ゾウさん

バラを育てる人にとってはゾウムシは大敵だ。大切な、ようやく膨らみ始めた蕾がある朝、突然被害に遭ってしまうのはやりきれない。

そのうえ、このゾウムシはとても小さい。しかも、ゾウと言う割には敏感で、手を伸ばすとさっと落下して難を逃れようとする。したたかである。その名もバラゾウムシ。逃げられると腹が立つ。

幸い、ハーブにはこのゾウムシに被害を受けるものは今の所見たことが無い。「へん、ハーブなんて!」てな感じかも知れない。

ゾウムシ

でも、別のゾウムシはやって来るようだ。写真はマウンテンセイジの葉にいた一匹。特にどこかかじるわけではなく、葉の上をのそのそと歩いていた。「わし、何にも悪いことしてないから堂々としてますよ」といったユーモラスな雰囲気だった。でも、バラゾウムシに比べると遥かに大きなサイズ。こいつにやられたら少々大きな株もダメージを受けてしまいそうである。

住み心地良好

その存在に気がついて以来、目を細くして見つめているヒラタアブ。圃場を一回りするといたる所で目にするのだが、それでもいくつかお気に入りの花があるようだ。

コンパニオンプランツの本などには、ディルフェンネルがこれらハナアブの仲間を誘引すると出ている。でも、この圃場では、ヤロウの花が好きなようで、いつ通っても一匹や二匹見つかる。

ヒラタアブ

一方で幼虫の方は、しっかりとエサがある所で育っていて、アブラムシなどめったにいないヤロウでは見つからない。こんな小さな昆虫なのに、幼い頃に食べたものを覚えていてアブラムシが多い植物に産卵するのだろうか。それとも幼虫はあの小さな体でアブラムシを探してえっちらおっちら歩き回るのだろうか。いずれにしても不思議である。

ただ、この圃場の周なら、花も何百種類あるし、無農薬で健康に育った(?)
アブラムシも多いことだからさぞ住みやすいことであろう。

春菊みたいなもの

除虫菊タンジーほどではないにしても、近い仲間であるフィバーフューにも昆虫が嫌う成分が含まれている。そのため、虫媒花の作物の周りには植えない方が良いとされる。

とはいえ、虫が全く寄りつかないかと言うとそれほどでもない。気温が上がって乾燥してきた時など、少し水やりに油断をしてしまうと、鉢植えやましてやポット苗の場合、結構ダニが発生する。ダニはフィバーフューがお好きなようだ。

フィバーフューとハダニ

また、それほど多くは無いけれど、ハモグリバエ(いわゆる字書き虫)も葉を食い荒らすことがある。ハモグリバエはナスタチウムの葉に良く見つかる。まあ、こちらは人間が食べても美味しいナスタチウムなので納得できる。でも、決して美味しいとは思えないフィバーフューの葉を食べるなんて・・・と思ったが、そうか、我々が春菊を食べるようなものか。

いくつか文献をたどってみると、若葉をサラダにすると言う記述もあった。ただし苦いとか・・・。あまりたくさんは食べない方が良さそうである。

用意、ドン!

水やりをしていると、フルーツセイジの枝の間に、何かモヤモヤとしたものが浮かんでいる。近づいてみると、小さなクモの子が集まっていた。というか、これからクモの子が散っていこうとしているのだろう。

クモ

これほど多くのクモの子がビニールハウスに散らばっていってくれれば、さぞ良い働きをしてくれると思うけれど、きっと自然淘汰もされるだろう。この中で残ってくれるのはどれほどだろうか。

カメラの性能もあるかも知れないけれど、ピントが合わせ辛かった。ピント合わせに四苦八苦しながら小さなクモたちがざわざわと動き回っているのを見ると少し気持ちが悪くなってきた。いや、クモ自体はそれほど嫌いではないのだが、小さなものが多数動き回っているのが苦手なのだ。だから蟻は昆虫の中でも結構嫌いな部類に入る。

ま、いずれにせよ、ハウスの隅々まで広がって欲しいものだ。

生贄

ようやく今年初めてのバジルが出せるようになった。バジルを育てるようになってから最も遅い記録かも知れない。

例年だと4月の終わりから、遅くてもGWあけ頃が初出荷になることが多い。この頃はバジルの茎がまだ柔らかく、店頭に並べる時には強い風に気を付けなくてはならない。その点今年は、ゆっくりと育ったし、もう半分諦めの感があったので、頑丈な苗になるよう心がけた。がっしりとした良い苗ができたと思っている。

ただ、いつでも気を付けなければならないのはナメクジの害である。バジルを店頭に出すと、「待ってました」とばかりにナメクジが集合してくるようで、一晩放置していると穴だらけになる。そのため、バジルだけは閉店と同時に奥の乾燥した所へ非難させるよう心がけている。

ところが、昨夜、スタッフが引っ込めるのを忘れたようで、今朝見てみると案の定たくさんかじられていた。ナメクジがいるところに夜中放置しておくなんて、生贄をさし出すようなものである。

バジル

幸い、このバジルは御理解を頂いた上で、お客様に引き取られていった。

生贄と言えば、子供が小さい頃、「○○を生贄に□□を召喚!」なんてカードゲームに相当付き合わされた。出来立てのバジルが生贄では召喚コスト高すぎである。