美声は少し離れて

夕方、ハウスでの作業が一段落して、涼しい風に当ろうと外へ出ると、すぐそばで「カナカナカナ」とヒグラシの声。裏の山では夕暮れの大合唱が始まっている。どうやら一匹だけでソロを気取っているようだ。それにしても間近だと実に耳につく声である。

あまりに近いので、鳴き声のする先を探してみると、いたいた。こんなに近くでお目にかかるのは初めてかも知れない。小学生のころ一度捕まえたことがあったか、無かったか。

ヒグラシ

セミの中では鳴く時間帯と言い、少し寂しさを感じさせる鳴き声と言い、好きな種類であるけれど、あまりに近くで鳴かれるとその良さも半減してしまう。また、山が鳴いているような大合唱もうるさいものだ。朝、夜明け間際の涼しい時間に遠くから聞こえるのは良いものだし、夕方、仕事の疲れをそっとぬぐい取ってくれるような数匹での合唱がベストと言いたい。

さて、ソロの演奏を終えた一匹、写真を撮られると恥ずかしかったのか横歩きで舞台の袖へと消えていったのであった。

レッドデータブック

今日は草刈日和。特に圃場の横を流れる用水路の縁の草が目立つようになってきたので重点的に草刈に励む。

草刈が終り、用水路に落ちた草を熊手でかき集めていると、草の中でなにかゴソゴソと動くものがいた。つやつやと光る甲虫のようなのだが、初めて見る形。とりあえず捕獲して観察。片付けも一時中断。

クロゲンゴロウ

ゲンゴロウかな。と、携帯で検索してみるけれど、体の横にあるスジのようなものが見当たらない。それに、どの画像にも見える、足の細かい毛(ヒレの役目を果たすのだろう)が見つからない。離れてみると、ゴキブリや雌のクワガタみたいな感じである。

泳ぐかどうか水に入れてみた。しっかり泳ぐし、しばらくすると足にも例の細かい毛が出てきた。(水の中では広がるのだろうか)

しばらく観察していたが、スタッフが、「まさか飼うつもり?肉食じゃないの?」というし、元の水路に戻してやり、片付けに戻った。

後で調べてみると、どうやらクロゲンゴロウと言う種類らしい。地域によってはレッドデータブックに載っている絶滅危惧種だとか。そう思うと、捕まえた時、手の中でしきりに動く力強さがいっそう印象に残った。

好き嫌い、多いに結構

長くハーブを育てていると、「そろそろこのハーブにこんな害虫がやって来そうだ」とか、徐々に分かってくる。結果、発見も早く、被害が大きくならないうちに対策できるようになる。春先の一年草につくアブラムシ、夏の終わり、ニオイスミレにやってくるツマグロヒョウモンなど、そうあわてずにすむようになった。グルメな奴らなのでターゲットが限定されるのが幸いしている。

ところが、ちょうど今ごろ現れるナシケンモンばかりは、「あれ、これにも」、「こっちにもいるぞ」と言った感じで神出鬼没。あわせて大食漢なので気が抜けない。今日は今伸び盛りのモミジバエルダーをばりばり。発売に向けて順調に成長していただけに口惜しい限り。

ナシケンモン

我が子には好き嫌いせずに食べなさいと口うるさく言っているが、ナシケンモンにだけはむしろ好き嫌いがあって欲しい。

危険な隣人

気温が高くなると昆虫たちの動きも激しくなってくる。今日もビニールハウス内で今年5つ目のアシナガバチの巣が発見された。普段あまり気にしない場所だったので結構大きくなるまで分からなかった。

アシナガバチ

幸い、あまり近くへ寄る場所ではないので特に対策は行わないことにした。巣に近づかなければ襲ってくることはないだろうし、葉を食害するイモムシ類も食べてくれると思う。これまでの巣は、マートルの親木や、普段良く使う棚などにできていたのでさすがにそのままとは行かなかったけれど、今回はなんとか共存の道を歩めそうだ。ちょっと怖い隣人だが、そのつもりで付き合えば何とかなるものだ。

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朝飯前

5月も半ば近くなると言うのに、早朝はさすがに肌寒い。朝飯前の一仕事に、ビニールハウスに出かけたものの、外の菜園の様子を見にでかける時には、長袖をはおりたくなる。

年初の雪のダメージであまり成長が芳しくない菜園のソラマメ。新芽にはアブラムシがびっしりとついてしまって心配している。そもそも、植えたのが十株に満たないし、まあ、今年の収穫はお話にならないだろうからそのままにしていたら、少し前からテントウムシが数匹やって来た。
テントウムシとアブラムシ
美味しいものを探してどこからでも飛んでくるアブラムシにはそう驚かないが、アブラムシを探して毎年必ずやって来るテントウムシの嗅覚?にはびっくりする。

日中は忙しく行ったり来たりしてレンズに捕えるのも一苦労のテントウムシだが、寒いのか、それとも眠いのか、まだ動きが緩慢な時間だ。どうやら彼(彼女?)も、朝食はもう少し後になってからのようだ。