晴れの日も雨の日も

一棟のビニールハウスの前に、ネムノキが生えている。正確には、ある時、ビニールハウスの苗ポットにひょっこり生えてきたのでそのまま育苗して、この場所に植えたのだ。

ネムノキ

夏、入口に日陰を作ってくれるのを期待して、以後5.6年になるだろうか。過酷な場所で手入れもしなかったのに何とかここまで大きく成長。今年は剪定と若干の誘引をして概ね良い感じの日陰を提供してくれるようになった。冬はしっかり葉を落として陽の光を通してくれるのもありがたい。

ネムノキ

鑑賞するという点では雨の日の雰囲気が好ましい。雨粒をまとった繊細な花も良いし、しっとりと濡れた葉の様子もまた悪くない。晴れの日なら夕暮れ時。夕闇に浮かぶ花はなかなか良い感じである。日中はそれほどでも無いが、下の日陰を楽しむのである。

ネムノキ

じとじとする梅雨は嫌だが、この花を見ると少しは慰められるのである。

神名樋野

ビニールハウスの南西側には小高い山がある。出雲国風土記に神名樋野(かんなびぬ)と記される山である。現在は茶臼山と呼ばれている。

傍から見ると雑木や竹林などが散在するとりたてて特徴の無い山だ。ところがこの辺りは古墳を初めとして古代出雲の歴史が所々に埋まっている土地である。国庁跡、国分寺跡もすぐ側にあるのでこの山にも何かあるらしく、時々調査隊のような人々が登っていくのをみかける。

我々にとっても貴重なビニールハウスの水源を供給してくれるほか、夏の西日、台風の強烈な風からハーブたちを守る防御壁の役割も果たす有難い山である。
山桜
いま、茶臼山も所々に淡いピンク色が見られるようになってきた。普段は他の樹木と見分けがつかず、気づくことのない山桜だろう。まだ見える範囲では一つだけだが、山腹の所々に桜色がちりばめられるようになると春本番である。