旬に合わせて

主に春先に開花するスイートバイオレット、花の後はしばらくお疲れ気味で、ほかのハーブが旺盛に育つ初夏はすこし元気がない。もしかしてこのまま梅雨、そして暑い夏を迎えたら相当調子が悪くなるのでは・・・・。と心配になるが、梅雨の中ごろから、急に元気を取り戻すことが多い。寒さに強いスイートバイオレットなので、夏はさぞかし苦手と思いきや、強烈な日照さえ遮って、乾ききらないように気を付けてやるとかえって5月ごろより元気に見える。

新しい葉も出てきて、まるで第二の旬を迎えたような雰囲気さえ漂わせる。そして、旬を逃すまい!と、ツマグロヒョウモンの幼虫もしっかりと現れる。旬のものは美味しいと言うことを知っているのだろう。今年は、ピンクスイートバイオレットが特に調子が良かったら、しっかりこの種類に大発生した。

ピンクスイートバイオレット

もちろん、年によって旬の時期は前後する。それなのに、毎年遅れることなく出てくるのには感心する。

ツマグロヒョウモン
この方たちは、葉を豪快に食べるので、葉が齧られるのがよくわかる。その上、保護色なんて気にしないと言う態度なのか、葉の間にいてもとても目立つ。おかげでつかまえるのもとっても簡単だ。

ツマグロヒョウモン

初めて目にした時にはおっかなびっくりハサミでつまんでいたが、毒もないことが分かり、今では全く平気である。スタッフはまだ素手ではつかめないようだが、そのうち克服できるかな?

私を忘れないで

今ごろになると、育苗ポットや親木の鉢からひょいっと顔をのぞかせてくるのが実生のビオラ・いわゆる三色スミレ(ハーツイーズ)である。

ハーツイーズ

一応栽培リストには載っているものの、この所怠けていて生産できていない。うちが苦手とする一年草と言うこともあるが、夏の種まきをついつい忘れてしまうのだ。秋も半ばになって、ああ、今年も育て損ねた・・・。と後悔し続けている。

今になって思わぬ場所から顔を見せる彼らを見るとそんな我々を咎めているかのようで少し心が痛む。まるで私たちを忘れないでね・・・と言うようで。同じような名を持つ一年草、Forget me not もまた、かつて同じような流れで栽培をやめてしまった一つなのである。

脱出

今日は市内のお宅へお庭の整備に伺った。

年末以来、久しぶりに見る庭だったので新鮮。今年も春の草花が元気に育っていることを確認して安心する。

ホワイトスイートバイオレットとクリスマスローズ
ちなみにここでもクリスマスローズが元気が良い。改めてリベンジを決意した。

まあ、それは良いとしてその手前のホワイトスイートバイオレット。今年も見事に咲いた。お客様にも喜んでいただいている。でも、実は私にとってはちょっと不本意なのだ。実は当初、奥に見える花壇に植えていたのだ。はじめの1,2年は元気だったのに、そのうちに、こぼれ種が落ちたのか、今の場所で増え始めてあっという間に株が広がってしまった。

奥の花壇が元いた場所。よほど居心地が悪かったのか。
奥の花壇が元いた場所。よほど居心地が悪かったのか。

その頃には、最初にあった花壇の株は元気が無くなり、いつの間にか消滅。他のものに押されたのも原因かも知れないが、せっかく良い土作りをしてやったと言うのに恩知らずなことだ。

以来、この場所がよほど気に入ったと見えて、ほとんど手をかけなくてもこの通り。まるで自分の適地へ向けて脱出を図ったとしか思えない。周囲にもこぼれ種が多数。今年もどんどん増えまっせー。てな感じだ。

今年もこぼれ種が・・・
今年もこぼれ種が・・・

その上、横のレンガの隅に溜まった泥の所にまで勢力を伸ばそうとしつつある。

ホワイトスイートバイオレット

スイートバイオレットは株の更新をはからないと、いずれ元気が無くなってくる。自分でもそれが分かっていて新しい株を次々作るのだろうか。などと考えさせられる。

珍しい鉢植え

圃場には鉢植えがたくさんある。でも、ほとんど全てと言っていいほど親木としての鉢植えである。形良く育てるとか、花をたくさん咲かせるとか言うのとは無縁の鉢花たちだ。

形良くと言うのはともかく、花をたくさん咲かせるとそれだけ株はエネルギーを消費する。親木用としては花は咲かせない方が育てる目的にかなっているのだ。第一、挿し穂をとられたり、株分けに使われたりで花を咲かせている余裕はないと言うのが正しいかも知れない。

八重咲スイートバイオレット

そんな中でも、珍しく良く花を咲かせた鉢があった。この八重スイートバイオレットは確か昨年の秋植え替えした時、株分けのニーズから上手に逃れて、株が充実したままその後を過ごしたのだろう。見本のような咲き方である。実際この圃場では珍しい。

八重咲スイートバイオレット

あまりに珍しい?状態なのでついつい写真に撮ってしまった。

香りよりも色よりも

春をイメージする色は?と聞かれれば暖かい陽光を思わせるイエローと答えるだろう。少なくとも自分にとってはピンクではない。

イエローと言っても鮮やかなのではなく、オレンジがかった暖かみのあるイエロー。そう、例えばイエロースイートバイオレットのような色だ。

イエロースイートバイオレットは他の紫やピンク、白に比べるとやや遅くなってから咲きはじめることが多い。同じビニールハウスの中でもこの頃になってようやく花を見せはじめるようになった。

イエロースイートバイオレット

また、詳しくは調べていないが、他の色に比べると香りも弱い。私にとっては香りよりも色を楽しむニオイスミレがイエロースイートバイオレットである。距と萼の部分が濃い色なので花びらとのコントラストがはっきりしているのもまた良い感じなのである。

残念ながらこの写真の花はナメクジ?に花びらをかじられている。ナメクジ、カタツムリの類いはニオイスミレが大好きなようで、この寒いにも関わらずお食事にいらっしゃっているようだ。香りよりも色よりも味を楽しんでいるのだろう。