのも良いかも知れない。チャイブでは駄目なのかな?

カメムシ

屋外ではそれほど気にならない昆虫なのだが、室内ではちょっと困る。家族は騒ぐし。もちろん捕まえるのは私の役目である。さすがに手で捕まえる気は起きないのでガムテープを背中にそっと押し当てて捕獲する。たまにヒヤリとさせられることはあるけれど、ほぼこの方法でうまく行く。家族は逃げ腰の私の姿を見るのが楽しみなのである。

ちなみに私の従姉はカメムシ捕りの天才である。触角をちょいとつかみ、ポイッと外に。いつ見ても見事な技である。真似してみたい誘惑にもかられるがまだチャレンジする勇気はない。