インベーダーたち

圃場の背後は荒れ地で囲まれているので、毎年ツル植物との攻防戦が行われる。今年も梅雨前まではこまめに草刈りができていたので葛を中心とする侵略者たちの侵攻もわりあい抑えることができた。

しかし、雨続きの夏は草刈りもしにくく、一日、もう一日と伸ばしているうちにやつらは確実に魔の手を伸ばし続けたのである。

雑草に紛れ、侵略の機会を窺う葛
雑草に紛れ、侵略の機会を窺う葛

ビニールハウスの周りには、花壇や畑もあり、栄養もいっぱい。その上絡みつきたくなるパイプが山ほどあるのが気になるのだろうか。

パイプに絡みつきはじめると始末に負えない。引っ張るなんてこちらの手を痛めるだけ。少量ならほどいたり、元の方を切ってしまうこともできるだろう。だが、ツル同士がからみあうようになるとお手上げである。冬まで放置しておいて、枯れてから取り除こう、と白旗を揚げることになる。

マメ科?のツル植物。細いが非常に強く、厄介者。普通、熱くなるパイプに巻きつくか?
マメ科?のツル植物。細いが非常に強く、厄介者。普通、熱くなるパイプに巻きつくか?

この夏、アルコール依存症に葛のエキスが有効であると言うニュースが流れた。スタッフにも依存症一歩手前と言う感じの方がいらっしゃる。是非この大量の葛を有効活用してくれたらありがたいのだが・・・

メキシコのおヒゲ

ここ数年お気に入りのサルビアが、これ。シナロアセイジ。あんまり大きくならないのも有りがたいし、葉色に特徴があって花が無い時も良い感じ。

シナロアセイジ

花色が好みなのは無論である。その上、下側の花弁にある白い斑点が良いアクセント。白い髭でも生やしているかのようだが、この斑点がなかったらちょっと地味な感じだったかも。

初夏にも咲いてくれて、夏は割とお休みがちであるが、秋になるとまた開花を始める。夏、あんまり暑かったり、乾燥しすぎると葉が焼けやすいのが難点。

株が小さい時には冬に地上部が消えてしまって結構心配することもある。松江では鉢植えで軒下にでも置いておけば確実に越冬してくれる。地植えだとぎりぎり。調子が良いと越えてくれる感じだ。かつて冬前にポット上げして一割も残らなかった苦い経験もある。

それにしてもメキシコのサルビアは魅力的なものが多い。十年ぐらい前、メキシコに行った友人から「メキシコっておっきな帽子をかぶった人とサボテンしか居ないと思ってるでしょ!」と指摘され、素直に頷いたことがあるが、いまなら素敵なサルビアも咲いていると思っているゾ。

厄介なやつら

暖かい時期の庭仕事で注意したいのは毒のある昆虫である。蜂もむろん危険だが、毒の有る毛虫も厄介である。

特にうちのスタッフの中で嫌われているのがイラガの幼虫。思わぬところにポツンといたりするので、虚を突かれがちだ。

昨日も剪定した枝を片付けようとしたら左の手首のところに激痛が走った。手袋をしていたのに、ちょうど手袋と長袖の隙間を狙われた。

チクチクチクチクチクチクチクチク

イラガ特有の痛みである。

ダッシュで車に戻り、刺されたところにガムテープを何度も貼ってははがす。針を抜くためである。これでほぼ大丈夫だが、念のため、ラベンダーオイルも塗っておく。作業に戻り、その後痛みも出なかった。

一応対処方法が分かっているので刺されてもそれほど心配することはなくなった。でもやはり刺されるのはイヤである。

今日も一つの庭で仕事を終え、車に剪定した枝を積んだ。次の庭で、さて、作業を始めようとした時、くま手の柄に付いているイラガを発見。確か今日の枝にはいなかったのに・・・・

イラガ

更に、圃場に戻り、車に乗せた道具を片付けようとして、ふと見るとクリップボードにまた一匹。

イラガ

今日一日、恐る恐る車に乗るはめになったのである。

来なかった夏

まだ暑さは残るものの、朝夕は涼しく、午前中も早いうちはとても作業がしやすくなってきた。結局今年は冷水のシャワーを浴びることなく秋を迎えることになりそうだ。

毎年、梅雨が上がり、強烈な日差しが肌を焼くようになると、冷たいシャワーの方がが気持ち良く感じるようになる。その日を持って、「夏の到来」ということにしているのだ。

ということは、今年は私に夏は到来しなかったと言うことになる。

圃場でも毎年掛ける寒冷紗も出番が来ることなく9月になってしまった。例年なら寒冷紗を掛けても葉焼けでチリチリになるような種類も今年は御機嫌だ。

新芽の縁が茶色く焼けてしまうパイナップルミントやしなしなになりがちな斑入りのラングウォートなども比較的元気。また、ゴールデン葉のものも今年は楽な夏だった感じがする。

ジャスミン・フィオナサンライズ

ジャスミン・フィオナサンライズもそのひとつ。柔らかく、しっとりした葉を広げて秋の空気を喜んでいるかのようだ。去年は暑さで斑点状に焼けてしまった葉が痛々しかったのに。

でも、私も含め、油断していると来年しっぺ返しが来るかも知れない。ゆめゆめ油断せぬように。

ケンブリッジの緋色

少々乱暴な言い方になるが、ベルガモットの種子を蒔いて望んだような色が出たことが無い。まあ、メーカーの品質にも問題があったのだろう。

特に、15年前ぐらいに蒔いたレッドベルガモットの種子はひどかった。発芽率が悪かった上に、ほとんどがピンク。ため息が漏れたことを今でも覚えている。

これも10年ぐらい前にイギリスの種子メーカーから購入したケンブリッジスカーレットベルガモットの種子も同様、ピンクしか出なかった。以来、探し続けていたこの種類もようやく苗で入手。ようやく開花も確かめ、繁殖できるようになった。

それでも本当に鮮やかなレッドを目に出来るのか開花するまでは疑心暗鬼だった。少し希望が見えたのが、茎の先端付近の葉がやや赤みを帯びてきた頃である。赤の色素をたっぷり体の中に蓄えている様子がうかがえた。

moncambrid0909011

開花が始まる頃には包葉は深い赤みを帯びるようになる。その包葉をバックに目にも鮮やかな緋色が現れた時には正直ホッとした。

ケンブリッジスカーレットベルガモット

この美しい色も私のデジカメでは充分に伝えきれないのがなんとももどかしい限りである。