お客様から、「◯◯をこういう場所に植えようと思うのですが、大丈夫でしょうか」
との質問をときどきいただく。
大抵の場合はそれなりの確信を持って答えることができるのだが、いくつかの種類は、即答できないこともある。
その一つがコルシカンミントである。「雑草のようにどこでも育つ」とか、「ミントを枯らすほど園芸が下手」などの例に使われるほど丈夫なミントなのだが中には例外もあるようで、コルシカンミントは結構思ったようには育ってくれない。
ミントの中でもかなり個性的な部類で、葉がとにかく小さい。見た感じにはコケのようである。でも触ると明らかにミントの香り。順調に葉が育てば、小さな葉が密生してとても綺麗だし、花も小さいながら濃いめのピンクでなかなか面白い。
姿も個性的だが、育ちかたにも個性があり、実際、我々がポット苗を育てるときにも、「え、どうして・・・」という感じで急に調子が悪くなることがある。
お客様からも、このミントについては、「急に枯れてしまった」とか、「何度試してもうまく育たない」という話をいただく。環境を尋ねても、申し分ない場所であることが多い。
タイトルにはそぐわないのだが、「こんな場所に」とは薦めにくいのだ。なのでとりあえずうまくいった例を紹介したい。
市内のお客さまのお庭では、種子が飛んで所々に増えているという報告をいただいている。建物の北側にある通路部分で、建物と塀の間が1メートル程度の薄暗い場所のようだ。横に広がるのではなく、島のように所々で群落を作っているとか。それはそれで面白いと思う。
また、当店の、店の前にあるレンガの部分でも、ゆっくりではあるが徐々に増えつつある。
この場所は、午前中は建物が影になって日が当たらない。午後からは西日が差し込んでくるというかなり過酷な環境。夏はレンガが熱を持って相当高温になると思うのだが、何食わぬ顔で元気である。
もちろん、肥料などは一切与えていない。おそらく移植したり、手を加えると調子が悪くなりそうで、どのように育っていくか様子見状態である。案外来年には急に機嫌が悪くなり、他の場所で育っているかもしれない。
また、建物を挟んで反対側の花壇にもやはり種子で飛んだらしいコルシカンミントが見つかっている。
この場所も結構乾燥しそうな場所なのに、増えることもないが衰えもしないという感じで育っている。
このように、なかなか我々の思うようには育ってくれない。自分が好んだところを見つけて居つくような風来坊、または手をかければかけるほど意地になる思春期の子供のようなミント、それがコルシカンミントである。