幸福を見つける理由

無くて七癖と言われる。たいていは人に言われて気づくことが多い。自分の場合、「電話をしながらあっちこっち歩く」という癖だ。ワイヤレスの電話機や、携帯があるからこそできるのだが、事務所でも電話しながらあっちへ行ったりこっちへ来たり。圃場にいる時はなにぶん広いので好き放題に歩を進める。

さらに、徘徊するだけでは足りなくて、他にも電話中に他のこともしているようだ。草を取ったり、片手で剪定したり。落ち着きがないと言われても仕方がない。(話はきちんと聞いておりますので。あしからず。)

さて、圃場の脇に、かつて芝生だったところがある。現在も芝が残ってはいるものの半放置状態。ここにクローバーがしっかりと根を下ろしている。もう取り除くのは諦めている。

クローバー

先日は電話をしながらいつの間にかこのクローバーのところに来ていた。何とは無しにしゃがんで葉を見つめていると、四つ葉を発見。四つ葉のクローバー探し、小さな頃からした経験はあっても、探し出せたことがあっただろうか。

また別の日、やはりなぜか電話の途中でクローバーのところへやって来たら、また見つけてしまった。この2本は店に持って帰り、押し花にしてもらった。ほんの畳1帖に満たない群落である。不思議に思い、改めてまた探してみると更に2本の四つ葉を発見。

四つ葉発見
四つ葉発見

今までの経験からすると非常に高い確率である。しかし、これは訓練による技術ではないかと思う。日々色々な葉を見ては小さな異常を見つけたり、成長の具合を事細かに見ているので、周りとは違う葉の様子を見つけ出しやすい目になっているのではないだろうか。

はい、ここにも
はい、ここにも

なんて考えていると「幸福」の有難みも失せてくる。素直に喜ばなくては。

秋の風物詩

もうすっかり秋の風物詩のひとつになってしまった感もあるセイタカアワダチソウ。圃場でも勢力を伸ばしつつある。

まだ隣りの荒れ地に繁茂していた頃は種子で飛んでくるのだろうと安易に考えていた。。ところが、あるとき隣地と接したところの花壇の手入をしていてあまり見たことの無い強力そうな地下茎が伸びてきていて驚いた。辿ってみると隣のセイタカアワダチソウから伸びていた。しかも1メートル近くも地中を這って侵入を試みていたのである。この時初めてセイタカアワダチソウの恐ろしさを感じた。

セイタカアワダチソウ

上の写真も、セイタカアワダチソウが生えているところは、圃場を整備した時に出てきた大小の石を積んでいたところである。草など生えないだろうとほったらかしにしていたが、最初にミント、そして今年はセイタカアワダチソウが占拠してしまった。

少しまえ、セイタカアワダチソウを使って炭を作ると言うようなニュースを聞いたことがある。今は強力な雑草として嫌われ者のこの帰化植物。この繁茂力をどうにか活かせないだろうかと時々考えてしまう。強力なアレロパシー物質を出すと言うので、他の生物にインパクトの少ない除草剤とか・・・既に研究されているのだろうが、我々一般人でも簡単に活用できる方法でもあれば見方もずいぶん変わるだろうに。

種子蒔きのお手伝い

秋も深まり、雑草もどんどんと種子を落とす準備を進めつつある。それよりひと足前に圃場の回りの草刈りをしておかなければならない。種子ができてからでは、草刈りをしたところで種子を蒔いてやる手伝いをしているようなものだ。

それでも、冬を前に精一杯花を咲かせている姿を見ると少し躊躇してしまうこともある。

ミゾソバ

ビニールハウスのすぐ横で育っているミゾソバもいまが最盛期。溝のあるようなところに育つソバのような花と言う名前のようだ。花が咲くまでは全くパッとしない姿なのに、開花すると辺りが明るくなる感じがする。育つときには一気に大きくなるようだが、困るようなしつこさは無いし、少し寂しさを感じさせる季節にあると嬉しい花色なのでどちらかと言えば残しておきたくなる。

ミゾソバ

花も近くで見るとなかなか可愛いのだ。もう少し目を楽しませてもらって、来年分の種子ができてから片づけても良いかな?なんて気にさせるのである。

草遊びの文化

この季節、昔を思い出す動植物が良く目に留まる。圃場の端にたくさん花を咲かせはじめたカヤツリグサも子供のころ手に取って遊んだものだ。

カヤツリグサ

文字で説明すると難しいのだが、これは二人で遊ぶ。茎だけを使って両端から切れこみを入れる。茎は正面から見ると三角(△)になっている。一方は縦に切れ目をいれ、もう一方は斜めに切れ目を入れる。そのまま両方から開いていくと、ちょうど蚊帳を開いたような四角ができる。それでカヤツリグサ。

ところが、年代が近いスタッフにその遊びを説明しても全然話が通じない。一人は同じ地区で遊んでいた仲間だというのに、「シティボーイでしたから」と言うし、もう一人はもっともっと田舎に住んでいたのに知らないという。文化の違いなのだろうか。

花が咲いた様子も線香花火のような感じでなかなか好きである。
実はこの雑草、ずっと「サンカクイ」という名だと思っていた。むかし、誰かがそう呼んでいたのがインプットされたらしい。子供にとっては遊びの対象となる草なんて、「あれ」、「これ」というぐらいにしか呼ばないのでそれでよいのである。

活用できないハーブ

圃場の畑部分を侵略する雑草は数えきれないほどある。だが、誰かに見てもらうガーデンではないので、育てているハーブなどに影響がない程度に最低限の除草だけ行なっている。それでも最初は張りきって美しい畑を目指していたのだが、あまりに徒労感を味わいすぎた結果、いまのスタンスに落ち着いた。

夏前から少しずつ勢力を増してくるのがゲンノショウコである。我が国の薬用植物の代表の一つと言っても良いのだが、小さいながら勢いが良い。油断しているうちに一気に茎を伸ばして勢力範囲を広げる。

ゲンノショウコ

花が咲く頃には少しかわいげもあるし、セイタカアワダチソウやスギナのようなしつこさがないので、ついつい大目に見てしまいがちだ。ハーブの仲間であり、薬効が高いことも除草の手から逃れるポイントになっているようだ。

手元にこれほど豊富にあるもの、本来なら上手に活用するべきであろう。雑草扱いしかできていないのが悔しいやら恥ずかしいやらである。

実際、ゲンノショウコを探していると言うお客様も結構いらっしゃるのである。どうぞ、圃場においでください。無料で取り放題ですから。