スイートバイオレットと蝶

秋も半ばを過ぎると、ようやくスイートバイオレットたちも夏の疲れを回復したのか、徐々に生き生きしてくるようになる。大きなダメージを受けたように思える株は植え替えたり、株分けをして復活の手助けをしてやる。

しばらくすると新芽が伸び出してきて、こちらもホッと一息つく頃、必ずやって来るのがこの毛虫、ツマグロヒョウモンである。

ツマグロヒョウモン

ようやく出てきた新しい葉をバリバリとかじるのですぐ分かるし、そのうえ見た目も毒々しいデザインなので、最初のころは驚いた。その後、毒が無い事が分かり、平気で手に乗せれるようになった。無害だと分かると印象もずいぶん変わるものだ。

ツマグロヒョウモン
今は平気

ビオラなどをよく食害すると言われているが、ここには普通のビオラやパンジーはあまりないので、主食がスイートバイオレットになってしまうのだろう。味の違いはあるのかな?

親も鮮やかで美しい蝶のようだが、あまり見かける事が無い。

ヤマトシジミ

ちなみにこれはヤマトシジミ(だと思う)。幼虫の主食はカタバミだそうなので、今はビオラの上でちょっと一休みと言ったところなのだろう。

無関心同士のおつきあい

普段あまり縁が無い動物に鳥の仲間がいる。お互いにあまり干渉しない間柄であるし、まれに野菜が被害にあうことはあっても、ハーブにはあまり興味がないのか困らせるようなことはほとんどない。

ところで、スタッフの一人はかつて一つがいのインコを何十匹にも増やしたことがある経験を持ち、結構鳥の気持ちが分かるようだ。ある時は、ビニールハウスの中に迷い込んできた雀を見て、
「仲間を呼んでいる。ほら、外からも仲間の声が聞こえる」
というので耳を澄ましてみると確かにお互いに呼び合っていたりする。こちらは感心するばかりである。

時々ハウスの周りに姿を見せるアオサギ?も何を考えているのか分からない代表みたいなヤツである。

アオサギ?

ふと気がつくとすぐ近くの道路にたたずんでいたりしてこちらがびっくりさせられることがあるぐらいだ。動作も緩慢で警戒心が薄いのか車で近づいてもなかなか逃げようとしない。この一羽も何を探しているのか。見つめる先は土手の草地である。

案外無関心を装っているだけなのかも知れない。だからこちらも無関心を装って今後も付き合っていこうと思う。

危険な密航

朝、圃場にやってきたスタッフの車になにか付いていた。良く見るとカマキリが一匹。一体どこからついてきたのやら。彼の自宅はそれほど遠くは無いのでもしかしたら家からついてきたのかも。と言う話になった。つるつるすべる車体にしがみつくのは大変だっただろう。
「洗車してないから、案外つかまりやすかったかも」
とは車の所有者の談。

カマキリ

次の世代を残すために、少しでもエサが多そうなところに来ようとしたのだろうか。その後、しばらくするといつの間にかどこかへ行ってしまったようだ。

以前、一人のお客様に聞いた話である。
隣町に車で出かけた時のこと。目的地について車から降りると、何やら下のほうでニャーニャーと鳴き声がする。野良猫でもいるのかと思いきや、そこにいたのは自分の飼い猫。どうやら車の下部にしがみついたまま家からここまでやって来てしまったらしい。5〜6キロはあるだろうに、良く振り落とされたり、中に巻き込まれたりしなかったとびっくりしたということである。

必死でしがみついている時の猫の顔を想像すると可笑しいやら、ホッとするやらだったそうだ。

このカマキリも必死の良い旅を終えて今ごろホッとしていることだろう。

秋の蚊

彼岸を過ぎてからの蚊は強力無比である。最後の一踏ん張りという感じで何が何でも血を吸ってやろうという気迫に満ちている。その上夏よりも数が増えている感じもする。涼しくなってトンボなどに食べられるのが減るからなのだろうか。開けっ放しの圃場ではあるが、むしろ夏の間はあまり蚊が気にならないのである。

夏の間では考えられないことだが結構強い風が吹いていてもしつこくたかってくる。そのうえ、服の上からでも強力に刺してくる。しかも痛い。

蚊取り線香
更に困ったことに、秋の蚊には虫よけが効きにくい。蚊取り線香も、虫よけスプレーも、シトロネラキャンドルもお手上げである。それでも無いよりはましなので蚊取り線香もつけっぱなし。それなのに先日蚊取り線香を補充しにホームセンターへ行ったらもう既に販売終了であった・・・。もう少し実情を見据えた品ぞろえをして欲しいものだ。

シトロネラキャンドル

まあ、それでも真夏にこんな強力な蚊にアタックされたら暑い上にイライラさせられて仕事にならないだろう。せめて今の時期だということに感謝するべきなのか?

モデル料として最後の晩餐はたっぷりとサービス
モデル料として最後の晩餐はたっぷりとサービス

レモングラス虫

夏に株分けをして、ポットの中でようやく根が張ってきたレモングラス。まだ寒くなるには時間があるし、これなら越冬も安心・・・とホッとするのが今の時期。しかし、あまり油断はできない。
レモングラス

苗の株元を注意して見ると、小さな穴が見つかることがある。そんなときはたいてい中に虫がいる。仲間内では「レモングラス虫」と呼んでいる。詳しい名前は不明である。

レモングラスの害虫

茎に穴を空けて中心部を食い荒らし、下に向けて食べ進んで行く。たいてい少し下のほうを切って見ると犯人が見つかることが多い。喰いカスが根元に散らばっているので見つかることもある。テッポウムシのように細い針金か何かを差し込んで退治しても良いかも知れない。

この虫が入った茎はたいていダウンしてくるが、レモングラスは株さえ残っていれば上の葉を切ってもいくらでも芽が出てくるのであまり心配はいらない。この虫の退治が終るとようやく越冬体勢に入ることになるのである。