腕の問題

ハーブの多くは、花が咲くと嬉しいもので、つい写真も撮りたくなる。見栄えもするからね。ところがレモンバームはあまりにもつつましやかな花で、「ああ、花が咲き始めたなぁ」で毎年終ってしまっていた。花が咲くと葉は小さく、固くなってしまうので早く切り戻して新しい葉を出したくなるのだ。同じハーブティー用のミントでさえ、もう少し目立つ花を咲かせるから結構咲かせっぱなしにすることが多いのに。

葉を繁らせるために花芽を摘むバジルだって、咲かせてみると結構良い感じだし、種子を採ると言う目的も後にはある。ところがレモンバームはかえってこぼれ種で増えない方がありがたい。
レモンバーム
今年は幸いレンズを向ける気になって、数枚を収めることができた。とはいえ、やはり柔らかで大振りの葉の方が見栄えは良いように思う。それとも、写真の腕が上達すればレモンバームの花も魅力的に撮れるのようになるのかなぁ。

いつも後になって

自分でも今になって思うと不思議だが、お庭の仕事をしているのに、そのお庭のベストシーズンの様子を見たことはあまりない。それぞれの草花にしても同じこと。一番の開花期に向け、その前に作業を行なうので、実際に花が咲いている時には大抵他のお庭の作業にかかりきりと言う場合が大半である。

後になって、「良く咲いたよ〜」と言われて喜ぶぐらいである。

クレマチス

このクレマチスも、花びらが完全に散ってからようやくお目にかかることになった。実は半年前、クレマチスが絡んでいる塀を修理することになり、ポキポキ折れやすい枝を細心の注意を払って取り外したのである。寒い最中、本当に大変だった。そのうえ、結構この株は気まぐれで、年によっては「今年はあんまり咲かなかったわよ」と言われるぐらいなのでかなり心配をしていた。

幸い、良く咲いたようで持ち主にも喜んでいただいた。私は咲き終った残りを眺めて満足するのである。

一苦労

いろいろな花を見る機会があるので、その精巧な造りに驚くことが良くある。今日も開花した八重のメドウスイートの花につい引き込まれしばし見入ってしまった。

八重メドウスイート

ローズやボタンのように大きな花の八重もまた見事だが、小さな八重もこれはこれで魅力がある。一体つぼみの時にはどうやって花びらがしまい込まれているのだろうか。

せっかくの良い顔を写しておこうと、デジカメを取り出しては来たが、私のようなつたない写真の腕&コンパクトなデジカメでは、そよ風があるだけでこの一枚を写すのに四苦八苦してしまった。

ギブ・アンド・テイク

ひとりのスタッフが、家でサクランボがなったと言って持ってきた。

そう言えば圃場のサクランボにも春先花が咲いていたから、それでもと思って見に行ったら、おやおや、小さな実がついているではないか。

スタッフの家のサクランボはかなりをヒヨドリに食べてしまわれたと言う。ここのサクラにはあまりヒヨドリが来ているのを見たことが無い。花の数がそもそもわずかだったのでこれだけでも実がつけば嬉しいものである。

サクランボ

お味の方はまあ、酸っぱさがあるけれどサクランボであった。今まで放置ばかりしていたので、これから少し手入れしてみることにしよう。実のサイズも味も良くなるかも・・・。現金なものである。いやいや、何事もギブ・アンド・テイクなのだよ。サクランボ君。

さて、仕事からの帰り道、ふと道路脇の庭に、それはもう鈴なりのサクランボの木が植わっている家を見つけた。いままで、ちょっぴり嬉しかった気持ちが急にしぼんでしまったような気がした。

秘めたしぶとさ

ニュースでその存在が報道され始めた数年前、すでにこのあたりでも時々目にしていたナガミヒナゲシ。帰化植物として猛烈な勢いで広がっているとして問題になっているが、ついに昨年ごろから圃場の回りでも見かけるようになった。

ナガミヒナゲシ

他の植物が生えにくい舗装道路の端などでも育つのでここまで広がっていったと言われている。けれど当店の畑の回りではミントやヨモギと言ったこれまた繁殖力の強い猛者たちに囲まれつつもしっかり花を咲かせている。可憐な姿のなかにしぶとさを秘めているようだ。

同じ帰化植物でもセイタカアワダチソウは本当に邪魔になるし、草刈りしていても本当に苦労するので私たちスタッフの間でも憎まれている。ところが、ナガミヒナゲシと来たら、ちょうど今ごろこの色の花が回りに無いものだから嫌悪感など湧いてこない。むしろ、アラかわいいと好意的に受け止めてしまっている。小さくて可愛らしい姿もまた繁殖に力を貸しているに違いない。

ただ、帰化植物にありがちだけど、心を許してしまうと痛いしっぺ返しを食らうかもね。気を付けねば。