香りよりも色よりも

春をイメージする色は?と聞かれれば暖かい陽光を思わせるイエローと答えるだろう。少なくとも自分にとってはピンクではない。

イエローと言っても鮮やかなのではなく、オレンジがかった暖かみのあるイエロー。そう、例えばイエロースイートバイオレットのような色だ。

イエロースイートバイオレットは他の紫やピンク、白に比べるとやや遅くなってから咲きはじめることが多い。同じビニールハウスの中でもこの頃になってようやく花を見せはじめるようになった。

イエロースイートバイオレット

また、詳しくは調べていないが、他の色に比べると香りも弱い。私にとっては香りよりも色を楽しむニオイスミレがイエロースイートバイオレットである。距と萼の部分が濃い色なので花びらとのコントラストがはっきりしているのもまた良い感じなのである。

残念ながらこの写真の花はナメクジ?に花びらをかじられている。ナメクジ、カタツムリの類いはニオイスミレが大好きなようで、この寒いにも関わらずお食事にいらっしゃっているようだ。香りよりも色よりも味を楽しんでいるのだろう。

昔の名前で出ています

斑の無いピーコックゼラニウムを何と呼ぶ?

これはもう何とも呼びようがない。斑入りのゼラニウムは時々こうなってしまう危険性を持っている。今年の秋、斑が無くなってしまったピーコックゼラニウムの苗を見つけた。コンディションは悪くなく、処分するのは忍びない。店頭を飾るグリーンにでもなってくれればと思い、素焼き鉢に植え替えておいた。一応間違いが無いように「ピーコックゼラニウム・斑消失」とラベルに書いて。

ところが、この間ふと見てみると新しい葉にしっかり斑が戻っているではないか。斑入りナツメグゼラニウムなどは、夏の間斑が消えても、春先にまた戻ることが多い。しかし、ピーコックゼラニウムは今まで一度消えた斑が戻ることはなかったように思う。

ピーコックゼラニウム?今後どうなるのか少し興味深いところである。もしかしたら夏ごろ店頭に昔の名前がついて飾られていたりして。古い歌じゃないけれど。・・・あなたが探してくれるの待つわ・・・

節分の決心

節分。今日までが暦の上では冬。「節」と言われる日なので、どうしても今までに行なえなかったことが目につく。

12月ごろから気になっていたのに、できずにいるのが圃場の隅にあるセイジ類の剪定である。春になって新芽が伸びるのに古い枝が邪魔になるし、無論見た目も悪い。その上、春になってから行なうと枝も硬くて難儀する(もう既に手遅れである)。

メキシカンブッシュセイジ

この株はメキシカンブッシュセイジ。株元に見える白っぽいのは、冬の初めに出てきた新芽である。この辺りでは、冬前に新芽が出るものの、一旦枯れてしまう。初めて育てた時は慌てたものだ。しかし、心配はいらない。暖かくなるともう一度新芽が伸びる。

お客様には、「冬前に剪定を」とアドバイスしている者がこれでは失格である。とりかかれば作業自体はあっという間。次は雨水、いや、せめて春分までには行なおう。

斑入りと耐寒性

斑入りのラングワート(プルモナリア)は花もさる事ながら、葉の雰囲気を楽しめるのが嬉しい植物だ。以前、この葉を上手に使ったアレンジメントを頂いて感心したことがある。

この辺りでは、夏には結構葉傷みがする。猛暑の年など、株がダウンする恐れも結構高い。一方、冬は御機嫌である。春の開花を前にして葉も嬉しそうである。

斑が入った様子が肺に似ているとか、病気になった肺に似ているとか、それで肺病に効くと言われていたらしい
斑が入った様子が肺に似ているとか、病気になった肺に似ているとか、それで肺病に効くと言われていたらしい

それなのに、斑のないラングワートは秋も終わり頃になると葉をどんどん枯らしていく。今の時期は株元にちょろっと新芽が覗くぐらいで、花壇に植えた株も年末に葉を取り除かなくては見た目も悪い。

同じ植物なら斑入りの方が弱いのが普通である。不思議なところなのだが本当に寒さに強い植物は落葉したり、地上部を無くすなど、寒さへの準備がきっちり出来るものが多い。この辺りでは実証できないけれど、やはり斑の無い方が本当の寒さにはより強いんじゃないかと想像している。

クリスマスローズとアブラムシ

クリスマスローズ(Helleborus niger)の蕾がゆっくりと開いてきた。ちなみにこの株はスタッフが趣味で育てている。強健なorientalisもよいのだが、冬に蕾を見せはじめるnigerのほうが清楚な中にも芯のある力強さを感じる。この株もクリスマスには間に合わなかったけれど昨年暮れ頃から地際に蕾が見えはじめた。

クリスマスローズ

その蕾がようやく開きはじめたのがつい先日であった。覗いて見ると、既にアブラムシ様がいらっしゃる。冬のビニールハウスはアブラムシにとって天国とは言え、いつの間に!

アブラムシはきらきら光るものを嫌うという。こんなに明るい蕾の中は嫌ではないのだろうか。でも、寒さの中、昆虫でなくてもなるべく日差しのあるところへ行きたいものだ。アブラムシだって冬は明るくて暖かいところのほうが良いのかも知れない。

ちなみに、アブラムシがついているからと言って自分の持ち物ではないので、手は出さないのである。