レモングラス虫

夏に株分けをして、ポットの中でようやく根が張ってきたレモングラス。まだ寒くなるには時間があるし、これなら越冬も安心・・・とホッとするのが今の時期。しかし、あまり油断はできない。
レモングラス

苗の株元を注意して見ると、小さな穴が見つかることがある。そんなときはたいてい中に虫がいる。仲間内では「レモングラス虫」と呼んでいる。詳しい名前は不明である。

レモングラスの害虫

茎に穴を空けて中心部を食い荒らし、下に向けて食べ進んで行く。たいてい少し下のほうを切って見ると犯人が見つかることが多い。喰いカスが根元に散らばっているので見つかることもある。テッポウムシのように細い針金か何かを差し込んで退治しても良いかも知れない。

この虫が入った茎はたいていダウンしてくるが、レモングラスは株さえ残っていれば上の葉を切ってもいくらでも芽が出てくるのであまり心配はいらない。この虫の退治が終るとようやく越冬体勢に入ることになるのである。

まだまだ頑張る中年バジル

10月になったというのにまだバジルが青々としている。例年ならばもっと黄色みがかってきて葉も厚くなっている頃だ。つい先日もパスタに使ったら結構美味しかった。たいてい、この時期のバジルは甘さよりもスパイシーさが際立ってくる。それが気になり始めるのをきっかけにその年のバジルの終わりを決めることが多い。

スイートバジル

だが今年はこんな調子である上に、種子ももう少し先になりそうだ。

それでも秋を迎えたバジルの姿は老化を感じさせる。春、伸び盛りの新苗の頃はプクプクとした赤ちゃんのほっぺたを思わせる柔らかい葉だったのが、今ではシワだらけで反り返り、硬く、水分もやや不足という感じである。それなのにまだまだ頑張るぞ!という気持ちだけがにじみ出ているようだ。なにやら人間と重なるところが多く、片付けようという私をためらわせるのである。

幸せの香り

咲いていると思わず花を近づけたくなるハーブ。それがグレープセンテッドセイジだ。あまーく、食欲をそそる香りはいつ香っても気持ちが穏やかになる。作業中にもホッと一息入れさせてもらうことも多い。

グレープセンテッドセイジ

どちらかというと、秋に咲くことが多いが、機嫌が良いとあまり季節を選ばず咲く。松江だとガンガンの日なたよりも半日陰ぐらいのほうがコンディションがよいようだ。

一つ難点はサルビア属の中では良くあることだが、茎や葉にやや粘りがあるため、小さな虫がひっつくとそのままになってしまうことである。加えて言うなら、他のサルビアに比べると少し育ちが悪い。大きくなった株は大事にしたいものである。一方で剪定には割と強いので、花が終ったり、落葉した時にはきちんと形を整えると次の枝がきれいに揃う。

数年前になるが、市内のお庭で背丈を遥かに越えた株を見たことがある。開花すると近所のひとが見に来ると言うことだったがさもありなん。幸せを感じさせてくれる香りなのである。えっ、私だけですか?

気にしない、気にしない

セイジの仲間、特に花色に特色があり美しいものに限って写真に写した時に本当の色が出てこない。

サルビア・アズレア

秋の初めの空を思わせるサルビア・アズレアのブルー、今年も写真に収めたがやはりだめだった。曇りの時に取ると良いよとか、朝方にとったほうがとか、ホワイトバランスを合わせてとかいろいろなアドバイスをいろいろな人から聞いたがやはりうまくいかないのである。

そもそも、我々が感じる色も結構曖昧だ。毎日見ているビニールハウス前のモーツアルトブルーローズマリーでさえ、夕暮れどきにはその色にハッとさせられることも多い。

また、カメラに詳しいひとからは「デジカメを買い替えなきゃ」との意見もいただくが、一番支持したいのは、パソコンマニアからの言葉。
「どうせ、見るひとのモニタによって色なんてまちまちだから、気にしない、気にしない」

本当の花の色が知りたければ育てるしかないようである。

ところで、このサルビア・アズレア、背が高いうちに細身である。単独で育てては全く面白くないし、倒れやすい。いくつかまとめてもやはり場所によってはだらんとだらしなく育ちがちである。先日、市内のイングリッシュガーデンでいい感じで植えてあった。周りにブッシュ状の植物が囲むように植えてあり、その間から顔をのぞかせるように咲いていた。株が蒸れないか少し心配もあるが、見た感じはなかなか良かったのである。

草遊びの文化

この季節、昔を思い出す動植物が良く目に留まる。圃場の端にたくさん花を咲かせはじめたカヤツリグサも子供のころ手に取って遊んだものだ。

カヤツリグサ

文字で説明すると難しいのだが、これは二人で遊ぶ。茎だけを使って両端から切れこみを入れる。茎は正面から見ると三角(△)になっている。一方は縦に切れ目をいれ、もう一方は斜めに切れ目を入れる。そのまま両方から開いていくと、ちょうど蚊帳を開いたような四角ができる。それでカヤツリグサ。

ところが、年代が近いスタッフにその遊びを説明しても全然話が通じない。一人は同じ地区で遊んでいた仲間だというのに、「シティボーイでしたから」と言うし、もう一人はもっともっと田舎に住んでいたのに知らないという。文化の違いなのだろうか。

花が咲いた様子も線香花火のような感じでなかなか好きである。
実はこの雑草、ずっと「サンカクイ」という名だと思っていた。むかし、誰かがそう呼んでいたのがインプットされたらしい。子供にとっては遊びの対象となる草なんて、「あれ」、「これ」というぐらいにしか呼ばないのでそれでよいのである。